あまり心配しなくて
大丈夫、
自分の好きな
道を進めばいい。

坂原 二千夏

理工学部 建築学科
山脇学園高等学校 出身
清水建設株式会社 就職

INTRODUCTION

女子高生の中には、理工学部・建築学科と聞くと最初から敬遠してしまう人もいるかもしれない。でも、大丈夫。数学や物理が苦手だった彼女も、自分なりの方法で乗り越え、ゼネコンの施工管理技士として歴史的建造物の保存・改修をするという道を歩き始めた。卒業研究や有志として参加した「トウキョウ建築コレクション」の実行委員活動を通して、チームで協力しあいながら一つのものを作り上げる醍醐味を体験。そこで学んだコミュニケーション・スキルを活かし、将来は既存の建築物に改修を加えて価値を高めるリノベーションを追求したいと、Z世代らしい夢を語る。

REAL 01 オープンキャンパスの模擬授業で、
眠っていた興味関心が動き出す。

高校2年生の時に文理選択をするため、東洋大学も含めて10校ほどオープンキャンパスに参加しました。様々な科目の模擬授業を体験する中で、東洋大学の建築学科が一番面白いと感じたました。それは理工学部がある川越の街の歴史と蔵造りの建物を題材にした授業で、地域の文化に根ざした街づくりを学びたいという自分の興味関心にジャストミートする内容でした。
振り返ってみると、もともと美術が好きで、試行錯誤の中から一つの作品を作り上げることに熱中した経験があります。また生まれが足立区の西新井で、近くの西新井大師の改修をたびたび見ていました。中学時代にはロンドンへ旅行し、日本とはまったく違った歴史的建造物が新しい住宅群と調和していることに感動したこともあります。そんな経験が、建築学科の模擬授業の中で思い起こされました。
ただ高校時代は物理や数学が苦手科目でした。物理の公式から実際の運動がイメージできず、とても苦労しました。時間をかけて公式の背景にあるロジックをしっかりと理解し、教科書以外の他の教材に当たったり、YouTubeを見たり、様々な異なるアプローチで乗り越えていきました。
一般に、理系を選択する女子は少ないと言われていますが、私は中高一貫の女子校で、半数くらいが理系を選択していました。東洋大学に進学し、コロナ明けに初めて川越キャンパスに行った時、男子学生の多さに緊張したことを思い出します。

REAL 02 建築系イベントの実行委員として
チームをまとめ人を動かす原動力を学ぶ。

大学時代の一番の思い出は、2年生の時に「トウキョウ建築コレクション」の実行委員として活動したことです。それは建築を専攻する全国の大学院生の修士設計作品や修士論文を集め、作品の展示と公開講評会を行うもので、毎年代官山のヒルサイドテラスに1,000人を超える来場者を集める年に一度の一大イベントです。私は約20名の実行委員の一員として、修士論文コンテストと講演会を担当していました。
ちょうどコロナ禍の真只中で、会議はすべてzoomやメール。意思疎通の難しさを痛感しながら頑張って取り組みました。そこでの学びは、チームをまとめて人を動かす原動力とは何かということです。用件を事務的に伝えるだけではなく、また自分で全部やってしまうのではなく、まず目的を伝え、自分が率先して行動し、実行しやすいよう段取りを整え、感謝の気持ちを伝える。そうやって初めて人は動いてくれるということです。
また卒業研究では、「大学キャンパス内における学生の空き時間の居場所と過ごし方」をテーマに取り組みました。友人を中心に20名ほどの調査員を集め、ある特定の空き時間に何処に何人の学生がいたか、どんな行動をしていたかを調査。そこからキャンパスの設計や設備のあり方についての提言を行い、ゼミの奨励賞をいただきました。
今の私には、こうした大学時代の体験がとても大きく影響していると思います。

REAL 03 理系学部が面白いと思ったら、
そこに真っ直ぐに向かっていってほしい。

就職活動は3年次の夏から始めました。建築学科の専門性を活かしたいと思い、ハウスメーカーや不動産、インテリア関連など、幅広く説明会に参加しました。最終的に清水建設を選択したのは、歴史的な建物の保存・改修を専門とする社寺建築・住宅部という部署があったからです。
建築の仕事では、もちろん先進的なビル建設も重要です。ただこれから必要になるのは、ただ新しいものを作るのではなく、今ある建物を生かしながら維持していくことです。既存の建築物に改修を加えて価値を高めるリノベーションの考え方が、これからの時代にはとても大切になる。建築学科で学びながら、自分でもそう考えるようになりました。
清水建設では、施工管理技士として働きます。発注された建物の品質・納期・コスト・安全性について責任を持つ仕事です。そこで必要なことは、やはり人をまとめる力です。協力会社や現場の職人さんの気持ちに寄り添い、信頼していただける施工管理技師になりたいと思います。
ゼネコンの施工管理技士は、女性がまだ少ない仕事です。正直不安もありました。でも、人と一緒にチームで一つの建築物を完成させていく仕事に、すごくやりがいを感じます。
就職活動を通じて、建設業界も女性が働きやすい環境に変わってきていることを実感しました。理系学部が少しでも面白いと思ったら、その自分の好きなことに真っ直ぐに向かっていってほしいと思います。自分の好きなことを仕事にするのが一番と私は考えます。

入学前から入学後の成長データ
好奇心(積極性) 70%80%
建築業界の中には、ハウスメーカーやインテリア、都市開発など、様々な分野の仕事があることを知り、設計以外の職業にも興味を持つようになりました。
柔軟性(対応力) 70%80%
卒業研究や設計の授業で、周囲の人の助けを得て課題に取り組む機会が多かったので、自分一人で考え込まず、いろんな人に相談することが大切だと思いました。
持続性(あきらめない気持ち) 70%80%
卒業研究や設計課題では、提出日やプレゼンの締め切りがあるため、計画的に物事に取り組み、毎日コツコツと作業をするようになったと思います。
楽観性(失敗に対する前向きさ) 70%60%
就職活動を通して、働くということは楽しいことだけではなく、大変なことも多いと知ったからです。
冒険心(挑戦する気持ち) 70%60%
挑戦することはとても大切ですが、まずは社員や職人さんに信頼していただけるよう、礼儀をわきまえ、積極的な姿勢で仕事に挑みたいと思っています。