大舞台での最高の経験が、
次のステージへの原動力に。

競泳 女子4×200mフリーリレー出場

白井 璃緒

SHIRAI RIO

代表選手として持つべき覚悟を知った。

東京大会で初めて五輪の舞台に立たれた感想をお聞かせください。

競泳の会場である東京アクアティクスセンターに初めて訪れたのは、代表選考会を兼ねた6月の日本選手権水泳競技大会の開催前でした。当時は全く実感がわかず、どのような大会になるのかも想像がつかなかったので、私にとって五輪は未知の世界でした。本番を迎え再び会場に入った時も選考会と同じような雰囲気を感じたのですが、レースが始まってプールに飛び込んだ瞬間、「私は今、五輪の会場で泳いでいるんだ」という実感が急に込み上げてきたんです。息継ぎの際、観客席に日本の国旗が見え、気持ちが高まりました。

無観客開催でしたが、関係者の方々がレースを見守っていましたね。

準決勝・決勝につながる大事なレースなので、関係者のみなさんはすごく応援してくれました。自分のレースが終わった選手もたくさん会場に残ってエールを送ってくれていましたし、とても盛り上がっているなと感じました。

惜しくも予選敗退となりましたが、結果をどう受け止めておられますか。

いい結果を残す選手は、予選・準決勝・決勝のどのレースにおいても速い泳ぎをするのだと再認識しました。これまでも、「自分はどうして予選止まりなんだろう」と考えることがありましたが、それはやはり日々の積み重ねなのだと思います。また、速い泳ぎをする選手からは、より強く自国の代表選手であるという自覚や覚悟を感じたと同時に、私は集中力不足で雑念があったのだと気づかされました。結果を残すにはまだまだ意識が足りない。2年後のパリ大会に向けて、気持ちの面から高めていく必要があると思っています。

レース以外での思い出はありますか。

選手村で食事をとるのが楽しみの一つで、特に日本のご当地メニューを提供しているカジュアルダイニングがお気に入りでした。2日ごとにメニューが変わっていくので、さまざまな地域の郷土料理を味わえました。レース前はカジュアルダイニングでヘルシーな日本食を中心に食べることを心がけ、レースが終わってからメインダイニングで思う存分好きな食事を楽しんでいました。食事の時間でリラックスできたと思います。

がむしゃらに目の前の練習に取り組んだ日々。

東京五輪の開催は、コロナ禍で1年延期になりました。その期間はどのような思いで過ごされていたのでしょうか。

大会が開催されるのか中止になるのか、直前まで誰にも分かりませんでした。もちろん開催してほしいという思いはありましたが、こういった状況では難しいこともわかっていましたので、どの選手も葛藤を抱えながら練習を行っていたように思います。ただ、練習が無駄になることは決してないと考え、大会の実施・中止にかかわらず「とにかく今は目の前のことに頑張って向き合おう」と日々メニューをこなしていました。

練習にはどのように取り組んでいたのですか。

大会前は、リレーメンバーの五十嵐千尋選手や、同じ東洋大学水泳部所属で日本代表に選ばれた酒井夏海選手と一緒に練習をすることが多かったです。200mを繰り返し泳ぐのですが、私はスタミナが足りず後半の100mでタイムが落ちるため、そこをどう切り抜けていくかを意識して取り組んでいました。五十嵐選手は後半が強いので、必死に食らいついていこうと思っていましたね。また、1日の最後には必ずリレーをつなぐ練習もします。私は五十嵐選手から引き継ぐことになっていたので、五十嵐選手のタイミングに合わせて飛び込む練習を何度も行いました。

100mと200mでは泳ぎの内容が異なるのですね。

200mはスピードとスタミナの勝負です。ずっと全力で泳ぎつづけるには、少しきつい距離ではあります。ただ、スタミナとの勝負の壁を乗り越えさえすれば、絶対に速く泳ぎきれるという自信があるので、やりがいのある種目だと思います。

ハードな練習が続くと心身共に疲労がたまっていくと思いますが、モチベーション維持やストレス発散のためにしていることはありますか。

お風呂上がりにスキンケアをしている時が、一番心が休まる時間です。フェイスパックをしながらその日に行った練習や誰かと話したことを振り返り、「今日は理想のタイムで泳げたな」「一緒におしゃべりした人は面白い子だったな」と思いを巡らせています。たとえネガティブな感情を抱いていても、この時間でリフレッシュすることができますね。

自分の現在地を見つめ、再び大舞台を目指したい。

東京大会を終えて、得られたものはありますか。

技術力の高い選手が取り組んでいることを観察し、自分の練習に取り入れることができました。練習内容のバリエーションが増えたことだけでなく、視野の広がりと物事を見極める力が身に付いてきたと感じます。今の自分の状態をきちんと理解し、いま何が必要なのかを考えて成長につなげられるようになりました。

今後の目標について教えてください。

現時点で、自分が最も得意とするのは200m背泳ぎ。この種目でパリ大会に出場し、メダルを取ることが目標です。もちろん、リレー種目にも出場したいと考えているので、課題に感じているスタミナをしっかり身に付けタフな選手になり、再び五輪の舞台で活躍したいです。そのためにも、充実感や達成感を得られる内容の濃い練習に取り組み、一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。

INTERVIEW MOVIE

白井璃緒選手 インタビュー動画

PROFILE

白井 璃緒 SHIRAI Rio

東洋大学
国際観光学部国際観光学科
 4年(大会出場時)
水泳部所属

1999年9月10日生まれ。兵庫県出身。兵庫県立宝塚東高等学校卒業。2歳のときからJSS宝塚スイミングスクールで水泳をはじめる。東洋大学1年のときに日本代表に選抜され、パンパシフィック水泳選手権に出場。4×200mリレーのメンバーとして決勝進出を果たし、日本記録をマークして4位入賞。2019年4月の全日本選手権では200m自由形、200m背泳ぎの2種目で優勝。同年7月の世界水泳選手権では、4×100mリレーと4×200mリレーでもともに決勝進出を果たし、2020東京五輪出場内定を獲得。大会では4×200mリレーに出場。惜しくも決勝進出は逃したが、その目はすでにパリ五輪を見据えている。