高校の家庭科の授業をきっかけに、食品栄養学に興味を持ったという上林千里さん。文系出身で文章を書くことが得意という強みを生かして、大学生活の4年間、説得力あるレポートを書くことに力を注いできました。目標だった食品栄養学研究室への入室も果たし、研究に取り組むうちに、食品メーカーの品質管理職という目標を見つけました。

誰にも負けたくない一心で乗り越えてきた

貧血がちという体質から、私は高校生の頃から栄養に対する関心がありました。高校の家庭科の授業で、カロリー計算による献立作りや郷土料理の調理などが興味深かったのに加え、貧血を改善するために、より効率良く自分に必要な鉄分を摂ることのできる食品はないかと考えるようになったのです。その当時、私が思い描いた将来像は、食品会社で商品開発に携わるということでした。

少しでも将来像に近づくために、最先端の知識を身につけたいと食環境科学科に入学すると、周りは理系出身の友人ばかり。プロバイオティクスや機能食品科学、調理実習などの授業内容は興味深いものの、文系出身の私には内容を理解することが難しい授業もありました。実験とレポート提出を繰り返す毎日はハードでしたが、もともとの負けず嫌いの性格もあって、とにかく必死で勉強に取り組んできました。というのも、入学前から熱望していた「食品栄養学研究室」に3年次に入室できるかどうかは、1年次からの成績次第だと知ったからです。文系出身の強みを生かして、得意の文章力に磨きをかけ、レポートをまとめるときには、論理的に説得力ある内容に書き上げることを心がけてきました。妥協せずに全力で取り組んできたことが結果となって現れ、念願の研究室に入室が決まったときは、努力してきて良かったと心から感じました。

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レポート作成で身につけた力が役立った

授業を通じて食品に対する幅広い知識を得るうちに、世間でちょうど話題になっていたのが、食品偽装に関するニュースでした。食の安全性について学ぶことも多く、「おいしさは大切。しかし、安心・安全な食品であることが何より大切」であるということを感じ、食品会社の品質管理職に興味がわきました。

就職活動では、生産性を高めることよりも「品質を極めて、お客様に安心と安全を届けること」を大切にしている社員が集う企業に注目して、試験に臨みました。エントリーシートを書く際には、1年生の頃からの実験レポート作成で身につけた、「問題を自分で見つけ、考え、自分の言葉で表現を工夫して相手にわかりやすく伝える力」が役に立ったと思います。それは、面接でも同じで、人事担当者に対して、どのように表現すれば自分のことを理解してもらえるのか、説得力ある表現ができるのかということを意識してきました。

どんなに努力しても、残念ながら不採用という通知を受けたときのショックは大きいのですが、その悔しさこそが、壁を乗り越え、次の一歩を踏み出す原動力となります。就職活動では、いつでも「強い気持ち」を持って臨むことが大切なのだと感じました。

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品質管理の責任者を目指して

およそ半年にもわたる就職活動を経て、私が内定をいただけた企業は、当初から望んでいた「品質を極めて、お客様に安心と安全を届けること」を大切にする食品メーカーです。長い年月を超えて愛される商品をつくり続け、お客さまに安心と安全を届ける仕事に携わることができることをうれしく思います。私は総合職として内定をいただいていますが、まずは製造や品質管理の業務からキャリアを積み、10年後には品質管理の責任者として仕事をしていたいという、将来像を思い描いています。その一方で、品質管理の知識を生かして長年愛される商品の開発にも携わることができたらという希望もあります。お客さまを幸せな気持ちにすることができるロングセラー商品を持つ企業の一社員として、これからも精いっぱい努力していきます。

上林 千里さん生命科学部 食環境科学科 4年

  • 内定先:株式会社東ハト
  • 所属研究室:食品栄養学研究室
  • 埼玉県立春日部女子高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです