井上円了の教育理念

- ページ: 106
- と焦りを隠しきれず、知人の勧めもあってこの日の面会となったのである。しかし、山川
は問題になっている弑逆のような例についてなんの解釈も加えずにおいたのは不都合だと
いう見解だった。これに対して中島は、教科書は教えるための方便にすぎないので、引用 ては考えていなかったのだというような趣旨で答えた。
されている例をそのまま鵜呑みにするようなことはなく、この場合も誰も日本のこととし
同日午後、中島は続いて文部省へ行き、松村検定委員会理事に面会した。ここでもひた 中島自身は「承諾を得たり」と思った。
すら釈明につとめ、 一日も早い免許状の交付を願った。松村がどう答えたかわからないが、
無試験検定認可取消
十二月十四日、湯本武比古は友人でもあった文部省の野尻視学官の訪問を受けた。野尻 げ た。
は十三日付で哲学館の教員免許の認可が取り消されたことを告げ、つぎのような理由を挙
⑴ 処分の原因は倫理科教授にあって、設備等の理由ではない。
102
- ▲TOP