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2017年度 第9回未来を拓くトップセミナー「『世界で活躍する』ために」を開催しました(白山キャンパス)

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船橋洋一氏(正面)2017(平成29)年11月29日(水)、2017年度の第9回目となる「未来を拓くトップセミナー」を白山キャンパスにて開催しました。本セミナーは、各界において指導的立場で活躍している方々を講師としてお招きし、将来への指針となるご講演をいただくことで、学生のキャリア形成の一助とするために開催しています。
今回は講師に一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長の船橋洋一氏をお招きし、「『世界で活躍する』ために」というテーマでご講演をいただき、約380名の本学学生、教職員が聴講しました。
船橋氏は講演冒頭、「私自身が一記者として、これまでしてきたこと、世界とどう関わってきたか、どこで何を感じてきたかということを中心にお話ししたい」と述べられました。

ジャーリズムとは真実を静かにすくうこと

元朝日新聞主筆であった船橋氏は「記者という仕事は、定義や資格があるわけではありません。まず、当事者に会うこと。しかも、会うことは結構難しい。本当のことを話してくれるかということは、もっと難しい。さらに、その話を書いて報道することを認めてもらえるかどうか」だとお話しされました。
記者という仕事は、何があったのか、どうしてこういうことになったのか、背景はどうなっているのかと、「真実に一歩でも二歩でも近づくこと」だといいます。その際、自分でストーリーを組み立て、都合のいい材料を集めようとすれば、すぐに記事は完成するが、それはジャーリズムとしては筋違いであると述べました。「まずは虚心坦懐に人の話を聞く。そこから真実が自ずと浮かび上がってくる瞬間があります。その時が一番手ごたえを感じる時で、ジャーナリズムとは『真実を静かにすくいとることである』と私は考えています」と、説明されました。そして記者は、基本的に物事や出来事が起こったあとに動く仕事でありながら、そこで何が起こっているかを掴むためには、日頃から人脈を築き、社会に深く参画していないと成し遂げられないとお話しされました。
また、取材を通じて、「同じではないけれど、過去に似たようなことがあったなと過去の歴史の脈絡を感じることができるかどうかがカギで、歴史感覚を磨くことが大切になる」と、お話しされました。

日本の潜在力を検証する

船橋氏(サイド)船橋氏は、朝日新聞社を退職後、東日本大震災後の2011年9月、独立系シンクタンク、一般財団法人日本再建イニシアティブを設立し、理事長に就任されました。福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)のプログラムディレクターとして、中堅の研究者・ジャーナリスト・コンサルタント・弁護士など様々な立場の人達とともに事故関係者にヒアリング調査をし、原発事故の原因究明や事故対応の経緯についての検証をしてこられました。2017年7月には「アジア・パシフィック・イニシアティブ」という上部機構を設立し、現在も様々な検証やプロジェクトを進行されています。
プロジェクトにおいては、原発事故の検証で、日本の危機管理の脆弱さを浮き彫りにし、ガバナンス(内部の統制・統治)のあり方について提言されました。また、1990年代初頭のバブル崩壊後、20年以上にわたり経済の停滞が続いたことを指す「日本の失われた20年」の検証では、「何故こうなったのか」、「何を失ったのか」、「どのようにしたらこうなったのか」を検証し、原因を究明されてきました。船橋氏はその検証に際し、「日本には、まだまだ潜在力があると感じることができたことが副産物であった」とお話しされました。日本の何が世界に求められているのか、その潜在力はどこにあるのか、などといった日本の価値を再発見することを目指して、さらに検証を進めている「ガラパゴス・プロジェクト」についても説明をされ、「ガラパゴスという言葉は、内向きの言葉として使われるが、必ずしも日本のユニークさに問題があるということではない。16世紀にイエズス会の宣教師ルイス・フロイスが『日欧文化比較』を執筆した頃から、日本への関心は『ユニークだ、面白い』ということから始まって、今も続いている」と語られました。
「現在、世界は大きく変化し、グローバリゼーションが世界を画一化することで、多様性がどんどん摘み取られています。もう一度、日本のユニークさを見直し、世界と共有することが重要である」と学生たちに強く訴えられました。さらに、日本のユニークさ発見するのは、日本に来る外国人旅行客や、様々な形で日本に関心をもつ人々であり、世界のニーズに応え、世界と共に課題に切実に取り組み、解決を模索することで潜在力が顕在してくる、と指摘されました。「『インバウンド開国』により、日本人は自分たちのことを再認識・再発見し、アイディアや付加価値が生まれ、それがストーリーとして世界と共有するとブランドになるかもしれない」と展望をお話しされました。

世界で活躍するための一歩

会場写真船橋氏は、世界で活躍するというのは、必ずしも海外に行くことだけでない。日本にいても色々な形で活躍し、それを世界に伝えるという仕事もあると話されました。そして世界で活躍するための一つとして「ヒトを褒めることが上手いこと」が大切であると言い、「褒めるということは、相手が今置かれた状況や、どのように言えばその人を引き立てることができるかなど、シチュエーションを含む認識把握ができていないと効果的に褒められない」と説かれました。もっと難しいのは自分を褒めること=自分を知ってもらうことだと続け、その大前提として「世界に与えること。世界に与えることがあって、初めて世界に関心をもってもらえるし関係もできる。それが人間社会の共通課題に貢献できるようなアイディアであれば、なお素晴らしい」と話されました。さらに、「そこで得たフィードバックを自分のものにするという過程が重要であり、活躍する第一歩となります」と、これから社会に飛び立とうとする学生たちにエールを送りました。
船橋氏がグローバルに活躍されてきた経験を、その時々の多彩なエピソードを交えながらお話いただき、学生たちは興味深く耳を傾けていました。

■学生のアンケートから
・グローバル化というのに対し、外にでることを真っ先に考えていたが、内から外ではなく外から内を見ることも必要なのだと感じました。      
・今回のセミナーに参加して、今の自分に何ができるか、また、将来のために何を準備すべきかを改めて考えてみようと思いました。
・今後、日本が世界の中でどのような立ち位置でどのような役割を担っていくのか、考えさせられる内容でした。
・日本の現状を変えていくのは、世界各国の状況を知ることが大切であると感じました。

■船橋洋一氏プロフィール
1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。法学博士。朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て朝日新聞の主筆。ハーバード大学ニーメンフェロー、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー。2011年9月に独立系シンクタンク「日本再建イニシアティブ」(2017年上部機構の「アジア・パシフィック・イニシアティブ」設立)、理事長。福島原発事故を独自に検証する「民間事故調」を設立。調査報告書を発表、刊行。