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第3回哲学ゼミ ~生まれくる命をめぐる対話~ 熊本での合宿を行いました

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本校の「哲学教育」の一環として哲学ゼミがあります。これは、特定のテーマについて、教室を飛び出し現場の空気に触れ、自分自身が感じたことをもとに、仲間と議論し学びを深めていく希望者対象の少人数制の講座です。第3回となる今年度のテーマは「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」です。高校1・2年生の生徒16人の参加により、8月21日から23日まで熊本での合宿を実施しました。

 

生徒たちは合宿に臨むにあたり、7月より事前学習を重ねてきました。事前学習では、「こうのとりのゆりかご」に関する新聞記事やドキュメンタリー番組をもとに考えを深め、ゆりかごに関する事柄について調べ発表し、資料をもとに議論しました。

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2泊3日の合宿の1日目には、「こうのとりのゆりかご」の設置に携わった慈恵病院元看護部長の田尻由貴子さんのお話しを伺いました。設置に携わった田尻さんの想いを肌で感じ、赤ちゃんを預かるときの現場の様子を実際に伺ったその内容は多くの生徒の心に響いたようです。夜は、田尻さんを交え哲学対話を行い、新聞やニュースでは知り得ない貴重なお話しも伺いました。また、田尻さんの優しいお人柄に触れ「何でも話せちゃいそう」と漏らした生徒もいました。

生徒たちからは、「子どもは誰のものか」「命より大切なものはあるか」「幸せって何だろう」といった問いが出され、それらの中から選ばれた「『子どもの命は親のもの』という日本的な考えは、本当にそれでいいのか」という問いについて、皆で対話を深めました。

 

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2日目は慈恵病院を訪れ、まず熊本大学の石橋敏郎シニア教授のお話しを伺いました。「こうのとりのゆりかご」の法律上の位置づけ、預けられた子どものその後、情報公開の是非、匿名性の問題などについて、諸外国の例も交えながらわかりやすく説明してくださいました。また、ゆりかごの将来について、「単に知識が多いだけでは解決できない。若いあなた方が自分たちの頭で考え、答えを導き出していかなければならない」と問題提起をしてくださいました。時にユーモアを交えながら、お話は大学で学ぶことの意義、人としての生き方にまで及び、石橋先生の朗らかな雰囲気とお話に、生徒たちは聞き入っていました。

 
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その後病院の沿革についてのお話をいただき、「こうのとりのゆりかご」の見学をしました。実際に「こうのとりのゆりかご」までの小道を歩き、赤ちゃんが置かれるベットを間近で見て、さまざまな想いが重なり涙する生徒もいました。合宿前の事前学習でゆりかごについて多くのことを学んできた生徒たちでしたが、実際のゆりかごを見て、それまでの「知識」中心の理解を超えたものを感じた様子でした。

その後、「こうのとりのゆりかご」の設置を決断し、現在まで運営に携わってこられた蓮田太二理事長のお話しを伺いました。ゆりかご設置までの経緯、予期せぬ妊娠をめぐる現実、制度上の問題、多くの困難と残された課題など、一つ一つのお話からゆりかごに込めた蓮田先生の思いが伝わり、生徒たちからも多くの質問が出ました。

 

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午後は、慈恵病院で特別養子縁組を行った高口ルースさん、茂雄さん夫妻をお招きし、特別養子縁組のお話や高口家の様子を聞かせていただきました。実子、養子、里子の子どもたちに対してのわけ隔てないご夫妻の愛情を感じ、涙する生徒が多くいました。また自分と重ね合わせ、育ててくれたお母さん、お父さんへの感謝の気持ちを改めて思い返す時間にもなったようです。講演のあとは、温かな雰囲気の中でルースさん、茂雄さん、田尻さんを交えて対話を行いました。

 

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3日目は熊本日日新聞社を訪問し、「こうのとりのゆりかご」を取材されているの森本記者のお話しを伺いました。ジャーナリストの立場から、「こうのとりのゆりかご」をめぐるさまざまな問題点や課題について問題提起され、1日目、2日目とは違った視点で考える時間になりました。生徒たちは立場を変え、様々な視点から物事を見ることの大切さを実感し、ゆりかごの問題の多面性について気づかされることになりました。また自分自身と向き合い、「人間って複雑…」と漏らした生徒もいました。

 

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この哲学ゼミ合宿を振り返って、「それまでわかっていたと思っていたことが、お話を聞けば聞くほどどんどんわからなくなっていった」「命に関する問題はどうしても美化してしまう。でもそれだけではダメなんだと思った」「答えが出なくても考え続けることが大切なんだ」といった感想が出されました。まだまだ答えの出ないこのテーマについて、生徒たちの学びは続きます。

※今回のゼミ合宿は熊本日日新聞、RKK熊本放送、KKTくまもと県民放送の取材を受け、その様子が新聞掲載、TV放送されました。

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