東洋大学ならではの特色ある研究を推進し
社会課題の解決やSDGsの達成へとつなげる
東洋大学では、総合大学の特性を活かした文理融合型プロジェクトや、民間企業と連携したユニークな製品開発など、多様な研究を行っています。独自の研究をさらに深化させ、東洋大学の研究ブランド力を向上させるとともに、研究成果を還元して持続可能な社会の実現にも貢献します。
[ 01 ]
文理融合型の独創的な研究を推進し
世界レベルの大学を目指す「東洋大学重点研究推進プログラム」
超スマート社会の到来を見据え、先端的な研究を促進するべく、2018年に創設された「東洋大学重点研究推進プログラム」。世界水準の大学へと発展することを目標として、独自の大型研究助成金を用意し、独創的な研究プロジェクトを推進しています。11のプロジェクトの中から、3つの事例を紹介します。
事例1
最先端の情報技術で豊かな暮らしを実現する

「日常生活を豊かにするためのデジタルトランスフォーメーション(DX)の研究(2022年度~2024年度)」では、最新の機械学習技術を自然言語処理やUX(ユーザーエクスペリエンス)などの分野に応用することで、生活の質向上と情報通信技術の発展に貢献する手法を検討しました。自然言語処理分野では「大規模言語モデルによる現代短歌の評価」を行い、従来の機械学習モデルを超える性能をもつ新しい手法を構築しました。その他にも、幅広い分野の発展に貢献する多くの研究成果を挙げました。
事例2
アスリートを支える分野横断型アプローチ

「東洋大学のブランド力向上のための分野横断型アスリートサポート研究(2023年度~2025年度)」では、アスリートが最大限のパフォーマンスを発揮するための、フィジカルやコンディショニングサポートはもちろん、メンタル面やキャリア支援なども含めた総合的なサポート体制の構築を目指しています。総合大学のメリットを活かし、自然科学と人文・社会科学系を融合した分野横断的なアプローチで、東洋大学ならではのアスリート支援の在り方を探究します。
事例3
SDGsの包摂的実現に挑む分野連携研究

「レジリエントな社会に向けたSDGsの包摂的実現に関する研究(2022年度~2024年度)」では、「レジリエント(しなやかで強い)」をキーワードに、実践的な活動を伴った研究(例えば、ソーラーランタンを用いた小規模人道支援や月経のある人のウェルビーイングを前進させる「MeW(Menstrual Wellbeing by/in Social Design)」プロジェクトなど)を行い、地域づくりやジェンダー・福祉などのさまざまな分野で研究成果を挙げました。また、災害等の危機への耐性を持つレジリエントな社会を実現させることを目指し、企業やNPO等との共同研究を実施しました。
進行中の東洋大学重点研究推進プログラム(2025年6月現在)
タイトル | 研究代表者 |
---|---|
東洋大学のブランド力向上のための分野横断型アスリートサポート研究 | 加藤 和則 |
生育のdiversityを生むメカニズムの解明とwell-beingな社会の実現に向けた支援体制の構築 | 児島 伸彦 |
未来を拓くバイオミメティクス | 合田 達郎 |
責任ある研究・技術開発に向けた多文化的ELSIの組織化 | 松浦 和也 |
生活も仕事も充足して継続できる社会の実現に向けた 職業キャリアの実証研究 | 西野 理子 |
極限環境微生物で循環型社会を実現し、生活環境を豊かに! 〜TOYO SDGs Global 2024-2030-2037〜 |
伊藤 政博 |
後継者の精神的健康とレジリエンス:地域連携を活用した文理融合アプローチによるレジリエンス促進プログラム開発と事業承継支援 | 山本 聡 |
地域未利用資源の活用による地域・自然共生型脱炭素社会システムの設計 | 村野 昭人 |
生成AI・データサイエンスの活用による教育・文学・芸術の革新に向けた研究 | 中村 周吾 |
福祉社会における新たな価値の創発と支援システムの構築 | 志村 健一 |
レジリエントな社会からウェルビーイングな社会へ 一ポストSDGsにおける持続的幸福の追求のために |
松丸 亮 |
[ 02 ]
生物の特性や進化をヒントに新たな技術を生み出す
「バイオミメティクス」を産業界に活用
「東洋大学重点研究推進プログラム」の一環として、生物の持つ優れた構造や機能などから新たな技術を生み出す「バイオミメティクス」を活用したものづくりに取り組んでいます。その先端的な研究の一つが、株式会社セブン銀行との産学連携による次世代ATMの技術開発に向けた共同研究です。ATMをより快適に利用できるよう、キズの目立たない素材や清掃性の高い素材を開発。また、ATMに付属するスピーカーをより指向性の高い構造へ進化させ、どのような設置環境でもプライバシーを確保しやすい音響設計を実現しようとしています。持続可能なものづくりの要素を取り入れながら、利用者にとって安心で快適な空間づくりとさらなるUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上につなげていきます。

[ 03 ]
独自の研究成果を活かして
ユニークな製品として社会に発信
研究から生まれた知見を社会に還元すべく、ユニークな製品開発にも取り組んでいます。例えば、ハッサクなどの果皮に多く含まれる成分「オーラプテン」が熱中症対策に効果的であることを、東洋大学が世界で初めて発見し、特許を取得。この特許成分を多く含んだ商品開発を目指しており、今後もさまざまな展開が期待されています。また、花の酵母を活用し、毎年異なる酵母で醸造する日本酒開発プロジェクトも進行中。2025年2月には、川越キャンパスに自生するアジサイと、連携する佐藤酒造店敷地内で採取した小梅の酵母を使用した「越生梅林 エスティNo.3」と「うめのはな-Koume-」の2種を製品化・販売しました。

「うめのはな-Koume-」(右)
[ 04 ]
研究成果等を活用して社会を変える
ベンチャー企業やスタートアップを支援
東洋大学では、研究成果を社会課題の解決につなげる取り組みとして、ベンチャー企業の創出を推進しています。2024年度には、大学の資源を活かして設立された企業を「東洋大学発ベンチャー」として認定する新制度を制定。初年度は、熱中症の予防や治療に効果があるとされるオーラプテンを含む食材の製造・販売を行う株式会社和環と、スポーツで使用する滑り止めの開発・販売等を行う株式会社Refstの2社を認定しました。また、創立者 井上円了の「他者のために自己を磨く」「活動の中で奮闘する」精神を範とした動機や事業計画による起業に対しさまざまなサポートを行う、「他者のために奮闘するスタートアップ支援」も実施しています。この取り組みは東京都の「大学発スタートアップ支援事業」に採択されており、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「スタートアップ・エコシステム共創プログラム」の活用と併せて、本学の研究成果やアイデアによるスタートアップを支援しています。

株式会社和環の代表取締役である土屋典子氏(右)
[ 05 ]
研究機器の共同利用により
新たな知の創出に期待
東洋大学は、学内外の研究者や研究機関との連携をさらに強化することを目的として、「朝霞研究機器共同利用センター」を設置しました。朝霞キャンパスに設置された約250の研究機器の共同利用が可能になり、研究資源の有効活用と研究活動の活性化が期待されています。本センターの活用により、分野横断的な共同研究や企業・研究機関からの受託研究のさらなる推進が見込まれるほか、専門スタッフの配置によってサポート体制も充実。設備投資の効率化を図りながら、研究環境の向上を目指します。2025年度内を目途に利用環境の段階的な整備が進められており、今後、学内外の研究者が分野を超えてつながり、新たな知の創出や社会課題の解決につながる研究の展開が期待されます。
