実習現場で思うように対応ができず、好きだったはずの子どもを一時は嫌いになってしまったと語る、ライフデザイン学部生活支援学科子ども支援学専攻の中根知佳さん。子どもの心理を理解するために必要だったのは、現場での体験と子どもの発達過程の知識でした。さまざまな観点から学ぶ面白さを知ってからは、保育の勉強に労を惜しまず、保育士デビューの日を控えてもなお楽しそうに学び続けています。

実習で感じた「保育者」への気づき

子ども支援学専攻を志望したのは、「子どもが好き」というシンプルな理由からでした。とは言え、はじめから「将来は保育士になろう」と考えていたわけではありません。単純に、子どもについて学びたいと思っていたのです。大学入学と同時に、塾の講師のアルバイトを始め、小・中学生、高校生と幅広い年齢層の生徒たちに勉強を教えながら、子どもたちと触れ合うことを楽しむ毎日を送っていました。

気持ちが大きく動いたのは、4年生の6月に教育実習を行った時です。訪れた幼稚園には、園全体で子どもを保育している空気があふれていました。幼稚園教諭一人ひとりの意識の高さはもちろん、園がひとつになって子どもに適切な環境をつくっている姿勢に心を動かされたのです。また、9月には児童養護施設で実習し、職員が連携して働くことの意義を実感しました。専門知識を持たない上に、「雰囲気が暗いんじゃないか」「荒れているんじゃないか」という、偏った先入観を持っていた私は、実際に施設に行ってその穏やかな雰囲気に驚きました。施設内の連携がうまく取れていれば、子どもたちの気持ちは安定するのです。実習でさまざまな施設を訪れたことで、保育者が子どもの心に与える影響の大きさを知り、「保育」への関心がより深まりました。

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子どもを見守るには、知識が必要

保育を学んでわかったことは、まずは子どもの発達過程をしっかりと把握すること、そして、子どものことは“見通しを持って”見守ることが大切だということです。子どもの発達過程を理解していれば、目の前の子どもが今どういう状況にあるのかがわかりますし、どう接したら良いのかも判断できます。たとえば、2歳児は自己意識が芽生えて「いやいや期」とも呼ばれる時期ですが、それを知らなかった私は、実習先でまさにその年代の子どもに接し、「いやいや」への対応の仕方がわかりませんでした。そして、一時的に子どものことが嫌いになってしまったのです。

いろいろな知識を身につけておかなければ、子どもの成長は見守れない。逆に言えば、知識さえ持っていれば、この時期にはこういうことを求めている、こういう遊びが好きなんだろう、そんな見通しも立ってくることを実感したのです。勉強し、知識を得ることで、子ども嫌いになっていた状態から抜け出すこともできました。

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保護者の力になれる保育士になりたい

子ども支援学専攻では、保育士と幼稚園教諭の両資格の取得を目指せます。じっくり学び、考える力を身につけるには、落ち着いた雰囲気の朝霞キャンパスは最高の環境だと思います。公立の保育園に就職するにはかなり難しい試験をパスしなければならず、アルバイトの空き時間や早朝など、集中できる時間を費やして勉強しました。そして念願かなって、卒業後は故郷で保育士として働きます。保育園を志望したのは、4年生の「乳児保育」の授業で0歳児保育について学び、人間形成に関わる大事な時期の乳児に関わりたいと思ったからです。子どもに対していろいろなアプローチがあることを知って、今になって本当に多くのことを吸収したくなりました。

私の理想像は、保護者にたくさん相談される保育士。中原ゼミで教育心理と発達心理について研究したことが、保護者心理の理解にも役立つのではないかと思い、現場では保護者対応にも力を入れたいと考えています。子どもだけでなく保護者や環境にも目を向けて保育を捉えることができたのは大きな収穫でした。子どもの成長を見ながら、自分自身も成長し続けて、子育てに悩む保護者が素直に悩みを打ち明けられるような保育士になりたいと思っています。

中根 知佳さんライフデザイン学部 生活支援学科 子ども支援学専攻4年

  • 内定先:静岡県浜松市保育所
  • 所属ゼミナール:中原美惠ゼミナール
  • 静岡県浜松市立高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです