音の戦略が勝敗を決める暗闇のスポーツ。 ゴールボール 音の戦略が勝敗を決める暗闇のスポーツ。 ゴールボール

足音によるかく乱、タイミングをずらすフェイントなど、
音が試合のカギとなる「ゴールボール」。
見えないからこそ繰り広げられる迫力の攻防からは
目が離せない。
一球一球に込められた巧みな戦略を知ると、
ゴールボールがますます楽しくなる。

大会観戦ナビ

競技スケジュールをチェック!

出場選手 内容 日時
山口凌河 男子ゴールボール予選 日本 対 アルジェリア 8.25(水)13:15-16:00
山口凌河 男子ゴールボール予選 日本 対 アメリカ 8.27(金)13:15-16:00
山口凌河 男子ゴールボール予選 日本 対 リトアニア 8.28(土)13:15-16:00
山口凌河 男子ゴールボール予選 日本 対 ブラジル 8.29(日)9:00-11:45
男子ゴールボール準々決勝 8.31(火)13:15-16:15
男子ゴールボール準々決勝 8.31(火)17:45-20:45
男子ゴールボール準決勝 9.2(木)13:15-16:15
男子ゴールボール準決勝 9.2(木)17:45-20:45
男子ゴールボール3位決定戦 9.3(金)13:15-16:15
男子ゴールボール決勝 9.3(金)17:45-21:55

競技の見どころ分析

ゴールボール男子日本代表
山口選手のイチオシ!

男子の球速は時速60~70km。たった0.5秒で守備側にボールが到達します。アイシェードによって視覚を断った状態であるにも関わらず、音のみを頼りにそのボールをキャッチする凄さはぜひ会場で見て、感じてほしいです。ゴールに点を入れるというシンプルなスポーツですが、そこには様々な戦略があります。日本勢はチームで協力して随時作戦をたてながら点を狙う頭脳タイプ。私は正確なコントロールと、ここぞというときの決定力が強みです。ゴールボールはペナルティプレーが出た際、次の投球時に自陣のゴールを一人で守らないといけません。相手がペナルティを出した後の攻撃時、試合の流れを変えるチャンスでのゴール獲得率には自信があります。そういう場面で私がボールを持っていたら、是非期待して観てほしいです。

Profile
山口 凌河(やまぐち りょうが)・・・
茨城県出身/関彰商事株式会社所属(2019年 東洋大学社会学部社会福祉学科 卒業)
(2020年1月取材時)

Point 1 見えないところから迫るボール
守備のカギを握るのは「音」

ゴールボールは視覚障がいのある方のパラスポーツの一つです。名前の通り、ボールをゴールに入れるというシンプルなルールですが、選手たちは全員アイシェードというスキーゴーグルのような目隠しをしてプレイします。バレーボールと同じサイズのコートに1チーム3人の選手が立ち、幅9mのサッカーのようなゴールをめがけてボールを投げて得点を競い合います。高速で迫りくるボールからゴールをいかに死守するか。目隠しをした状態でボールの位置を確認するカギが「音」です。ボールの中には鈴が入っており、ボールから聞こえる鈴の音を頼りにボールが今どこにあるのかを予測し、体を張ってゴールを守ります。

Point 2 すべての行動に意味がある
豪快ながら細部まで考えられた攻撃

攻撃側は、守備側にボールの音を聴きとられないように様々な工夫を凝らしてゴールを狙います。例えば、ボールを投げる選手以外の2人がスローの直前にあえて足音を鳴らし、ボールを投げたふりをして敵チームをかく乱します。また、ボールを投げる選手も体を1回転させて投げるようなフェイントをかけてタイミングをずらしたり、遠心力を使って鈴の音が鳴らないように投げることで守備の隙間を狙います。他にもボールの縦回転と横回転を使い分けるなど、緻密な戦略で攻撃を繰り出します。

©SEKISHO CORPORATION

Point 3 「Quiet Please!」
会場全体が静まる独特なルール

音がカギとなるからこそ、少し変わったペナルティも。例えば「ノイズ」はボールを投げる選手も含め攻撃側の選手が、ボールを投げた後に守備側の選手に不利になるような音を出した際に与えられるペナルティです。それだけ音が試合の中で重要な要素だということが分かります。また観戦する人も配慮が必要。選手はボールに入った鈴の音や選手の足音、声掛けや息づかいを聴き分けてプレイしています。そのためプレイ中、会場は静寂になり緊張感が漂います。レフェリーによる「Quiet Please!」のコールが、静かにする合図。ただ、ひとたびボールがゴールに入ると、待ってましたと言わんばかりに、会場は大歓声に包まれます。

©SEKISHO CORPORATION

参考:一般社団法人 日本ゴールボール協会、2020年/SMBC We are Team SMBC、2020年

知ればもっと楽しめる! Sports Knowledge

ゴールボールの発祥について >>>

ゴールボールはもともと第二次世界大戦で視覚に傷がいを負った軍人に向けて、リハビリテーションの効果促進を目指して生まれました。医療分野のプログラムの1つでしたが、1946年にオーストリアのハインツ・ローレンツェンとドイツのセット・ラインドルによって競技として紹介されたのがスポーツとしての始まりだとされています。

ボールの重さと価格について >>>

ボールの重さは1.25㎏。軽々と投げているように見えますが、実はバスケットボール2個分の重さがあります。また、ボール1つあたりの値段は2万5千円~3万円と、他の球技と比べて高めの設定。世界でも数社しか製作していない貴重なボールなのです。

参考: 一般社団法人 日本ゴールボール協会、2020年/SMBC We are Team SMBC、2020年

競技 and 選手DATA

競技データ

日本チーム
【世界ランキング】

11

(2019年12月現在)

2020年 東京五輪
ゴールボール男子日本代表

初出場

山口 凌河

【近年の主な戦績】
2013年世界ユース選手権大会 優勝
2013年アジアユースパラ競技大会 3位
2017年日本代表強化指定選手に選出
2017年IBSAゴールボールアジアパシフィック選手権大会 3位
2019年ジャパンゴールボールメンズオープン 優勝[大会得点王]
2019年IBSAゴールボールアジアパシフィック選手権大会 3位

※競技&選手DATAは2020年3月現在のデータです。

CHECK MORE!

山口選手のインタビューはこちら!
HOME