井上円了の教育理念

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- ❹ 哲学館の教育理念の発展
井上円了と文部省
井上円了は明治三十六年七月二十七日、欧米視察から帰国したのち、 『日本』新聞のイ
ンタビューに応えて、哲学館事件について語った。彼は出発前の岡田良平との会談などに ドンでとった行動を話した。
触れて、その時点では大事件になるとは思ってもいなかったことを明らかにし、またロン
彼はこの事件は「天災にあらずして人災としてあきらめるよりほかなし」といっている
が、 内心にはさまざまな思いが渦巻いていたようである。彼はまず、 倫理科の卒業試験が、
予定されていた日程のわずか数日前になって突然中止を命じられたことについて、文部省
の意図に疑問を投げかけている。三十二年の認可申請のときに倫理科が遅れたのは確かだ
が、それを厳密に三年後でなければ適用しないというのであれば、もっと早く通知してし
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