自身の体に適した戦略・道具を用いて繰り出される華麗な演技。パラ馬術 自身の体に適した戦略・道具を用いて繰り出される華麗な演技。パラ馬術

肢体や視覚などに障がいを持つ選手が馬を操り、
演技の美しさや正確性を競うパラ馬術。
重要なのは、馬との信頼関係はもちろん、
馬に指示を伝えるための緻密な工夫。
各選手がどんな工夫をして馬と対話しているのか、
そのエレガントな演技に隠された秘密に迫り、パラ馬術をもっと楽しもう。

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出場選手 内容 日時
稲葉将 個人・グレードⅢ 8.27(金)15:00-22:20
稲葉将 団体 8.28(土)17:00-22:10
稲葉将 団体 8.29(日)18:00-20:45
稲葉将 フリースタイル・グレードⅢ 8.30(月)15:00-22:15

競技の見どころ分析

パラ馬術日本代表
稲葉選手のイチオシ!

人馬が一体となり、華麗な演技を繰り広げる馬術。パラ馬術の場合、選手は障がいの種類や程度によって5つのグレードに分かれて競技を行います。さまざまな障がいを持つ選手たちが凝らす多種多様な工夫、また、それぞれが適した道具を使って行う馬とのコミュニケーションに注目するのも、パラリンピックならではの魅力だと思います。私の場合は足に麻痺があり、足の力で馬に指示を出すことができません。その代わりに指示の要となるのが、2本の鞭です。ただ、鞭を強く使いすぎては馬にも負担がかかりますし、オーバーアクションとなって優雅さに欠けてしまいます。馬の持つポテンシャルを最大限に引き出し、無駄のない美しい演技をするためには、繊細な鞭さばきを行う高い技術力と、選手と馬との普段のコミュニケーションから築かれる信頼関係が大きなカギとなります。人と馬との息の合った演技を楽しんでいただけたらと思います。

Profile
稲葉 将(いなば しょう)・・・
神奈川県出身/シンプレクス株式会社、静岡乗馬クラブ(東洋大学 国際地域学部国際地域学科 2018年3月卒業)

Point 1 特殊馬具やアシスタントとの
コンビネーション

人と馬とがパートナーとなり、動きの正確性や美しさを競う馬術。①決められた動きを披露する個人課目、②3人1チームで規定演技を行う団体課目、③「馬のバレエ」とも呼ばれ、選手考案のオリジナルのパターンで音楽に合わせて自由に乗りこなすフリースタイル(個人種目上位の選手のみが出場可)の3種類があります。選手は、障がいの種類・程度によって独自の工夫が認められており、例えば手に障がいのある選手なら、手綱を口でくわえたり片手で持ったりして馬に指示を伝えることが可能です。視覚障がいのある選手の場合はアシスタントとのコンビネーションも重要で、位置を知らせる「ガイド」を最大13人まで配置することができます。記憶障がいのある選手には、馬場の外からコースを伝える「コマンダー」がサポートすることもあります。また、手綱を引く微妙な力加減一つでも馬の動きは変わってきますが、選手たちはそれぞれの障がいを補う特殊馬具を用いており、一人として全く同じ戦法、かつ同じ道具で競う選手はいません。

Point 2 強豪ヨーロッパ勢に立ち向かう
新たな地域の台頭なるか

馬術は欧米で長い歴史があり、競技人口も多くスポーツとしても人気が高いため、パラ馬術の強豪もやはりヨーロッパ勢。特にイギリスは馬術大国として有名です。個人種目でも多数のメダリストが存在するほか、団体戦でもその強さを見せつけ、連覇を続けています。しかし、近年オランダやドイツなども上位に食い込むほか、南アフリカ、シンガポール、アメリカなども力をつけてきています。今大会では、開催国として選手の厚みを増した陣容で躍進を目指す日本を含め、ヨーロッパ勢の牙城を崩す新たな地域が現れるのかも注目されています。

Point 3 リニューアルされたばかりの
馬事公苑での演技に期待

パラ馬術は1996年のアトランタ大会から正式競技に採用され、東京大会では11種目でメダルを競います。大会の本会場となるのは、馬術の聖地、世田谷区の馬事公苑。1964年の東京五輪でも馬術競技が行われた場所です。今回の大舞台の開催地に選ばれたことを受け、よりハイクオリティな設備へと2017年から目下変貌を遂げています。馬場の砂には、国際基準に合致したヨーロッパ産のサンドダート(砂とフリースや合成繊維を混合した素材)を導入。滑らず、しっかりとグリップがきいて体勢を崩すことなくジャンプできるトップクラスの素材と言われており、騎乗者がより競技に集中できる環境へと整備されました。2022年夏には完全リニューアルオープン予定となっており、東京大会後の新たな馬事公苑にも期待が膨らみます。

知ればもっと楽しめる! Sports Knowledge

手綱に代わり、コマンドを出すのに欠かせない鞭 >>>

五輪の馬術では、手綱や足の動きによって馬に指示を与えますが、パラ大会では選手の障がいによっては同様のルールでは難しい場合もあります。そこで、選手の障がいを補うために、鞭(90cm~120cm)の使用が認められているのです。なお、基本的には鞭は1本ですが、障がいの程度によっては2本の使用が認められる場合もあります。

参考: TOKYO2020、パラスポ+

競技 and 選手DATA

競技データ

パラ馬術の
グレード

5

東京パラ大会
出場選手

4

【世界ランキング】
稲葉 将選手
(グレードⅢ)

30

稲葉 将

【近年の主な戦績】
2018年9月 世界馬術選手権大会
チームテスト (GradeⅢ) 10位 65.500%
インディビジュアルテスト (GradeⅢ) 14位 63.471%
2019年3月 CPEDI3 Gotemba大会
チームテスト (GradeⅢ) 優勝 65.098%
インディビジュアルテスト (GradeⅢ) 優勝 64.559%
2019年6月 CPEDI3 Gotemba大会
チームテスト (GradeⅢ) 優勝 63.970%
インディビジュアルテスト(GradeⅢ) 優勝 63.824%
フリースタイル (GradeⅢ)(決勝競技)優勝 66.633%
2019年10月 CPEDI3 Gotemba大会
チームテスト (GradeⅢ) 優勝 65.343%
インディビジュアルテスト(GradeⅢ) 優勝 64.559%
フリースタイル (GradeⅢ)(決勝競技)優勝 65.667%
2019年 第3回全日本パラ馬場馬術大会
チームテスト (GradeⅢ) 優勝 67.402%
インディビジュアルテスト(GradeⅢ) 優勝 68.431%
フリースタイル (GradeⅢ)(決勝競技)優勝 69.750%
2020年 CPEDI3 Genemuiden大会
チームテスト (GradeⅢ) 6位 64.706%
インディビジュアルテスト (GradeⅢ) 8位 64.314%
フリースタイル (GradeⅢ)(決勝競技) 8位入賞 63.455%
2020年 第4回全日本パラ馬場馬術大会
チームテスト (GradeⅢ) 優勝 67.059%
インディビジュアルテスト (GradeⅢ) 優勝 65.834%
フリースタイル (GradeⅢ)(決勝競技)優勝 67.956%
【自己ベスト】
〈チームテスト〉68.456%
(2020.7 第54回SHIZUOKAホースショー)
〈インディビジュアルテスト〉68.898%
(2020.8 御殿場馬場馬術競技会PartⅡ)
〈フリースタイル〉69.750%
(2019.11 第3回全日本パラ馬場馬術大会)

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