
東洋大学はスタートアップ創出を目的としたピッチイベント「TOYO DEMO DAY 2026」を、2026年3月18日にTokyo Innovation Base(TiB / 東京都千代田区)で開催しました。学内研究者に加え、学生や高校生も登壇し、研究シーズの社会実装に向けた挑戦が本格的に動き出しました。
創立者・井上円了の「他者のために自己を磨き、活動の中に奮闘する」という精神を受け継ぎ、「他者のために奮闘するスタートアップ」の創出に取り組む―。東洋大学では2024年度より、東京都の「大学発スタートアップ創出支援事業」の採択を受け、東洋大学から東京を、日本を、そして世界を変革に導く意欲にあふれた、社会課題の解決に立ち向かうスタートアップ創出支援のための環境構築を進めています。
「TOYO DEMO DAY 2026」では、学内で蓄積されている多くの「研究シーズ」を、社会課題解決のための挑戦への第一歩として、東洋大学として初めて開催しました。
開会にあたり、学校法人東洋大学の教学担当常務理事 金子光一(福祉社会デザイン学部教授:産官学連携推進センター長)は、「現代社会においては単なる成長や拡大ではなく、一人ひとりの生活の豊かさや幸福、いのちを尊重し、その価値を認め合う社会の実現に向けたイノベーションが求められている」と開会を宣言。
基調講演では、株式会社日本総合研究所 プリンシパルの東博暢氏が登壇。日本の高い研究力と事業化への期待や課題に触れ、「大学を核としたイノベーション創出が重要であり、研究を社会で生かす視点が不可欠、東洋大学の取組に期待している」とエールをいただきました。
続いてのエキシビションピッチでは、東洋大学の研究者や学生に加え、東洋大学附属牛久高等学校および私立桜丘高等学校の生徒の皆さんからは、地域課題や身近な問題を起点としたビジネスアイデアが発表され、高校生ならではの視点と発想に参加者の多くが感嘆し、大いに刺激をいただきました。
メインピッチでは東洋大学の研究者5名が、それぞれの研究をもとにした事業構想を熱意と可能性を込めてプレゼンテーションしました。
生命科学部生体医工学科の准教授 大澤重仁は、有用資源のリサイクルや回収に役立つ高分子材料の創出について発表し、資源循環型社会の実現に向けた研究の意義を示しました。
続いて、理工学部電気電子情報工学科の教授 根岸良太が提案したのは、その場で物質を分析できる超高感度ポータブル分光装置の開発でした。医療や環境分野への応用が期待されています。
理工学部応用化学科の教授 渕辺耕平は、次世代創薬モダリティの開拓に向けた技術について発表。高度な専門性を持つ研究の社会実装可能性を示しました。
母乳を通じて産婦と乳幼児の健康状態を評価する技術について紹介したのは、食環境科学部食環境科学科の教授 宮西伸光です。医療・健康分野への新たなアプローチが提示されました。
最後に発表した理工学部電気電子情報工学科の教授 山口明啓は、機能性材料創製のためのプラットフォーム形成により、材料開発と産業応用をつなぐ可能性を提示しました。
このようにいずれのプレゼンテーションも、研究成果を社会で活用することを前提とした事業構想として提示され、大学発スタートアップの具体的な姿を示す内容となりました。
メインピッチの他、本会の後援をいただいた大学発スタートアップ・エコシステムプラットフォーム「Inland Japan Innovation Ecosystem(IJIE)」の取組紹介も行われ、地域でのスタートアップ創出の重要性や地域連携について触れていただきました。
このDEMODAY全体を通じた講評を行なったのは、株式会社日本政策金融公庫 北関東信越創業支援センター 所長の高田美奈氏。「多様な立場から社会課題に向き合う発表が印象的でした」と振り返り、「重要なのは『なぜそれをやるのか』という動機です」と事業化に向けたモチベーションの大切さをお伝えいただきました。
最後に、東洋大学の研究担当副学長 金子律子が、研究成果の事業化や連携の重要性に触れ、「本イベントを通じて新たな連携や事業創出のきっかけが生まれることを期待しています」と締めくくり、DEMODAYは幕を閉じました。
イベント終了後には意見交換・ネットワーキングの時間が設けられ、東洋大学の学生が文京区内に起業したばかりのLAOSIAによるフェアトレードコーヒーが提供され、登壇者と参加者は直接交流を深める場となりました。
東洋大学における新たな連携や共創の可能性のきっかけの場となった「TOYO DEMO DAY 2026」。東洋大学で生まれた「知」が、社会を変える「力」へと変わっていく。そんな期待感が大きくふくらんだ1日となりました。