2011年10月29日の朝日新聞朝刊に、『記者が消えた街』という記事が掲載されました。アメリカで地方新聞が廃刊になった結果、市長が給与を増額したり、選挙では現職ばかりが有利になったり、ずさんな裁判が行われたりしました。加工される前の根本的な事実や出来事、つまり「ニュースの鉱石」を掘り出すのは新聞記者の役目だと記事にはあります。記者が社会の不正をチェックし、おかしければ報道することで、私たちはそれを知ることができます。ですから世の中から新聞やニュースが消えてしまうと、社会の秩序が乱れる恐れがあります。
インターネットで簡単に情報を得ることができる今、日本でも新聞の発行部数が減り、記者の数も減少傾向にあります。マスメディアが今後も役割を果たすためには、情報が対価を得られないと厳しいでしょう。そして私たちがをチェックすることが必要です。情報のチェックの怠りはジャーナリズムの衰退につながると同時に、結果的に民主主義社会の崩壊にもつながります。みなさんが学んでいるジャーナリズムというものは、それだけ大きな役割を担っているのです。

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薬師寺 克行教授社会学部 メディアコミュニケーション学科

  • 専門:メディア論、政治過程論

  • 掲載内容は、取材当時のものです