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第2ユニット連続研究会「哲学史のドクサを問う―〈合理論と経験論〉の再検討―」報告

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第2ユニット連続研究会「哲学史のドクサを問う―〈合理論と経験論〉の再検討―」

趣旨

多くの哲学・哲学史入門書の中で、カント以前の近世哲学には二つの流れがあり、それは大陸合理論とイギリス経験論である、と記されている。そして、カントはこれら二つの流れを総合した人物として捉えられることになる。しかし、実際には合理論の中に経験論的傾向をもった哲学があり、経験論の中にも合理論的傾向をもった哲学があるのであり、このことは概ね認められている。例えば、合理論の中で経験論的傾向をもった哲学者としてガッサンディやコンディヤックが、経験論の中で合理論的傾向をもった哲学者としてカドワースやモーアなどが挙げられる。とは言え、現状としては非常に限定的に言及されるのみである。

一般に、17世紀から18世紀中葉の哲学は〈合理論と経験論〉という対立関係にあるものとみなされてきた。しかし、単純に「対立関係にある」と理解するだけでは、合理論の研究者と経験論の研究者が、互いに相容れないものとして半ば無視し合っているような状況を作ってしまうだろう。少なくとも、17世紀から18世紀中葉の哲学についての理解は、このような状況に近いと言えるのではないだろうか。こうした状況の根本には、「合理論」と「経験論」という二者択一を迫る哲学史理解だけでなく、それぞれの研究が先鋭化することで他の哲学に深く入り込まなくなっていることもあるだろう。それゆえ、「〈合理論と経験論〉は対立関係にある」という考え方が独り歩きしている状況を打破するために、「合理論と経験論」という枠組みそのものを再検討する必要がある。

「合理論と経験論」という理解を再検討するためには、いわゆる「合理論」の研究者と「経験論」の研究者とが、それぞれの研究発表が無関係に行われるのではなく、連続して、相互の発表内容を念頭に置きつつ、行われる必要があるだろう。そこで哲学史の新たな可能性を拓き、新たな知見を見出すために、「〈合理論と経験論〉の再検討」をテーマとした連続研究会を開催する。

研究会報告

第1回 「ジェイムズの思想展開における「合理論・経験論」の対立軸の考察」

藤坂

発表者:藤坂大佑(東洋大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程)
日時:2015年5月30日(土)14時00分~16時00分
会場:文学部会議室(東洋大学白山キャンパス6号館4階)

ジェイムズのプラグマティズムを主軸に据え、彼が考えていた「合理論」と「経験論」の対立の意味やその超克の方法をジェイムズの思想展開を追いながら、検討した。発表後には、多くの意見や質疑応答がなされ、充実した会となった。 

 

第2回 「経験と理性の間で―スピノザ哲学における「目的」と「欲求」」

発表者:笠松和也(東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻博士課程)kasamatsu
日時:2015年6月20日(土) 12時00分~14時00分
会場:文学部会議室(東洋大学白山キャンパス6号館4階)

『知性改善論』冒頭における通常の生における経験から出発し、『エチカ』における目的論批判を分析することを通して、スピノザが経験と理性の間でどのように思考しようとしたのかが論じられた。発表後には、多くの意見や質疑応答がなされ、充実した会となった。

第3回 「真理と歴史―スピノザ『神学・政治論』第7章における「聖書解釈の真なる方法」について―」

発表者:寅野遼(IRCP PRA)寅野
日時:2015年7月20日(月)12時00分~14時00分
会場:文学部会議室(東洋大学白山キャンパス6号館4階)

スピノザの『神学・政治論』の背景と性格を詳細に述べ、スピノザにとって聖書は経験の堆積物であることを確認してから、聖書解釈の方法とその限界について、そして理性と経験の分離について論じられた。発表後には、神学と自然学の問題に関することなど、多くの意見や質疑応答がなされ、充実した会となった。

第4回

 発表者:
 渡辺博之(IRCP客員研究員)
 竹中久留美(東洋大学非常勤講師)
日時:2015年10月26日(月) 12時00分~14時30分
会場:第3会議室(東洋大学白山キャンパス6号館1階)

渡辺客員研究員はスピノザ哲学における特徴的な合理主義的側面と経験的側面を、文献も詳細に挙げ明らかにした。竹中氏はヒューム認識論における非存在のあり方を、ヒューム的「理性的区別」を使うことで明確にした。質疑応答では、活発な議論が交わされ、盛況な会となった。

第5回

 発表者:
 大野岳史(東洋大学文学部助教、国際哲学研究センター研究員)
 野村智清(東京大学文学部助教)
日時:2015年12月12日(土) 14時00分~17時00分
会場:文学部会議室(東洋大学白山キャンパス6号館4階)

大野研究員から、「先に感覚のうちになかった何ものも知性のうちにない」というテーゼの否定を主軸として『ポール・ロワイヤル論理学』の観念論について考察された。野村氏からは、哲学史理解の分析と批判をふまえつつ、アイルランド哲学の存立を証するには至らないことが論じられた。質疑応答では、活発な議論が交わされ、盛況な会となった。

第6回 ワークショップ「Our Next Steps (Our Next Step)」

発表者:藤坂大佑・笠松和也・寅野遼・渡辺博之・竹中久留美・大野岳史・野村智清 
日時:2016年1月26日(火) 13時00分~16時00分
会場:文学部会議室(東洋大学白山キャンパス6号館4階)

発表者 7 名が全員集まり、それぞれがこれまでの発表の成果を受けて改めて報告を行った。各報告ごとに様々な議論がなされ、充実した会となった。若手を中心としたこの連続研究会は、哲学研究の新たな可能性が模索された有意義な研究会であった。

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