井上円了の教育理念

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- 省がらみの事件ということで、 哲学館事件への社会の注目度も増したと考えられる。また、
この二つの事件が相次いで起きたことから、哲学館事件は教科書事件に集まる世間の目を
そらせるために文部省が無理に惹き起こしたもの、とする見方もあった。
報道 の内容
哲学館事件に関するマスコミ報道の量はあまりに多いので、すべてを紹介するわけには よう。
いかない。そこで内容面からいくつかに分類し、それぞれの要点をまとめてみることにし
文部省批難型──哲学館に対してとった処分のしかたを問題にし、文部省の私学排斥傾向
を批難している。文部省の態度が焦点となっているため、同時に教科書事件の責任を追及 しているものもある。
(三十五年四月に検定済みの 例えば『万朝報』では、文部省が教科書事件や「四ツ目屋事件」
高等女学校の国語教科書に江戸時代の淫薬・淫具専門の薬屋に関する記述が発見されて問題となった)において
大きな責任を問われているにもかかわらず、授業で教科書の内容を批評しなかったのは不
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