中国・上海からの留学生の楊 嘉祺(よう かき)さんは、幼い頃から「ものづくり」が好きで、工学領域でトップレベルの日本で学ぶことを望み、理工学部機械工学科に入学しました。留学生を受け入れる環境が充実している東洋大学で、生活面や学習面のサポートを受けながら「大きな自信を身につけた」と胸を張る楊さんは、航空宇宙システム研究室での実験を重ね、研究を楽しんでいます。卒業後は、中国に帰国し、日本の自動車・機械メーカーで活躍したいとの一心で、夢につながる学びと向き合っています。

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「ものづくり」の専門知識を学ぶために東洋大学へ

私は幼い頃から、おもちゃの組み立てなどに興味があり、ものを作っていくことが好きでした。また、日本のアニメやドラマが大好きで、いつか日本で生活してみたいと考えていました。日本への留学を具体的に考えたのは中学生の時のこと。自分の将来について両親とともに考え、ものづくりの領域においては世界でもトップレベルの日本で学ぼうと、高校2年次から来日し、大阪の高校で学んできました。

高校では、物理や科学の授業がほとんどありませんでしたが、大学の工学部で学ぶことをあきらめたくはなかったので、工学部に入学するための受験勉強は独学で進めました。こうして、努力した結果、念願かなって、東洋大学の理工学部機械工学科に入学することができたのです。

入学を決めた理由はいくつかありますが、一つは、東洋大学が国際化を推進しており、文部科学省のスーパグローバル大学創生支援事業に採択され、留学生が学びやすい環境を整えているからです。留学生対象の奨学金制度も充実し、留学生のための生活・部屋探し・アルバイト・就職などのサポートも充実しています。また、工学機械などの研究開発をしている教授も多く、教育の質の高い大学で学びたいと感じたのも、理由の一つです。

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研究は思っていたより大変、しかし面白い!

現在は、航空宇宙システム研究室に所属し、宇宙機の落下実験というテーマで研究を行っています。宇宙機を打ち上げ、落下した時に地面に衝突して形成されるクレーターについて、さまざまな条件を設定し、直径や深さ、地面に対する影響などを研究しています。

この研究では実験装置を使い、物体を落下させるたびに写真を撮影し、その画像1枚1枚を計測していくという、地道な作業を1日がかりで行います。研究室の授業は週1日ですが、発表に向けて、私は週3、4日この実験を行っています。何百回も実験を繰り返すので大変ですが、以前に先輩が行ってきた実験データとのズレを発見した時など、いろいろな原因を考え、再び実験して、その問題の解決に至ったときには、やりがいを感じるものです。

このような研究室での学びを生かして、将来は、中国の国内で有力な日本の自動車や機械のメーカーに就職し、ものづくりやデザインに関わる仕事に就きたいと考えています。大学で学んだ専門知識や、日本語スキルは、社会に出てから必ず役に立つと確信しています。

帰国までに、異文化体験をより深めたい

私が、日本への留学で身につけたのは、「自信」です。自国を離れると、引っ越しや役所の手続きなど、すべてを自分一人でしなければなりません。そのため独立心が養われ、これから帰国しても、しっかり一人で生活していける力がつきました。また、研究室に入室してからは、担当教授の指導のもとで、将来につながる学びを深めることができ、度重なる実験を通じて、課題を自分で見つけ、解決する力がつき、自分に自信がつきました。

これから留学をめざす皆さんには、ぜひ、自分の将来を見据えた学びに取り組んでほしいと思います。留学は簡単なことではありません。1年次の授業をおろそかにすると、授業で使われる日本語も理解できなくなり、単位不足で留年してしまう人も実際に見てきました。4年間でしっかりと学んで卒業し、学歴を将来の活躍につなげるためにも、真剣な気持ちで授業や研究に取り組むことが大事だと、自分の経験を通じて、伝えたいと思います。

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私の好きな日本の言葉

自信

どんな状況にあっても、自分に自信があれば、必ず解決することができます。そのためには、自分が本当に学びたいと思えるテーマを持って研究に取り組むこと。努力して向き合ってきたことは、必ず結果が出ます。その学びは自分の将来につながるのだと信じて、がんばることが大切だと実感しています。

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楊 嘉祺(よう かき)さん理工学部 機械工学科 4年

  • 所属研究室:航空宇宙システム研究室
  • 出身国・地域:中国・上海
  • 掲載内容は、取材当時のものです