No.03

華やかな行進に秘められた二面性 百鬼夜行 meets 開・閉会式 華やかな行進に秘められた二面性 百鬼夜行 meets 開・閉会式

楽しいだけじゃないんだよ。

百鬼夜行って?

夜中に現れる、姿・形がさまざまな妖怪たちが群れをなして歩く様子で、平安時代から多くの物語や絵巻において描かれている。妖怪たちが楽器や道具を用いて楽しそうに列をなす賑やかなイメージがあるが、出くわすと大病や死の危険があるとして人々から恐れられていた。
また、百鬼夜行を描いた『百鬼夜行絵巻』には、全部で4つのパターンがある。伝承された経緯や、描かれている内容には違いがあるものの、大勢の鬼や妖怪が行進しているという点では共通している。

参考:小峯和明『今昔物語集の世界』岩波書店、2002年/ひょうご歴史ステーション デジタル博覧会「作品を知る 百鬼夜行絵巻」

基礎情報
百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)
[妖怪の数] 40~100体 
[好きな時間] 夜中 
[特徴] 賑やか

百鬼夜行が解説!セレモニーにまつわる行進のはなし 百鬼夜行が解説!セレモニーにまつわる行進のはなし

オリンピックの「行進」といえば、開・閉会式での選手団の「行進」。各国の選手団が笑顔で行進する、壮大で華やかな式典という印象を持つが、選手の紹介を行うだけではなく、国際問題や戦争の歴史にもスポットライトをあて、開催国の歴史と文化をアピールする場としての役割を果たしている。また、『百鬼夜行絵巻』に4つのパターンがあるように、東京2020大会では、会期中の4つの式典を「和」というテーマのもと一連の四部作として構成。アスリートと観客の「和」、世界中の国が一体化する「和」など、異なる視点から共通テーマの「和」を表現する。

【参考】東京2020大会開会式・閉会式に関する基本コンセプト最終報告/AGU RESEARCH「オリンピック開会式の『芸術プログラム』を読み解く」

スポーツを哲学する! 法学部法律学科 谷釜教授の哲学 東洋大学法学部法律学科 教授 谷釜 尋徳 スポーツを哲学する! 法学部法律学科 谷釜教授の哲学 東洋大学法学部法律学科 教授 谷釜 尋徳

オリンピックの開・閉会式における「芸術プログラム」で特に印象的なのは、2000年のシドニーオリンピックです。オーストラリア大陸はもともと多くの先住民族が暮らす土地で、現在も移民・難民によって多様な文化が共生しています。オーストラリア中から集まった約2000人の先住民族が伝統的な宗教儀礼やダンスを披露したことは、国民の多様性を強調していました。非ヨーロッパ系の移民を制限していた時代もありましたが、国全体をあげて多文化主義を推進するメッセージを世界中に示したことは、オリンピックが目指す平和主義と重なるものだったと言えます。

もうひとつ、1964年の東京オリンピックの閉会式では、運営上の手違いもあり、国別ではなく各国の選手が入り混じって行進しました。戦いを終えた選手たちが、国籍や文化の違いを越えて楽しそうに交流する姿は、衛星中継で世界中に発信されました。オリンピックは国家同士の争いの場ではなく、選手が全力を尽くして互いに高め合う舞台です。オリンピックに出場する選手達は、世界最高峰の競技者であると同時に、平和のアンバサダー(親善大使)でもあることを忘れてはなりません。

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妖怪イラスト:伊野孝行
(イラストレーター・東洋大学法学部卒業生)