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第3ユニット シンポジウム「精神性に与える瞑想の効果」を開催いたしました

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1 11月29日、白山キャンパス8号館125記念ホールにて、第3ユニットは、「精神性に与える瞑想の効果」というシンポジウムを開催した。はじめに、渡辺章悟研究員により、「瞑想について、歴史性を踏まえた上で、それぞれの発題者に瞑想の意義と効果などを示していただき、さらに現代の瞑想が宗教性や地域性を超えた普遍的な広がりを持ちつつある現状を確認し、その根拠を参加者と討議しながら探ってゆく。このような瞑想の効果を考究することにより、多文化社会における共生の可能性を解明する一助としたい」という趣旨説明がなされた。その後、3名による講演が行われた。各講演者のタイトルと要旨は以下の通り。

 番場裕之氏(日本ヨーガ光麗会会長)「ヨーガ派の瞑想~一境集中への架け橋~」。『ヨーガ・スートラ』の行法には、身体感覚としての内部刺激を伴うものがある。読誦による声の振動、調気法による気道の摩擦感、坐法による姿勢維持にともなう身体感覚などである。この内部刺激は、散乱しやすい心を一境集中させる強い力となり、瞑想への手段となる。調気法によって息が丁寧に調えられると、心の情動を反映した乱れた粗い呼吸がなくなり、三昧へと導かれる。息が長く繊細に調えられると、鼻腔の最上部である上鼻甲介を通る。そこには嗅覚神経が密集していて、そのすぐ上が脳となる敏感な箇所である。嗅覚神経を刺激すると副交感神経が活性され、心の情動は沈静し、瞑想に必要な準備が調えられる。これが、インド的調気が鼻孔呼吸を重視する理由である。このように、内部刺激は心を一点に集中させる強い力となることから、瞑想の導入として積極的に活用することにより、現代の我々にも多大な恩恵をもたらすものと思われる。

 蓑輪顕量氏(東京大学教授)「上座仏教と大乗仏教の瞑想―その共通性」。仏教の瞑想は止観と呼ばれる。止の基本は、心を一つの対象に結びつけることであり(三昧という)、その対象は業処と呼ばれた。一般的な業処は呼吸の入る息、出る息であり、その延長線上に出現する境地が禅那と呼ばれ、それは心の働きの滅尽に至るものである。一方の観(ヴィパッサナー)は、心の働きに注意を振り向けるように観察するものであって、念処に起源する。この時、言葉を用いずに観察できるようになると、判断、了別の働きを起こさずに認識することが可能となり、無分別と呼ばれる境地になる。上座仏教ではこの境地に到達することで生じる心の転換が大事にされた。大乗仏教の瞑想も、基本は上座の瞑想と同じである。仏像を業処に用いる、見仏体験や言葉を繰り返す(念仏や題目など)などの変化は認められるが、心を一つの対象に結びつけて心の働きを静めていく、あるいは心の働き全てを気づいていくという観察の機能面から考えれば、ほぼ相違はない。

 ケネス田中客員研究員(武蔵野大学教授)「アメリカにおけるマインドフルネス・ブーム―現代社会への影響とその意義」。仏教に基づくマインドフルネス瞑想は今や、仏教の壁、いや宗教の壁を超え、心理療法や医学の領域までも広まる目覚ましい発展を遂げている。心理療法では、患者が自分の問題を見つめ、向き合い、そして受け入れる有効な手段となっている。医療の分野では、痛みを軽減したり免疫を高めたりする効果が出ている。そして、一般にもストレス等の現代人の精神的な問題解決の突破口として、若い世代まで人気を呼んでいる。本発表ではアメリカにおけるマインドフルネス・ブームについて、その現代社会への影響と意義を考察した。

 総合討論では発表者同士で意見が交わされ、また、会場からの質問にも丁寧な応答があった。閉会あいさつを宮本久義研究員(第3ユニット長)が行い、精神性のみならず身体性や社会性にまで広がりのある充実した討論内容であったとの総評がなされた。90名ほどの来場者のあるシンポジウムとなった。2

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