安定を求めて公務員を目指して法学部法律学科に入学したという金子涼さん。在学中に学生ボランティアの活動に参加したことをきっかけに、自分が変わったと言います。自分が本当にしたいことは何か。自分が好きだったことは何か。自己分析を続けるなかで気付いたのは、幼い頃から好きだった鉄道と関わって仕事をしていきたいということでした。そうして始めた就職活動で大いに役立ったのは、ボランティア活動で培った「状況判断能力」や「自分で考えて行動する力」でした。

転機となったボランティア活動

2年生の終わりまでは、漠然と公務員になることを目指していました。自分としてはそのために法学を学び、努力しているつもりでしたが、今思えばなんとなく志した道で、就職活動も「なんとかなるだろう」という思いが正直どこかにあったのだと思います。そんな自分が明らかに変わったのは、学生ボランティアセンターの「東北応援プロジェクト」での活動を始めてからでした。私は東日本大震災の被災地を訪れ、瓦礫の撤去などをしました。そのときに、仕事をなくして苦労をしている被災者の方と出会い、「君にはどんな仕事にも就けるチャンスがある。もっと自分の将来を真剣に考えなくてはだめだ」と言われたのです。その言葉で私は目が覚めました。安定を求めて「公務員になる」とただ漠然と考えていた自分の甘さに気付いたのです。そして、自分自身としっかり向き合い、何がしたいのか、何ができるのか、真剣に考えるようになりました。

ボランティア活動では老若男女を問わず、多くの人と出会います。それぞれの立場や状況に合わせた応対をしていくうちに、相手が何を求めているのか、自分はどうあるべきか、という状況判断能力が磨かれたように思います。そして、自分の生き方を考える大きな転機となった被災地支援というボランティア活動で経験したことを生かして、ゼミナールでは「災害時の行政〜復興の地域差と対策〜」を研究テーマに選びました。

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自分のペースを掴めば焦りもない

そして、就職活動を始めるにあたり、あらためて自分が何をしたいのかを真剣に突き詰めました。幼い頃から憧れた新幹線の運転士になりたいという気持ちが強くなりました。経営方針を一新するほど、あの東日本大震災後の対策を重要視している企業姿勢には、ボランティア活動を通して被災地を見てきた自分の思いとピタリと合うものを感じました。また、年齢を重ねても常に新たな仕事に挑戦し続けることができそうな、キャリアステップの幅広さにも大いに魅力を感じたのです。ボランティア活動でさまざまな年齢層の人たちと交流した経験を生かし、「誰にでもわかりやすい、使いやすい、優しい鉄道」を実現する一員となりたい。やりたいことを見出してからは、将来像も徐々に明確になってきました。

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夢中になった経験を就活にぶつける

就職活動の面接では、ゼミ活動で繰り返し行ってきた人前で自分の考えを発表するという経験が生かされ、緊張しながらも、自分の考えをしっかりと述べることができました。その際に自信を持って発言できたのは、学生生活を通じて、自分がボランティア活動を続け、その中で自分としっかり向き合ってきたからだと思います。学科での学びはもちろんですが、在学中に何か一つでも夢中になって取り組めることを見つけ、打ち込むことで、それまで気づかなかった自分の一面を知ることもできるのです。胸を張れる学生生活を送ることこそが、就職活動での最大の武器になるのだと感じました。

これから社会人としての生活が始まりますが、いつでも挑戦を恐れない姿勢を忘れず、自分の手で鉄道を動かすという責任ある仕事を誇りに思い、「現場のプロ」として仕事に臨んでいきたいと思います。

金子 涼さん法学部 法律学科 4年

  • 内定先:東日本旅客鉄道株式会社
  • 所属ゼミナール:竹島博之ゼミナール
  • 茨城県立牛久高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです