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全体シンポジウム

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全体シンポジウム「国際化とは何をすることなのか~東洋大学国際哲学研究センターの「これまでとこれから」~」  

全体12014年9月24日、東洋大学白山キャンパス5号館4階5404教室にて、全体シンポジウム「国際化とは何をすることなのか~東洋大学国際哲学研究センターの「これまでとこれから」〜」が開催された。

 本センターが追求してきたのは土着性なしの世界化であるグローバリズムではなく、文化の違いを土台にしながら、それぞれの文化が個性を保ちながら交流するという展望、すなわち、自分達自身の文化に根づいた国際化だったのではないのか、という問題意識のもと、センター最終年度を来年度に控えた4年目である本年に、センターのこれまでの成果と今後の展望を報告すべく3つのユニットが合同で行ったシンポジウムである。

U1-1 第1ユニットは、井上円了研究と近代日本哲学研究を二つの柱として研究を行ってきた。三浦節夫研究員が井上円了研究に関して報告を行い、岩井昌悟研究員が近代日本哲学研究に関する報告を行った。

 三浦研究員の報告は「井上円了の国際化に向けて」と題され、35年にわたる井上円了研究史を振り返り、今後の展望を語るものであった。東洋大学100周年に向けて、三つの部会に分かれた井上円了研究会が発足したのが、井上円了研究の端緒であった。これらの研究の成果は、幾つかの書籍にまとめられた。さらに井上円了文献年表や井上円了選集などの、井上円了研究の基盤となるものが公開された。こういった基盤の上に立ち、国際井上円了学会が設立された。今後、井上円了のテキストの英訳・スペイン語訳といった国際的研究を可能にする共通の基盤の整備が求められていると言えるだろう。U1-2 

 「近代日本哲学を問い直す」と題された岩井研究員の報告は、これまでの第1ユニットの歩みを振り返りながら、今後どのように研究成果をまとめていくのかについて語るものであった。研究会をテーマ別に分けながら、主要な論点を挙げていき、近代日本哲学の成立に、(i)西洋哲学の受容と、(ii)哲学としての東アジアの伝統思想の再発見、という二つの重要な契機があったことが明らかにされたことが報告された。今後は、「明治期の人間観と世界観」というテーマのもとに、研究の集約を図ることが報告された。

U2-1 第2ユニットは、「方法論」研究とポスト福島の哲学、〈法〉概念研究を三つの柱として研究を行ってきた。まず、村上勝三研究員が「方法論」研究とポスト福島の哲学について報告を行い、次に、沼田一郎研究員が〈法〉概念研究について報告を行った。

 村上研究員は、「方法論」研究の成果を三つに分けて報告した。第一は、実施形態に即した成果と問題点であり、これについては以下の三点が提起された。(1)哲学を中心とする個別専攻領域における方法論についての研究(学問的知識の裾野の作り方)、(2)哲学的な基本概念とその基礎的立場についての国際的共有(思索と概念の国際水準を経験すること)、(3)人文系学問内での別個な専攻領域間の技法共有化の方法(「クロスセッション」による学域の拡大)である。第二は、研究・教育の技法としてWebを用いることの重要性である。第三は、学問方法論そのものとしての「東西哲学・宗教を貫く世界哲学の方法論研究」という課題への取り組みである。次の三つのアプローチ、すなわち、(1)知のネットワークの実践的構築と(2)普遍方法論と(3)体系化の方法をすべて取り込みながら解明することの重要性が明らかになった。上記のなかでも、Webを用いた海外諸大学との授業交換は大学院教育においてすぐにでも実践に移されるべき案件である。  

 続いて、村上研究員は、ポスト福島の哲学について、これまでのWeb国際講演や、関連する映画の上映、被害者支援に関わる人たちの講演会、哲学研究者たちによる研究報告をもとに、哲学の立場から、放射線という感覚することのできない物質に対処するために、「知る」ことの特徴を際立たせること、および、現状の困難解決のためには真・善・存在U2-2を統一的に捉える立脚点を開発することが必要であると述べた。

 沼田研究員は、これまで行われた〈法〉概念研究のシンポジウムから、〈法〉を語る上での問題点と、その研究において生じる比較研究の際の国際化の問題点の二つを提示した。沼田研究員は、〈法〉の時間空間的に様々なヴァリエーションを広く集めることで、異なる法体系の接触や変容のプロセスの比較研究が可能となり、〈法〉の普遍性を探る手立てとなると述べ、こうした比較研究という方法の中で、現場における国際化の重要性を強調し、同時にその本質を問うことも重要であると報告した。

 第3ユニットは、多文化共生社会の思想基盤研究を研究課題とし、さまざまな主張を持つ文化的多様性や宗教的多様性が社会にもたらす諸問題を、主として宗教や思想の視点から捉え直し、「共生」すなわち共に幸福に暮らしていける思想基盤を探ろうとしてきた。そのため、海外での現地調査、あるいは海外からの研究者の招聘を積極的に行ってきた。具体的な研究内容としては、第一に、アジアにおける多文化・多宗教の共生に関する研究、第二に、イラン・イスラームとの対話、第三に、哲学プロパーの観点からの共生研究がある。U3-1

 宮本研究員は、第一の点について報告した。主な成果としては、インド、ブータン、ミャンマーなど、アジアにおける諸宗教の共生の現状と課題を探るということを行いえた。その際とりわけ着目したのが「瞑想」である。この瞑想というきわめて平和的な修行方法が多文化・多宗教社会においてどのような影響をもたらすのか、これについてはさらに11月にシンポジウムを行い掘り下げることを述べた。多文化の共生は重要であり、なされるべきであるとは研究者たちの一致する視点であり、持ち駒を持ち寄る準備があることが判明したが、なぜそれがこれまでかなわなかったのか、どうすればよりそれに近づけるのか、今後も多文化の実態を実地調査などによって探っていくなかで探究したいと結んだ。U3-2

 永井研究員は、第二の点として、「共生の哲学に向けて-イラン・イスラームとの対話-」と題して行われているイランとの学術交流の成果と展望を紹介した。イランは地理的にも西洋と東洋の中間として、歴史を通じて諸文化を媒介する役割を演じてきた。世界規模の文化的・宗教的共生が焦眉の課題となっている現在、もっぱら欧米に目を向けてきた日本に欠けている「イラン」という視座は、多くの示唆を与える極めて重要なものであることは間違いないであろう。このような問題意識から行っている学術交流である。2012年度の日本でのシンポジウム、2013年度のイラン・アカデミーサイエンスでの、東洋・西洋とは何かを議論した研究集会に引き続き、2014年度もシンポジウムを行い、引き続き交流を続け、双方の緊張関係の中から新たな、具体的な成果を目指すつもりであると結んだ。

 総合討論においてはセンターに対する期待や今度の展望に対する質問やコメントが提起された。42名の参加者のある充実した会となった。全体2

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