No.04

怪力という思い込みに隠された真実 だいだらぼっち meets ウエイトリフティング 怪力という思い込みに隠された真実 だいだらぼっち meets ウエイトリフティング

思い込みに惑わされないで~。

だいだらぼっちって?

日本各地の山や湖を作ったと言われている妖怪。気が優しい力持ちの大男「だいだらぼっち」が、民衆の生活を助けるために山や河川を動かしたという伝承が各地の風土記に記されている。しかし、このような民話は、古来の日本における「国づくりの神」への信仰がきっかけとされている。大昔の人々の神に対する厚い信仰心が、人々の思い込みによって巨人として表象され、山を簡単に動かすほどの怪力を持つ妖怪へと変化していった。

参考:村上健司『妖怪事典』毎日新聞社、2000年

基礎情報
だいだらぼっち
[大きさ] 12km(推定) 
[出没場所] 山 
[性格] 豪快

だいだらぼっちが解説!ウエイトリフティングにまつわる思い込みのはなし だいだらぼっちが解説!ウエイトリフティングにまつわる思い込みのはなし

オリンピック競技で「怪力」といえば「ウエイトリフティング」。だいだらぼっちが人の思い込みによって巨人の姿になったように、ウエイトリフティングも腕の力でバーベルを持ち上げる競技と思い込まれがち。しかし、ウエイトリフティングに求められるのは実は総合力。全身の重量を支える脚力、美しいフォームを完成させるための柔軟性、一瞬で持ち上げるためのスピード、バーベルをまっすぐに支えるバランス感覚、そして選手同士の駆け引きの中で技を成功させる集中力。どのスポーツにも通じる基礎的な要素が必要になる繊細な競技なのである。

【参考】東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 競技一覧

スポーツを哲学する!東洋大学 パワーリフティング・ウエイトトレーニング部の取り組み 東洋大学パワーリフティング・ウエイトトレーニング部 監督 小澤 孝 スポーツを哲学する!東洋大学 パワーリフティング・ウエイトトレーニング部の取り組み 東洋大学パワーリフティング・ウエイトトレーニング部 監督 小澤 孝

ウエイトリフティングのルールとして、バーベルを一気に持ち上げた(拳上)際に足裏以外が床に触れると失敗と判定されます。そのため、バランス感覚や体幹は重要です。当部の日常的な練習では、筋力トレーニングはもちろんのこと、スポーツ科学の観点を取り入れたストレッチングにも注力しています。たとえば、バランス感覚をより効率的に養えるバランスボール、体幹を鍛えるためのチンニング(懸垂)で手の幅を狭くしたり広くしたりする等の器具やトレーニング方法を積極的に活用し、より効果が出やすいトレーニング方法やスポットレデューシング(部位別のエクササイズ)を行います。

また、ウエイトリフティングはスナッチ競技とクリーン&ジャーク競技の2種類が存在しますが、バーを頭上・肩の上まで持ち上げ、素早く体をバーベルの下へ入れる点は共通しています。求められるのは、上半身と腕の筋力だけでなく、体を垂直方向に飛び上がらせる脚筋力や瞬発力です(カエルが柳の枝に跳びつくイメージ)。瞬発力を高めるため、陸上経験者のアドバイスのもと、坂道(上り)ダッシュ、短い距離の繰り返し、前後開脚(ランジ)のゆっくりした動作など、個人に合わせたトレーニングを行い、さらにそのパフォーマンスを計測・数値化(時に応じて、血液分析をもとに適切なトレーニングを行えているかの検証も行います)。データ分析した上で各選手にフィードバックするサポートもしています。

そのほか、最高能力を発揮するための「ピーキング」(選手の調子をいつ最高な状態にもっていくか)を重要視しています。特に体重別競技の場合は、いかにして体重1kg当たりの拳重量を高め維持していくか、一日のうち午前・午後でも調子が変わるので集中力が大事です。 なお、パラリンピックのパワーリフティングでは下肢が不自由でも上半身のベンチプレスで物凄い力を発揮する選手がいます。オリンピックのウエイトリフティング・パラリンピックのパワーリフティングを併せて観ると、人間の本能的な凄さをうかがい知ることができると思います。是非、ご観戦ください。

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妖怪イラスト:伊野孝行
(イラストレーター・東洋大学法学部卒業生)