「わかる」「わからない」「できる」「できない」でマトリックスを作ってみると、生まれたときは誰でも「わからない・できない」のマス目にいます。そこから「わかる・できる」のマス目を目指す、あるいは到達するのを手伝うことが「教育」の役目です。その過程には「わからない、けれどできる」や「わかる、けれどできない」といった段階があります。最近の教育では「わからなくてもできればいい」という1つの傾向があり、「わかるけれどできない」子供が、わかるまでゆっくり待ってあげられていないように思います。
また、「わかりましたか?」「できましたか?」は教師の禁句と言われています。何気なく発してしまう言葉ですが、生徒が「わからない」「できていない」と言いたいのに、それを妨げてしまう恐れのある言葉だからです。そもそも教師ならば、いちいち尋ねなくても、生徒を見てわからなければなりません。
教師を目指すみなさんが「教育」について考えるヒントは、意外と身近なところにあるものです。アンテナを張り、日常生活の中でヒントを探しつつ、学んでいきましょう。

pf_fujimoto.jpg

藤本 典裕教授文学部 教育学科

  • 専門:子どもの貧困、教育費負担、教員養成

  • 掲載内容は、取材当時のものです