Academics ＆ Global 高等教育推進センター

2024年４月より、東洋大学高等教育推進センター長を拝命しました澤口隆です。

スポーツの世界において、一流選手が一流の監督になれるとは限らないことはよく知られています。それでは、一流の研究者は、一流の教育者にはなれないのでしょうか？

大学教員は、それぞれの学問分野の専門家であり、誰よりもその分野の面白さ・大切さを知っています。それを学生に教授する一流の研究者こそ一流の教育者になれるはずです。しかし、大学教員が“教え方”を学ぶ機会はそれほど多くありません。私は教育学部の出身で教員免許も取得しましたので、教職課程で教育の理論も（少しだけ）かじり、教育実習にも行って“教え方”について学ぶことができました。ただ、教員自身が大学時代に教わってきた講義がそのまま自分の“教え方”のスタイルになっている大学教員も多いかと思いますし、私自身もそうでした。大教室に設置された引き違いの大型黒板4枚を隅から隅まで縦横無尽に活用し、芸術的な講義をする名物先生の教え方に一種の憧れを持ったものです。

時代が変われば、教育現場で利用できる道具も教え方も変わります。新型コロナウイルスパンデミックでは、遠隔・オンライン教育が世界中に広まりました。近年のChatGPTに代表されるような大規模言語モデルと生成AIも大学教育に大きな影響を与えています。

高等教育推進センターでは、常に変化する時代において、東洋大学で教えることに携わる全ての人に、“教えること”を学ぶための情報提供や研修、実践例の共有などを行なっています。日頃、学生に“教える”立場の先生方も、時には学生と同じ“教わる”立場に立ち、学ぶことの楽しさを思い出してみるのも一興ではないでしょうか。

2024年4月