「研究をもっと深く続けていきたい」——。生命科学研究科の丸山剛志さんにとって、大学院への進学は自然な流れでした。大学3年次に生体試料分析化学研究室の指導教員と出会ったことで、取り組みたい研究テーマを明確にすることができたことから、希望の研究室に入るための努力を重ね、狭き門を見事に突破。さらに、研究を深めるために大学院博士前期課程へ進み、これまでに培ってきた知識や技術を活かし、春からは社会へと活躍の場所を移して研究者の道を歩み始めます。

大学院進学を念頭に、地道な努力

もともと生物が好きで、なかでも「動物」や「細胞」に興味がありました。将来は医療に関わる仕事がしたいと考え、医療を支える研究をするため、東洋大学の生命科学部を選びました。私は大学で学ぶ以上は、大学院に進学したいと考えて学生生活を過ごしてきました。なぜなら、研究室への配属は3年次の夏以降であり、実質1年半ほどしか研究に打ち込むことができず、研究に十分な期間とはいえないと考えたからです。そして3年生となり、所属する研究室を決める頃に、生体試料分析化学研究室の萩尾先生と出会いました。先生の研究内容に大変興味があり、自分がより成長できると思い、先生のもとで学びたいと考えました。

希望の研究室に所属するためには、3年次までの成績が重要です。そのため、しっかりと講義を聞き、レポートを書いて、実験をして…と良い成績を残すための努力を怠りませんでした。そして、定員4人という狭き門でしたが、入室が決まった時のうれしさは大きなものでした。

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答えのない問いを探り、導き出す

大学での研究は、高校までの学習とは取り組み方が違います。仮説に基づいて、未知のものを探り当てていくため、調べてもほしい情報が得られないということが多々あるものです。そして、3年生までの講義で学んだ知識はベースであり、それをもとに、自分なりの論を立てて、考察する力が必要になります。そして、研究では実験することよりも、その前段階である仮説を立てたり、調査する過程を考えたりといったことに多くの時間を割くこともあります。答えのない問いについて考え、答えを導き出していくのが、大学での研究なのです。

私は4年次の研究をさらに深めるため、大学院へ進学し、腸内細菌について研究してきました。近年、糖尿病や肥満などの病態と腸内細菌との間には深い関連性があると言われています。通常、腸内細菌叢の構成は比較的安定しているのですが、食事や加齢などに伴い、その構成が変化することが分かってきています。また、腸内細菌叢はブラックボックスとも呼ばれるほど、その役割は多岐にわたっています。そこで、腸内細菌叢を簡単に比較することができる方法を確立する研究を行っています。

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研究の道は卒業後も続く

大学入学後に、新たに始めたことの1つに剣道があります。全くの初心者でしたが、練習をしていくうちに実力もついてきて、サークル長を務めるなど、充実した時間を過ごしました。研究には終わりがなく、答えがないところを手探りで探すような、大変な作業です。そんな日々を送るなかで、週に1日でも2日でも体を動かせていたことは、精神的なリラックスにもなりました。

この春から、私は研究職として働くことになります。研究は1人の力では進めることができません。研究室でもそうでしたが、就職後もチームで協力しながら、コミュニケーションをとって、一つの研究に取り組んでいくことになると思います。一度は社会に出て、研究が社会でどのように活かされていくのかを間近に見ることで、あらためて研究のあり方を見つめ、またいつか大学院に戻って、さらに自分のテーマについての研究を深めることができたらと考えています。

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丸山 剛志さん大学院生命科学研究科

  • 内定先:アドバンテック株式会社
  • 所属研究室:生体試料分析化学研究室(萩尾研究室)/分子神経生物学研究室(児島研究室)
  • 出身校:東京都立広尾高等学校
  • 掲載内容は、取材当時のものです