ラグビー好きの家族の影響で3歳からラグビーを続けてきた、経済学部経済学科の渡邊博文さんは、東洋大学ラグビー部を活性化させた立役者。ラグビー一筋のように見える渡邊さんですが、入学当初から「ラグビーだけではなく、さまざまなことを経験して大学生活を充実させたい」と望んでいました。授業も、仲間とのコミュニケーションも、部活も。「やりたいことを全部やるために」取った手法は自分の意識も改革し、より能動的になったそうです。志望していた企業から内定を得て、今、新たな一歩への期待をふくらませています。

伸びている大学で、満足のいく学生生活を求めて

東洋大学は部活動にも力を入れており、「あらゆる面で伸びている大学」だと聞いていたこともあって、第一志望でした。入試前に何度か一人でふらっとキャンパスを見学しにきて、学食の味を確かめてもいたんです。キャンパスライフに、ものすごく大きな夢を抱いていましたね。

でも、いざ入学してみると、予想以上にラグビー部の練習が厳しくて、1年生の夏休みに本気で「ラグビー部を辞めよう」と思いました。周りの学生がしっかり授業に出て、サークルを楽しんだりアルバイトをしたりしているのに、「自分はなぜこんなにきつい練習ばかりしているんだろう」と、もがいていたのです。

そして、「明日でラグビー部を辞める」と決めた日、「部活で疲れた」という理由で授業に出ないのも、周りの仲間と遊ぶ時間がないのも、「本当にラグビーのせいなのか?」と自問自答したんです。考えてみたらラグビーのせいではなく、ダラダラしている時間が多かったかもしれない。だとしたら、授業・遊び・部活の3つを両立させる努力をしてみて、それでダメだったらラグビー部を辞めることにしようと考え直しました。

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意識を変えたら部活も楽しく、成績もアップした

3つをこなすには、とにかく時間管理が必要だと思ったので、生まれて初めてスケジュール帳を買いました。そして、真新しいページに授業や課題提出日、友達と遊ぶ時間や部活の予定など「やりたいことと、やるべきこと」を1時間単位で書き込み、時間管理をスタート。その日から大学生活が大きく変化していきました。

スケジュール管理が上達し、「ここは少し時間が空いている。友達と遊ぶには時間が足りないけれど、この課題は全部できそうだから課題に取り組む時間にしよう」というように、時間のムダ遣いをしなくなりました。友達と楽しむ時間も増え、2年生修了時には簿記の資格を独学で取り、4年生からは就職活動が始まるので、卒業に必要な単位数を3年生修了時までに取る計画を立てて達成しました。

普段の授業では、レポートをしっかり計画的に提出することを意識しました。時間管理をするようになってからは、期日の約1週間前に提出することが多くなりました。そうしているうちに成績もアップして、その結果、成績優秀者だけが申請できる奨学金を得ることができました。

時間の使い方が上手くなるにしたがって、「これも予定に組み込める、これもやろう」というふうに、さらに能動的に動けるようになったと思います。先を見越して、そのために今できる行動を考え、準備ができるようになったのです。就職にあたっては、希望通りの広告会社から内定をいただきましたが、先を読む力や能動的な行動力は就職活動にも効果的だったと考えています。

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1部昇格の夢を後輩に託し、希望通り広告業界へ

3歳から19年間やってきたラグビーは、自分の中で大きな存在になっていました。そこで、4年生になり「ラグビー最後の年」と捉え、「ラグビーをしっかり終わらせよう」と決めたんです。

東洋大学は「関東大学ラグビーリーグ戦グループ」の2部に所属し、1部昇格を目標としています。それまでのラグビー部は以前の私のように、監督に言われてなんとなくラグビーをやっているメンバーが多かったのかもしれません。そこで4年生全員と「本気で1部に昇格するために何をすべきか」を話し合いました。私は2、3軍のキャプテンを任されていたので「試合に出ることの少ない選手も頑張れるチーム」を作ろうと決意し、チームを盛り立てていきました。特別なことをしたわけではなく、声を出すことから始めました。誰にでもできることを人一倍やっただけなんです。

その結果、東洋大学ラグビー部は変わりました。2部8チームの4位ですが、上位の3校は強豪校揃いで勝つのが非常に難しい状況にあります。でも、上位3校とシーソーゲームを展開したり、1トライの僅差まで渡り合ったりするまでになりました。「あと、ほんの少し」。悔しかったけれど、そこまで引き上げていくことができました。

引退試合の関東学院大学戦も負けてしまいましたが、1年間ものすごくがんばったという思いが強かったので、最後は素直に大泣きできました。その日の夜、次々と後輩が部屋をノックするんです。「博文さんのおかげで本当に楽しい1年間でした」「今年1年ありがとうございました!」一人一人が気持ちを伝えにきてくれて、本当にうれしかったですね。

卒業後は希望していた広告会社で勤務しますが、学生時代に得た時間管理術と、何かに一生懸命取り組む姿勢は、社会人になっても活用できると確信しています。

渡邊 博文さん経済学部 経済学科 4年

  • 内定先:株式会社ジェイアール東海エージェンシー
  • 所属ゼミナール:川崎一泰ゼミナール
  • 出身校:私立春日丘高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです