障がいのある子どもは、日常的に身体運動量が不足しがちだと言われています。学校や施設が休みの日は自宅で過ごすことが多く、外遊びや友達との接触が極端に少ないのが事実です。一方で、多くの研究者からは、幼少期に多くの身体運動の経験を積むことは、知的発達や対人関係、社会性を育てることにつながるとして、障がいのある子どもたちが楽しく主体的に活動できる「環境づくり」の必要性が指摘されています。
集団活動を通して、人との関わりや思いやり、自分自身について学び、発達を促すには、どのような遊具を使った運動遊びが考えられるでしょうか。例えば、ふわふわと柔らかい大きなスカーフの端と端を2人で持って、揺らしてみます。揺らすためにはお互いを思いやって力を調節することが必要であり、この遊びからは、人との関わりや操作性を学ぶことができます。ビーンズバッグ(お手玉)は、聴覚や触覚、知覚を高めることができます。上に投げて取る、投げて1回手をたたいて取る、2回、3回と数を増やすとその分高く投げる必要がある、といった私たちが日常持っている空間認識も、このような学習で育てることができます。また、1、2、3といった数字についての認識や、色や形の学習にもつながります。福祉や教育の現場で理論的に学ぶことはもちろん必要ですが、実際に自分の体を動かして、面白さや難しさを体験的に学ぶことも大切なのです。

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是枝 喜代治教授福祉社会デザイン学部 社会福祉学科

  • 専門:障害者福祉、特別支援教育、ムーブメント教育・療法
  • 掲載内容は、取材当時のものです