お年寄りと触れ合う仕事をしたいと思っていた田口佳奈恵さんは、ライフデザイン学部生活支援学科生活支援学専攻の介護福祉士コースで、介護福祉士を目指して専門知識と技術を習得しました。介護は、高齢化社会の時代において重要かつ急務の仕事です。「どのように働きたいか」を考えながら就職活動に臨み、利用者ときちんと向き合える理想の職場に内定。相手が何を望んでいるかを常に考えていきたいと決意を新たにしています。

学びたかったことを実践的に習得

高校時代に、訪問介護のヘルパーさんの話を聞く機会があり、「介護福祉士」という仕事に関心を持ちました。一般的には“きつい”イメージの職業かもしれませんが、私自身はあまりそのような気はしていません。確かに、ヘルパーさんの話でも「夜中に呼び出されることもある大変な仕事だ」と聞きましたが、「それでも自分が長く介護の仕事を続けているのは、利用者さんと関わる喜びがあるから」という言葉に、大きな魅力を感じたのです。そして、お年寄りに接する仕事をしてみたいと素直に思い、そのための学びに取り組める大学を志し、東洋大学に入学しました。

所属するライフデザイン学部生活支援学科生活支援学専攻は、実践的に学ぶ授業が多く、介護専用のベッド、浴槽、トイレなどを備えた介護実習室では、要介護者と介護者の両方の立場を体験しました。身体を起こしたり移動させたりするのは、自力で動ける人を相手に行うのも難しいのに、実際の現場では大変な力仕事だろうなと感じたものです。車椅子で街に出る体験授業では、混んだ電車内に車椅子で乗り込む苦労や、雨の日に車椅子を押す人が一人では傘もさせないことなど、さまざまな問題点に気づくことができました。どの授業も、学びたかったことを習得しているという実感が得られるものばかり。常に、介護福祉士として働く姿を思い描いて取り組むことができました。

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実習の現場で見えてきた理想の介護像

介護の現場実習では、驚くことが多々ありました。1年次はデイサービスとグループホーム、2年次は特別養護老人ホーム、3年次では障がい者施設、4年次には訪問介護というように、学年とともに実習対象となる要介護者の介護度も上がります。寝たきりだったり、おむつを使用していたり、何もすることがなくて一日中ぼーっとしていたり。頭では理解していたものの、実態を目の当たりにするとショックを隠せませんでした。介護技術を身につけたつもりでも、身体の動かない利用者さんを支えきれず、一緒に倒れてしまったこともあります。それでも、「現実から逃げていちゃいけない」という思いを新たにしました。

大きな力になったのは、所属の渡辺裕美ゼミで、福祉の先進国である北欧での高齢者の暮らしについて学んだことでした。渡辺先生が半年間滞在したデンマークでは、介護が必要な高齢者も、在宅で自分らしい生活を送れる環境が保たれていたと聞いて、理想の介護とはこうあるべきではないかと、深く考えるようになったのです。利用者が本当に求めていることをしてあげられるような介護士を目指したい。そのための実力を身につけることが今の目標です。

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やりたいことがあるのは幸せなこと

介護業界では、数多くの施設で人材を募集しています。就職活動において、私はまず、自分が本当に勤めたい施設を探すということから始めました。利用者さんが個室で暮らす入所型の介護施設を志望したのは、一人ひとりの生活にじっくりと向き合った介護を行いたいと思ったからです。内定をいただいた施設は、隣に保育園が併設されていて、高齢者と保育園児が日常的に関わっている理想的な環境。お世話をすることが決して“作業”にならないよう、利用者が自宅にいるように自由な気持ちで過ごせるよう、身体面でも心理的にも支援していきたいと思っています。

私はたまたま入学する時からやりたいことが決まっていたので、進路を決める際に迷いはありませんでした。自分のやりたいことが見つかるというのは、本当に幸せなことです。目標を見出すためにも、これから入学するみなさんには、大学生活の4年間にいろいろな経験をしてほしいと思います。

田口 佳奈恵さんライフデザイン学部 生活支援学科 生活支援学専攻 介護福祉士コース4年

  • 内定先:社会福祉法人こうほうえん「介護老人福祉施設うきま幸朋苑」
  • 所属ゼミナール:渡辺裕美ゼミナール
  • 東京都立文京高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです