2011年10月6日
FD委員会
国際地域学部では、2011年度春学期に授業評価アンケートを実施しました。
実施科目数は128科目(国際地域学科29、国際観光学科22、非常勤57、イブニング10、イブニング非常勤10)、回答した学生数は7727人、回答率は74%でした。みなさんのご協力に感謝します。
国際地域学部では、このアンケート結果を教員の授業改善に向けた議論に役立てています。わかりやすい授業をすることと、それぞれの分野に必要な知識をしっかり身につけることとの両立をめざして改善に取り組んでいるところです。
集計結果
集計結果は図1、表1のとおりです。問1は「あなたはこの講義をどのような基準で選びましたか」という質問であり、必修科目なども含まれているため学部・学科等の集計では対象外としています。授業ごとに評価結果を参照していますが、ここでは省略しました。
全体的に3.74~4.34の評価を得ています。評価が4より低かった項目は次の10問で、授業の改善に向けたさまざまな努力が今後とも必要です。
- 問3. 授業に意欲的に取り組みましたか(3.85)
- 問4. 授業内容をよく理解できましたか(3.74)
- 問5. 授業内容はシラバスと整合していますか(3.99)
- 問6. 教科書、参考書、配布資料などは役に立ちましたか(3.94)
- 問7. 授業内容に触発され次の意欲にむすびつきましたか(3.67)
- 問10. 専門知識や用語の説明はわかりやすかったですか(3.91)
- 問11. 授業は要点をとらえた構成になっていましたか(3.96)
- 問14. 学生の授業参加を促す努力をしていましたか(3.89)
- 問15. 話し方、板書またはそれに相当する説明は適切でしたか(3.93)
- 問16. この授業の総合評価を行なってください(3.98)
評価が高かった項目は次の5つで、学生の皆さんが積極的に授業に出席し、熱心に取り組んだ努力を反映しています。これらの項目は、さらに高い評価となるようにしていくことが大切です。
- 問2.この授業によく出席しましたか(4.29)
- 問8.授業開始・終了の時間は守られていましたか(4.34)
- 問9.授業の進度は適切でしたか(4.10)
- 問12.授業へ熱心に取り組んでいましたか(4.30)
- 問13.学生の質問に対する対応は適切でしたか(4.05)
授業評価アンケートの集計結果
| | 設問 | 学部全体 | 国際地域学科 | 国際観光学科 | イブニング |
---|
1 | 1 | あなたはこの講義をどのような基準で選びましたか | | | | |
2 | この授業によく出席しましたか | 4.29 | 4.2 | 4.3 | 4.3 |
3 | 授業に意欲的に取り組みましたか | 3.85 | 3.8 | 3.8 | 3.8 |
2 | 4 | 授業内容をよく理解できましたか | 3.74 | 3.7 | 3.6 | 3.5 |
5 | 授業内容はシラバスと整合していますか | 3.99 | 4 | 3.8 | 3.8 |
6 | 教科書、参考書、配布資料などは役に立ちましたか | 3.94 | 3.9 | 3.9 | 3.7 |
7 | 授業内容に触発され次の意欲にむすびつきましたか | 3.67 | 3.6 | 3.6 | 3.5 |
3 | 8 | 授業開始・終了の時間は守られていましたか | 4.34 | 4.3 | 4.2 | 4.2 |
9 | 授業の進度は適切でしたか | 4.1 | 4.1 | 3.9 | 3.9 |
10 | 専門知識や用語の説明はわかりやすかったですか | 3.91 | 3.9 | 3.8 | 3.6 |
11 | 授業は要点をとらえた構成になっていましたか | 3.96 | 3.9 | 3.9 | 3.7 |
4 | 12 | 授業へ熱心に取り組んでいましたか | 4.3 | 4.3 | 4.2 | 4.1 |
13 | 学生の質問に対する対応は適切でしたか | 4.05 | 4 | 4 | 3.8 |
14 | 学生の授業参加を促す努力をしていましたか | 3.89 | 3.9 | 3.8 | 3.7 |
15 | 話し方、板書またはそれに相当する説明は適切でしたか | 3.93 | 3.9 | 3.8 | 3.6 |
5 | 16 | この授業の総合評価をおこなってください | 3.98 | 4 | 3.9 | 3.6 |
| | 回答者数 | 7727 | 2588 | 1718 | 524 |
| | 実施科目数 | 128 | 29 | 22 | 10 |
出典:国際地域学部2011年度春学期授業評価アンケート結果から作成
自由記述部分
さまざまな意見が自由記述には記されており、学生のみなさんの多様な意見がわかります。その中で、特徴的な点をまとめてみました。それぞれの授業での改善と学部・学科としての改善が重要です。
【国際地域学科】
国際地域学科の学生の自由記述による意見では、個別の授業に対して内容が分かりやすい、説明が良かった等、当該授業の内容が如何に理解しやすいかということに評価のポイントを置く学生が多いようです。また講義に当たりパワーポイントが使用される授業を歓迎する声が非常に多く、レジュメや配付資料の分量、理解しやすさ、さらにレジュメへの書き込み方式等授業に対する工夫の有無を重視しているように思われます。
- DVD、映画、ビデオ等映像資料を用いる講義が多いこともあるでしょうが、これら映像媒体を巧みに活用している授業は、聴講する学生の印象に残りやすいことや、興味が沸くこともあり、どの分野の授業においても高い評価を得ているようです。
