第一志望だったゲームソフトウェア会社から内定を得た、総合情報学部総合情報学科の浅香恵美子さん。現在は社会人デビューに向けて胸を躍らせていますが、実は大学生活はある挫折からのスタートだったと言います。文理融合の多面的な学びに取り組める情報総合学科だからこそ、向き・不向きにぶつかることもあれば、思いがけない自分の適性と出会えることもありました。夢を失いながらも、ゼミ活動や先輩からの助言によって自分を見つめ直し、就職を勝ち取った彼女のストーリーを追います。

夢への挫折から発見した本当の適性

内定をいただいたアークシステムワークス株式会社は、ゲームソフトウェアの企画から制作、販売までを手掛ける会社です。中高生の頃からこの会社のゲームやイラストが好きだった自分にとっては、理想的な形で社会に出られることがとてもうれしく、今からワクワクしています。しかし、大学入学からここまで、決してまっすぐ進んできたわけではありません。むしろ周りに比べても、迷うことの多い大学生活でした。

総合情報学科を選択したのは、ゲームのプログラマーを夢見ていたからです。ところが、授業が始まって早々に挫折。プログラミング言語を操ることに、今ひとつ興味が持てないことに気づいてしまったのです。その一方で、パソコンで映像を編集したり、パラパラ漫画を描いたりする授業は楽しく、課題にも夢中になって取り組んでいました。高校生の頃からパソコンでイラストを描くのが趣味だったことも、創作系の授業にのめり込んだ理由だったかもしれません。

今になってみれば、早い段階で自分の適性に気づくことができたのは良かったと思えます。総合情報学部は、文系と理系の枠を超えた“文理融合”の学びが特徴で、特に1、2年生の時は複合的に学ぶため、誰しも向き・不向きにぶつかることはあるでしょう。しかし、当時はそこまで割り切って考えることができず、プログラマーという夢を失ったことに悩みつつも、目の前の学業やサークル活動に勤しむ日々を送っていました。

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計画を確実に実行する力を養ったゼミ活動

専門的な学びのほかに、大学生活を通して養った「計画性」と「責任感」、そして「自分と向き合うこと」は、今の私にとって大きな力になっています。所属ゼミの中林研究室では、自身のテーマの研究・発表を行う前に、まず完成までのスケジュールを立て、進行計画を発表し、教授と研究室のメンバーと「必ずやり遂げます」といった誓いを交わします。

スケジュールを完遂するには、計画を立てる段階である程度のゴールを見据えておくこと。ほかの課題や授業と両立できるかをしっかり見直すこと。そして何より、自分の力量に見合っているかを熟考することが重要です。未熟な自分に気づいて、時には落ち込むこともありましたが、こうしたゼミ活動の積み重ねは、自分と向き合うことが苦手だった私にとってはいい訓練になりました。

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ゲーム会社の広報は「最初のファン」

「プログラマーになりたい」という夢に挫折した苦い経験もあり、就職活動を始めてからも「夢や目標がない」ことは、自分にとってのコンプレックスでした。たしかにゲーム会社で働きたいという思いはありました。しかし、単にゲームが好きなだけでいいのだろうか。「こんな作品を作りたい」といった夢を描けなければ、アピールにはならないのではないか──。

そんなことにあれこれと頭を悩ませていた時期に背中を押してくれたのが、所属サークルの先輩がかけてくれた言葉でした。「本気で企業研究をすれば、その会社で自分は何ができるかが見えてくるはず。ゲームが好きだという気持ちだって立派な動機なのだから、チャレンジする前にあきらめるのはもったいない」と。たしかに、私は“夢”や“目標”といった麗句に縛られすぎていました。しかし、人の適性はそれぞれ。総合情報学科の学びは、自分の興味や長所を発見し、伸ばすプロセスでもあったのだと先輩の言葉から気づかされました。

就職後は、広報・営業職を志望しています。もともと同社のゲームが大好きでしたが、今後は「その作品の最初のファン」として、より多くの人にその魅力を伝えていきたいと思っています。

浅香 恵美子さん総合情報学部 総合情報学科

  • 所属ゼミナール:中林研究室
  • 内定先:アークシステムワークス株式会社
  • 私立東洋女子高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです