井上円了の教育理念

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- 会において功労名誉を有するものに対して、認定得業、講師、名誉講師の称号を与え 館の教育の主義を表すものである。 実力主義をとることを哲学館の教育方針とした。
る (これはハーバード大学の卒業式に参列したときに学んだものである) 。この称号の規程は、哲学
以上のように、 井上円了は国民の精神改良を第一目標とし、 独立自活の精神に基づいて、
遠大 ・ 活発な人間の養成
井上円了は「広く同窓諸子に告ぐ」で示した教育方針を、単に哲学館における学校教育
だけではなく、社会教育においても展開することによって、日本人の改良を達成したいと 端的に示されている。
構想していた。その基本的な考え方は、十一月五日に発表された「日本の特性を論ず」に
Ⅱ 教育理念の発展
西洋と東洋、あるいはイギリスと日本を比べてみると、それぞれに特性というものがあ
り、特性には長所と短所の両面があると前置きしたあと、彼はここでは日本の短所に限定
して話を進めている。彼は日本の短所は 「狭小」 「短急」 「浅近」 「薄弱」 であり、 これを 「小」
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