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国立市公共施設マネジメントに関する研究報告

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国立市公共施設マネジメントに関する研究報告

 東洋大学PPP研究センターでは、国立市からの依頼に基づき、同市の公共施設のあり方を検討した研究報告を取りまとめました。本研究では、科学的な見地から客観的な評価を行い、多額にのぼる将来の更新投資資金不足を解消するための長寿命化、施設統廃合、多機能化、PPP、土地有効活用などの具体的な選択肢を提示するとともに、その効果を定量的に検証いたしました。その結果、近年の公共投資の圧縮によって予算確保可能額が大きく低下しているため今後も大幅な予算不足が見込まれるものの、上記のすべての方法を組み合わせることによって、解決の目処が立つことを示しました。この分野での客観的研究としては最先端のものです。報告書は以下の国立市ホームページからダウンロード可能です。

http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/gyoseihyoka/005546.html

報告書「はじめに」

 本研究は、国立市からの依頼により、同市の公共施設等のあり方に関する研究を行ったものである。周知の通り、わが国の公共施設は1960年代の東京五輪期、1970年代の高度成長期から集中的に整備された。これらの公共施設が現在4~50年経過し、今後いっせいに老朽化しはじめる。老朽化した公共施設は物理的に弱くなり、柱や壁が破損し、利用者の生命や財産を危険にさらす。東日本大震災では、震源地から遠く離れ、震度7でも津波被害もなかった東京九段会館のホール天井が崩落し2名の方が亡くなり、神奈川県藤沢市庁舎本館が全壊扱いとされ使用不能に陥るなど、深刻な被害例が報告されている。地震がなくても老朽化は確実に到来し日々危険は高まっていく。確実に到来する「緩やかな震災」に対処するのは行政の最重要の義務である。前述の東京九段会館の事故では、管理者が業務上過失致死で訴えられた。今や、老朽化した公共施設を放置することは「罪」に問われる時代なのである。

 一方では、2000年代に入り、公共投資に使える財源は縮小の一途をたどってきた。増大する社会福祉費用に財源を奪われたためである。今や、日本は、全国で「増大する需要を減少する予算でまかなう」というジレンマに陥っているのである。2010年内閣府PFI推進委員会で発表された試算では、現在ある公共施設・インフラをそのままの規模で維持するためには、公共投資予算を今後50年間、3~4割増加させる必要があるとされている。現状でも先進国中最悪の負債依存度のわが国の財政では、到底こうした財政負担には耐えられない。まさに、このまま老朽化を放置すれば「物理的崩壊」か「財政破たん」かの衝撃に見舞われるのである。

 もちろん、国立市だけがこの衝撃から逃れられるものではない。市は、こうした状況を認識し、将来の市民の安全安心を確保するために、まず、実態を把握すべく公共施設白書を作成し公表するとともに、公共施設の今後のあり方の検討に着手した。公共施設の見直しは、次世代住民のためには必要不可欠であるとしても、現世代住民の理解を得ることが難しい厳しい課題である。わたしたち東洋大学PPP研究センターは、この分野の研究を先駆的に行ってきた。

 今回、困難なテーマに逃げることなく取り組もうとしている国立市の姿勢に心から共感するともに、専門の学術研究機関としてお手伝いをすることにした。本報告書はその研究の成果である。

 具体的には、以下の通り構成されている。

 第1章では、公共施設の老朽化状況、更新投資負担及び公共投資予算の確保可能性を検討し、将来の更新投資が確保されるか、不足するのか、不足の場合はどの程度なのかを検討した。これにより、大幅な不足が予測され、聖域なくすべての施設を検討の対象にすべきであると結論付けた。

 第2章では、今後どのような種類、規模の公共施設を維持していくべきかの検討を行うために、人口等各種データや不動産会社や住民からのヒヤリングを行った。その結果、国立の魅力は、居住、教育環境への高い評価であり、公共施設の多寡や公共サービスの充実が魅力の源泉となっているわけではないことを明らかにした。

 第3章では、本センターが、「できるだけ機能を維持しつつできるだけ負担を引き下げる」方法として一般的に推奨している3階層マネジメント法を用いて、市の施設の再編を考察した。計算にあたっては、本センターが開発した更新投資計算ソフトを用いて感度分析を行うことにより、規模の削減や公民連携(PPP)の活用等複数の選択肢を提示した。また、これらを複合的に組み合わせれば、ある程度の効果が出ることを確認した。

 第4章では、第3章の選択肢を検討し合意を形成し、実現していくための庁内組織、市民合意形成方法等を検討した。また、公民連携(PPP)を活用する方法に関しては、具体的に複数の方法を提案した。

 本報告書は、今後の長い道筋の端緒にすぎない。市におかれては、速やかに次のステップをはじめていただくことを心から期待するものである。

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