井上円了の教育理念

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- 哲学館はこれまで教育家と宗教家の養成に重点をおいてきたが、時代の変化に応じ
て、さまざまな分野で活動する人材を養成することとし、特に外国にも出ていけるよ
うな教育をする。今後日本人が活躍する場所はアメリカ、中国、朝鮮なので、英語と ⑸ 記念堂としての哲学堂
漢文を中心に語学教育をする。そのため随意科をおく。
大学開設用の敷地はすでに用意されているので、基本金が集まりしだい建設に着手
する。大学開設を記念して記念堂を建立し、これを四聖堂と称して、古今東西の哲学 念碑を建てる。 ⑹ 哲学応用の奨励
を記念する。また、哲学館事件で資格を取り消された学生八十三名の氏名を記した記
哲学館の方針は、哲学の理論の研究だけでなく、それを応用することにもあった。
直接的には教育・宗教に、間接的には法律家、工業家など他の職業に従事して、哲学
を社会全般に応用することを奨励してきた。この成果は十分にあがっているが、大学
開設後はさらにこれを奨励する。そして、学問上の成績に対してだけでなく、広く社
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