井上円了の教育理念

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- の一字で表現できるという。外国と比較して、 まず国土のように目に見える物が小さいし、
日本人の体も「小にして短」 、 しかもその性質は「小にして急」であり、 才知、 思慮、 度量、 ている。
志望どれをとっても「小」なので、歴史上に大人物、大事業、大発明が出ないのだといっ
このような小国的気風を大国的気風に改良するには教育によらなければならない、と彼
はいう。学校教育はもちろんのこと、あらゆる方面から宇宙的思想、宇宙的観念を注入す
るのである。それには学問によって世界のことを知り、天文学や哲学によって「遠大の思
想」を養成し、芸術によって「雄壮・活発・広大の思想」を与えなければならない。そし 遠大な目的を定め遠大な方法をとることだとしている。
て、 この遠大の思想を養成するということは、 日本人の癖である空想することではなくて、
この基本的な考え方にしたがって、独立自活の精神を掲げた哲学館大学における教育、 開されていくことになるのである。
そして国民道徳と民力の向上という目的を持った「修身教会」における社会教育活動が展
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