自分を成長させるために「外国に行こう」と決めた、経営学部会計ファイナンス学科の安莉蒙(あん りもう)さんが、留学先に選んだ国は日本でした。アルバイトをしながら日本語学校や専門学校で学ぶうちに、「会計をもっと学びたい!」との意欲が芽生え、大学進学を決意。東洋大学に入学し、国際ファイナンスを学んでいます。そして、入学から現在までの3年間の努力が認められ、日本企業への就職も内定しました。「どんなに苦しくても絶対にあきらめない。そうすれば成果が出ます」と語る安さんは、この留学で、強い心までも手に入れたのです。

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自立する能力を身につけたかった

私は、中国河南省の小さな街で生まれ育ちました。とても住みやすいところで、近所の人たちもみんな仲良し。両親も、とても優しい人たちです。でも、この慣れ親しんだ環境から離れてみようと思いました。このままでは、自立する力が育たないと思い、視野を広げたかったのです。そこで、両親に「高校を卒業したら外国に行きたい」という思いを伝えたものの、一度は反対されました。それでも、どうしても留学がしたいという決意は固く、両親を説得して、叔父と叔母がかつて働いたことがあり、「とても安全で良い国だ」と評価が高い日本へと渡りました。

来日して、まず入学したのは東京の日本語学校です。初めは何をするのも大変でした。アルバイトをしようにも、日本語を話せないので、なかなか仕事が見つからず、ようやく決まったのは、深夜の工場スタッフでした。私は工場で働きながら日本語学校に通い、日本語を学びました。少しずつ話せるようになると、レストランのアルバイトなどもできるようになり、学校で学んだ言葉をアルバイト先で使って話しているうちに、日本語がみるみる上達していくのを実感できました。

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会計学をより深く学びたいと大学へ

日本語学校で学んでいるうちに、日本の企業に就職したいという思いが芽生えました。そして、ビジネスを学ぶために専門学校に入学し、簿記などの会計について学び、知識が増えていくと、「これからもっと会計について知識を深めたい。そのために、大学で学ぼう」との意欲が高まっていきました。

東洋大学を選んだのは、留学生への学習支援や経済的な支援が充実していることが理由です。そして、入学後は実際にいろいろな場面で、多くの先生方や職員の方々のサポートを受けながら、大学生活を送ってきました。

会計ファイナンス学科では2年次からゼミナールに所属しますが、私は現代ファイナンス論のゼミナールを選び、現在は「貨幣の現在価値と将来価値」について研究しています。お金といっても、その価値は現在と未来で異なります。将来予測を正確にすることはできませんが、データを収集して分析していくと、その流れが次第に見えてくるようになります。これにより、企業でも、いつ、どれくらいの金額を、どこに投資すれば良いのか、という計画を立てることができます。研究を通して身についた知識は、今後、社会に出てからも大いに役立つと思います。

いつでもあきらめない心で就職も決めた

卒業後は日本で働きたいと考えています。内定をいただいたメーカーでは、今後、財務の仕事を担当する予定です。まずは日本の企業で社会経験を積み、いつか中国に帰ったとしても、日本企業で働き続けたいと考えています。そして、日本の規律の正しさやおもてなしの文化などの素晴らしさを多くの人に伝えていけるような、日本と中国の架け橋になりたいと思います。

留学とは、自分自身の心を磨くことであると思います。私は、困難を乗り越えるたびに、自分の心が強くなってきました。今後、どのような困難があろうとも、乗り越えていける自信がつきました。留学を考えている人に伝えたいのは、「我慢、我慢、我慢」ということです。最初は特に、孤独感を強く覚えると思います。遊びたいとき、休みたいとき、寂しいとき、つらいときがたくさんあると思いますが、それでもとにかく我慢することです。絶対にあきらめないこと。信念を持ってやり続ければ必ず結果が出ます。留学を考えている皆さんもぜひ、時間を無駄にしないでください。後悔しないように、頑張ってください。

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私の好きな日本の言葉

石の上にも三年

日本に来て、「石の上にも三年」ということわざを知りました。「冷たい石でもその上に3年座っていれば温かくなる」というように、「我慢」と「頑張る」の両方の意味を持っているこの言葉が、私は大好きです。心を強くしたい、という思いで日本に留学した私は、この言葉に支えられてきました。

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安 莉蒙(あん りもう)さん経営学部 会計ファイナンス学科 4年

  • 所属研究室:現代ファイナンス論・董晶輝ゼミナール
  • 出身国・地域:中国・河南省
  • 掲載内容は、取材当時のものです