子どもの頃から動物が好きで、動物園やペットショップによく足を運び、高校の理科の授業では、生物が一番楽しかった、と話す生命科学部生命科学科の加藤早玖馬さん。祖母がアルツハイマー病を患ったことがきっかけで、精神疾患に興味を持ち、大学では自閉症についての研究をしました。試行錯誤の連続だった研究では、精神的にも成長できたと話します。将来はグローバルな仕事をしたいと願い、社会人としての一歩を踏み出します。

研究のきっかけは祖母の病気

「生物が好き、ネズミの解剖がしてみたい」という興味本位で、理系の大学を選びました。高校生の時には、生き物に限らず、植物はどのように光合成をしているのだろう、といった身近な疑問が次々と浮かんできたものです。そんな疑問に応えるようなことを授業で学ぶと、点と点がつながって線になるような感覚がうれしくて、どんどん生物の世界へとのめり込んでいきました。大学に入学し、専門的なことを学ぶにつれ、単なる「生物好き」から、研究者として「生態を研究する」ということに視点が移っていきました。

そんな私に転機が訪れたのは大学2年生の頃。母方の祖母がアルツハイマー病になり、その症状が進展していくのを間近で見てきました。そのことに大きな衝撃を受けるとともに、私は祖母の病気がきっかけとなり、神経病について研究したいと考えるようになったのです。

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研究で身についた根気強さ

生命科学部では3年生で研究室に仮配属され、4年生からは本配属となります。研究室では学生一人ひとりの興味に合わせて、研究テーマが決まります。私は神経機能制御研究室に所属し、「CRMP4というタンパク質が自閉症に関係しているか」をテーマに研究に取り組んでいます。研究対象が生き物であるため、上手くいかないことが多く苦労しました。例えばマウスの赤ちゃんをサンプルでほしい場合には、赤ちゃんが生まれるのを待ちますが、実験に向けて想定している日程と、実際に生まれる日が合わないなど、自然を相手に研究することの大変さを実感しました。実験する前には、仮説や予想を立てますが、うまくいかないことがほとんどです。それだけに、仮説を立てた通りの結果や新しい結果を生み出せたときには、やりがいを感じました。研究のプロセスは常に同じことの繰り返しであり、研究を通じて辛抱強さや集中力が身についたと思います。就職活動をしていくうえでも、それは自分の大きなアピールポイントになりました。

私が就職する製薬会社では、製薬はもちろん、化粧品も扱っています。配属される品質管理部では、製品に処方にない成分が入っていないかなどをチェックする仕事があります。正確性を要する仕事なので、これまでの研究で培ってきた集中力が活かせるのではないかと思います。

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日本と海外の架け橋を目指して

私は祖母の病気があってから、神経病に興味を持ち、研究を通じて、興味の対象が製薬へと広がっていきました。製薬会社への就職を志望したのは、製薬を通じて人の健康を直接的に守ること、病気を治すことにつなげていけたらと思ったからです。

また、海外との業務があることも、企業を選ぶうえで私には重要なポイントでした。東洋大学はスーパーグローバル大学として英語教育や留学制度が充実しています。私はTOEIC®演習や英会話などの講義を積極的に受講し、英語力を高める努力をしてきました。高校生の頃までは、あまり英語が好きではありませんでしたが、研究を進めるには、多くの論文を英語で読んだり書いたりするため、英語は必須なのです。内定先は、海外の製薬会社と共同で抗がん剤を開発しています。将来は、製薬を通じて日本と海外の橋渡しができるような仕事がしたいですね。

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加藤 早玖馬さん生命科学部 生命科学科 4年

  • 内定先:全薬工業株式会社
  • 所属研究室:神経機能制御研究室(金子研究室)
  • 出身校:私立安田学園高等学校
  • 掲載内容は、取材当時のものです