- 学生自身が静謐な環境で授業を受けられることを求めており、私語の多い学生に対してきちんと注意したり、私語の禁止を徹底させるなど、多くの学生が教員の説明をきちんと聞き取れるような授業環境の確保に配慮している教員の姿勢を評価していました。またそうした静穏な環境が今後とも確保されるよう求める声もありました。これは、学生の授業に対する興味の高さ、あるいは学習に対する真摯な取組姿勢を示していると思います。
- その一方、専門用語に対する教員の説明の仕方や、板書・声の大きさ・授業進度に関する不満、問題点の指摘もありました。専門用語の説明はなるべく丁寧に、また学生の質問に応えてほしい、あるいは質問の機会を与えてほしいといった要望や、声が小さい、マイクの使い方が拙劣である、早口で聞き取りにくい等、教員のプレゼンテーションに対する一層の改善と工夫が求められています。
- 授業中の私語、学生への注意を増やしてほしい、遅刻や無断早退の学生を教員が注意しない、そうした学生も他の真面目な学生と同じように出席扱いしているのは不公平であるといった要望も多く、教員はこうした学生の不満に対応し、授業への不満や不公平感を残すことがないよう努力する必要があるようです。
- 学部全体に対する意見として、学食への不満、科目配分や時間割、新規開講科目の要望なども寄せられており、可能なものについては、改善の方向へと検討していきたいと思います。
【国際観光学科】
- 国際観光学科の学生の自由記述による意見では、国家試験等各種試験対策として、出題傾向がわかった、問題の解き方がわかりやすかった等、将来の資格取得を念頭に、授業の説得の仕方や解説の要領、単元等に関して、かなり具体的な評価がなされていました。これは観光学科の性格から来る意見と思われますが、普段の授業と各自の資格取得とを一体・連動させて受講している学生の真剣な姿勢が伝わって来ました。
- 特別講師等外部から招聘した講師、ゲストの講義が役に立った、あるいはそれに期待しているというコメントも多く、これも観光学科ゆえの特徴だと思います。具体例を多く挙げる講義を高く評価する学生が多いのも、観光学科のアンケート結果に見られる傾向の一つです。抽象的な概念の習得理解に留まらず、将来各人が担当する実務との関連で授業を捉えており、現場で働いている方々の生の声や職場のノウハウ等の説明を非常に興味深く受けとめているようです。今後もこうした授業を増やしていくことが学生の期待に応えることにもなると思われます。
- 語学の学習についても、会話やトーク、集団討議等実戦的な練習を経験できる授業が高く評価されており、この分野に於いても、将来の職業人に相応しい、あるいはビジネス活動に必要な授業を求めているようです。
- 改善すべき問題点の指摘としては、授業で解く問題や例題の数をもっと増やしてほしい、計算式の説明がわかりにくいなど、これも資格試験との関係で、合格を勝ち取るためにより高い解説授業や豊富な試験データの提供を求める意見が多く、教員の側もこうした要望に極力応えられるよう一層の努力が必要でしょう。
- これは地域学科とも共通しますが、教室のサイズとクラスのサイズの不一致、また、エアコンの設定や換気について、あるいは、学食への不満なども聞かれました。改善の方向へと検討していきたいと思います。
【イブニングコース】
- イブニングコースの学生の自由記述による意見の内容については、国際地域学科のそれと大きく異なっている点はありませんが、地域学科に比べて、パワーポイントや映像資料の利活用に関するコメントはさほど多くなく、直裁的に授業がわかりやすかったかどうかという点が評価のポイントになっているようです。
- これまであまりOA機器に触れた経験がなかったので、大学でパソコンの操作や技術を体系的に学び、習得できたことを評価する意見が出されていました。イブニングコースの場合は、開講科目数に制約がありますが、このような学生の意見を踏まえ、情報関係の科目については選択の幅を広げられるような工夫が求められるようです。
- 大学・学部に対する要望、改善事項としては、他学部開放科目を増やしてほしい、第二外国語の選択幅を広げて欲しい、あるいは観光関係の科目を増やしてほしい等開講科目に関する要望が出されていました。全ての希望を実現するには困難な問題もありますが、開講を希望する科目に就いて学生にアンケート調査を実施してはという提案もあり、一度学生の意見を聴取、集約する必要はあるように思います。
- 地域学科と同様、授業がわかりやすい、配付資料が参考になった、説明が良かった等授業内容を評価する意見が多い反面、改善すべき事項に、教員の声が小さい、聞きづらい、板書が見づらいといったプレゼンテーションに関係する意見もあり、特に、冗長な講義を止め、ポイントを的確に説明してほしいとのコメントが散見されました。時間的制約のある夜間の受講であることが影響していると思われ、イブニングコースの今後の授業のあり方を検討する中で、こうした意見も十分考慮に入れる必要があると思われます。
- 最後に、イブニングコースにおいては、良い点、改善すべき点のいずれについても、学生のコメント数や記述量が少なかったことが気になります。今後の授業の進め方を考える上で、学生サイドの意見や希望は非常に重要な情報であるので、今後はより積極的にコメントしてもらいたいと考えています。
授業評価アンケートの集計結果グラフ

出典:国際地域学部2011年度春学期授業評価アンケート結果から作成