話し手
森本 あんり
東京女子大学 学長
※所属・役職等は、2026年1月取材当時のものです。

ネパールでの出来事です。
とあるお寺で働く女性が、「今朝10時にガルーダが寺の上を飛んでいるのを見た」と言い、その発言を巡って周囲の人たちと議論に発展しました。
ガルーダとは、ヒンドゥー教の神話に登場する聖なる鳥のこと。私たちの常識では、実際には存在しない生物です。
しかし、街の人々の議論の内容は「ガルーダが現実にいるはずがない」ではなく、「普段、この時間にこの場所をガルーダが飛ぶはずがない」「なぜ普段と違う時間にガルーダは飛んだのか」。
まるで電車のダイヤの話をするかのように、ガルーダが飛ぶ時刻について、真顔でガヤガヤと論じ合っていました。

今日持ち帰りたい学び
これは、宗教社会学者のピーター・バーガーが実際に体験した出来事とのこと。
ネパールの人々が生きているのは、神鳥ガルーダが日常的に空を飛ぶ世界。彼らにとって、ガルーダが存在することは疑う必要もない事実なのです。
同じ時代の中でも文化によって前提となる考え方が異なるとすると、現代人の多くが神話や言い伝えを過去のものとし、今は科学的に、「正しく」世界を理解しているような気になっているのは幻想にすぎないのかもしれません。
「論理」や「理性」と呼ばれるものに基づく価値観や常識が本当に正しいのか、改めて考え直す必要を感じさせられるエピソードです。


小石があった場所
自らの幸福は、自ら決める。
「知」の可能性を、あなたに。
前編
人生を変える!
「アカデミアとの出会い」
「アカデミアとの出会い」
矢口 悦子
東洋大学 学長
森本 あんり
東京女子大学 学長

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