観光・航空系への就職志望から外資系のIT企業への方向転換。コロナ禍の就職活動を乗り切る原動力となったのは、海外でのさまざまな異文化体験を乗り越えてきたことからくる自信だったと、国際観光学部国際観光学科の学生は振り返ります。「迷ったらとにかくやってみる」の精神で果敢に海外に挑んできた4年間の経験が、学生の海外志向や国際感覚を高め、海外営業職をつかむまでに押し上げました。

自己分析に時間を割いて見つけた自分の魅力

高校生の時に英語劇部で活動するなど、もともと英語を使ったコミュニケーションへの興味があり、観光系や航空系への就職を目指して入学した国際観光学部で観光分野の学びを深め、国際感覚や英語力を磨いてきた4年間。まさか、就職活動をする時期に新型コロナウイルスが感染拡大し、“今まで通り”の就職活動ができなくなるとは、誰にも予想できなかったことでしょう。就職活動を始める前に幾度となく練習してきた面接も、実際には全てオンラインでの実施に切り替わりました。

「オンライン面接は、対面での面接と違い、限られた画面の中でいかに自分を表現できるかということが重要です。そのため、在学中に力を入れてきたことを限られた時間で印象深く伝えられるように、自己分析には一番時間をかけました。面接の前日は緊張のあまり眠れなかったのですが、実際に面接を受けてみると、オンラインの方がリラックスできたように思います」

しかし、就職活動を始めた当初は、「自分の魅力は何だろう」と自分を見失い、悩むこともあったと言います。そこで、家族や大学の就職・キャリア支援室の職員、就活エージェントのスタッフなどの大人と話すことで、客観的に自分を見つめ、どんな強みがあるのかを見つけていきました。

そのようにして見えてきた自身の強みとは、長期休暇のたびに海外研修に参加し、ボランティアやインターンシップ、語学留学などを通じて、異文化に触れ、多様な人々と関わりを持ってきた経験を持っていることであり、異文化の環境に身を置き、価値観を大きく揺るがすような体験を積み、困難も乗り越えてきた精神面での成長でした。それらは自分を語る上での自信となり、外資系企業で多様な人々とともに働きたいという意欲を高めていったのです。そして、日本IBM株式会社のグローバルビジネスサービス部門への内定を得たのでした。

異文化を受け入れ、多様性を認め合う

入学してから長期休暇のたびに海外研修に参加し、学生は韓国・カンボジア・台湾・フィリピン・カナダの5カ国で、異文化に触れ、多様な人々と触れ合う体験を積み重ねてきました。

まず、1年次夏季休暇中に参加した韓国研修では、航空会社と5ツ星ホテルを訪れました。航空会社では管制塔や機体を見学し、ホテルでは最高級のホスピタリティを体感するなどして、観光学を実践的に学びました。

続いて、春季休暇中には、カンボジアでの環境教育ボランティアに参加。サークルのメンバー約70名と一緒に現地の小学校を回って、ゴミの分別への意識を高める活動に取り組みました。学生は「カンボジアの文化や習慣などを事前に学んでから渡航したものの、実際に現地を訪れてみると、都市部でも道路の整備が不十分であり、日本とはあまりに異なる住環境や食生活に驚き、価値観が大きく変わった。課題解決のために何かできることはないかと考えるようになった」と言います。

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日本の学生がカンボジアのある村に建てた校舎

「高床式の住居に暮らし、昨日まで生きていた豚を今日の食材にするという生活を目の当たりにしました。食事の味付けなども日本とは全く違いましたが、現地の人々と分かり合うためには、それを食べられないと拒絶するのではなく、異文化を受け入れ、感謝の気持ちを表しながらいただくという姿勢でいることが大切だと肌で感じました。現地の子供たちは日本のことを知らなかったのですが、私たちと接するうちに日本語に興味を持ち、将来は日本語教師になりたいとまで言ってくれるようになったことがうれしかったです」

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高床式の家で日本から持ってきたシャボン玉で遊ぶカンボジアの子供たち

そして、2年次の夏季休暇は、台湾の5ツ星ホテルでのインターンシップに参加。周りに日本人が誰もいないという環境で、英語を共通言語としてコミュニケーションをはかりながら、接客業務を経験しました。「日本語が話せない環境に身を置き、英語を話すことへの抵抗感がなくなりました。英語で考え、瞬発的に英語で答える力が高まったと思います」と話します。

さらに、2年次の春季休暇はフィリピンへ。子供たちへの防災教育ボランティア活動に参加しました。フィリピンでは台風による甚大な被害を受け、多数の死者が出たことから、どうしたら災害を防ぐことができるのか、その対応や課題解決策を現地の人たちとともに考えました。

そして、英語圏の人々ともコミュニケーションが取れるような高い英語力を身につけたいと、3年次春学期には、3カ月半の短期語学留学でカナダへ渡航。野生のリスやウサギに道端で出会えるほどの自然豊かな都市・ウィニペグでホームステイをしながら、語学力を磨きました。

価値ある人材になることを目指して

さまざまな国を訪れ、多様な人々と交流を深めてきた経験を通じて学んだのは、「異文化を受け入れ、多様性を認め合う」ことの大切さでした。視野が広がり、価値観ががらりと変わる体験を積んだ4年間。「学生生活でしかできないことに挑戦しよう。迷ったらとにかくやってみよう」という思いで過ごしてきました。だからこそ、これから大学に入学してくる後輩たちに向けては、「大学はいろいろなことを経験できる場。できる限りいろいろなことを学び、経験して社会へ飛び立つ準備をしてほしい」とエールを送ります。

そして、就職を目前に控えた今、「IT業界は将来性があり、今後、さらに必要性が高まる業界である一方で、人手不足の状態にあります。内定をいただいた日本IBMは外資系なので、社員一人一人が裁量権をもって働くことができることに魅力を感じています。また、海外営業職ということで、さらに多様な人々と関わりを持てることを楽しみにしています。積極的にフットワーク軽く、いろいろな仕事を前向きに取り組み、ITの知識をしっかりと身につけ、価値ある人材になれるように努力していきます」と意気込みを語りました。

H.N.さん国際観光学部国際観光学科4年

  • 埼玉県立熊谷女子高等学校出身
  • 内定先:日本IBM株式会社
  • 掲載内容は、取材当時のものです