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大学生活をふりかえって〜最優秀卒業論文賞インタビュー

大学生活をふりかえって〜最優秀卒業論文賞インタビュー

 

­[学生] 開田 岬 (かいだ・みさき) 国際地域学科 4年

[聞き手]荒巻 俊也(あらまき・としや) 国際地域学科 教授

[聞き手・書き手]谷 真梨子 (たに・まりこ) 国際地域学科 1年

 

開田岬さんは、2018年度の国際地域学科最優秀卒業論文賞を受賞されました。そこで、開田さんに、どのような卒業論文を書かれたのか、そして、卒業論文執筆に至るまでの経緯から、今後の抱負、後輩へのメッセージなどを、指導教員である荒巻俊也教授と谷真梨子がお伺いしました。

きっかけは「環境」と「国際協力」への関心

荒巻教授:
開田さん、国際地域学科の最優秀卒業論文賞おめでとうございます。まず、どのような卒業論文を書いたのか、教えてください。

開田さん:
「山間部と臨海部の間での、プラスチックゴミに対する意識の違いについて」、というテーマで、英語で卒業論文を書きました。海洋ゴミ問題の一部である、プラスチックゴミ問題についての、世界の状況と、フィリピンの状況の比較から始まり、「山間部の方が、臨海部と比べて、プラスチックゴミに対する意識が低いのではないか」という仮説をもとに、実際にフィリピンへ行き、現地の住民への意識調査を行いました。今回の調査は、対象地域である山間部と、臨海部のそれぞれ1つの地域のみで行ったので、データとしては不十分であり、上記の仮説は立証できなかったのですが、「環境教育などをしっかり受けている地域の方が、プラスチックゴミに対する意識が高まっている」という結果は得られました。

谷 :
どうしてこのような卒業論文のテーマを選んだのですか。

開田さん:
両親が海のレジャーが好きで、小さい頃から海に接する機会が多く、そこでのゴミの問題にもともと興味がありました。国際地域学科に進学したのも、海洋ゴミ問題への関心があったからです。海洋ゴミを含めた環境問題は、日本だけでは解決できる問題ではなく、国際協力がすごく重要だと思い、環境問題とともに国際協力や国際開発が学べる国際地域学科に入学しました。

荒巻教授:
大学入学後、開田さんはさまざまな活動に取り組んできたかと思うのですが、このテーマにたどり着くうえで重要だったのは、どんな活動でしょうか。

開田さん:
私は、大学生活で海外留学やインターンシップ、そして学内のボランティアサークルISR−ConnAction での活動を行なってきましたが、その全てが重要だったと思います。海外留学では、ゴミ問題は海だけの問題ではない、と思いました。留学先のアメリカの内陸部の州では、ゴミの分別などに対する人々の意識の低さにすごくショックを受け、臨海部や山間部など、地域による意識の違いに興味を持ちました。ISR−ConnAction の活動の中で、フィリピンのゴミの現状を目にし、また、トビタテ留学でフィリピンでのインターンシップを経験した中で、卒業論文のテーマを決めました。

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               インタビューの様子

ボランティア活動と留学準備に取り組んだ1,2年時

荒巻教授:
それでは、開田さんの大学生活を振り返りながら、卒業論文執筆に至った経緯をもう少し詳しくお聞きしたいと思います。開田さんは、入学後すぐに英語の特別プログラム(ESP)に登録をしたそうですが、ESPの登録やISR-ConnAction での活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

開田さん:
高校生の頃から、英語を学ぶのではなく、英語をツールとして海外の大学で学びたい、という思いが強く、ESPは、積極的に留学の準備を進めるために参加しました。また、それとは別に、NPOのような団体は、どのように動いて、どのように活動しているのか、という組織的な部分に興味があって、他のサークルとは違って、学生主体のボランティア活動を行っている、ISR-ConnAction に入りました。

荒巻教授:
ISR-ConnAction では、具体的にどのような活動を行ったのですか。

開田さん:
一番印象的だったのは、1年生の時に行った、ボディーペイントと、古着集めです。このイベントは、ボディーペイントで活動資金集めを行い、それをもとに日本で古着を集めて、フィリピンのUKAY−UKAYと言われる古着屋さんに販売をしました。そして、その売上金を、ISR-ConnAction の活動資金として、ISR−ConnAction が運営しているデイケアセンターの補修費用に充てました。私は、このイベントのリーダーを担当しました。

谷 :
ボランティアサークルなのに、資金集めを行ったのはなぜですか。

開田さん:
ISR−ConnAction の活動の結果、デイケアセンターが出来ていたけれども、それをどのように維持していくか、が課題だったからです。ボランティア活動を持続的に行っていくために、資金集めが重要な活動として色々取り組みました。

荒巻教授:
そういったISR-ConnAction での活動をしつつ、ESPなどを活用して、留学に向けて必要な勉強もしていった、という事なのですね。

開田さん:
そうですね。TOEFLにはかなり手こずりましたが、2年生の秋に大学の交換留学制度の選考を通過し、3年生の夏からの留学が無事に決まりました。

アメリカ留学で感じたゴミ問題に関する意識の違い

荒巻教授:
留学先は、アメリカのネブラスカ大学オマハ校でしたね。どうしてそこを選ばれたのでしょうか。

開田さん:
交換留学を応募する際に、東洋大学が加盟しているISEPの枠で応募しました。自分が学びたい環境系や開発系の授業が受けられることを優先的に考え、ISEPに加盟しているさまざまな大学の情報を調べ、学部や学科の名前だけではなく、どのような授業があるのかまで調べて選びました。

荒巻教授:
留学先で、環境や開発について実際に勉強したり、現地で生活をしてみて感じたことは何でしょうか。

開田さん:
1つ目は、私は、日本、アメリカと、ボランティアをしたフィリピンしか見ていないのですが、環境と言っても、国ごと、ないし州ごとに重要視している環境問題に関するテーマが違う、という点に興味を持ちました。日本は、当時、東日本大震災の直後、ということもあり、全体的にエネルギー問題を、アメリカは、留学先がネブラスカ州だったこともあり、食と環境、そして、フィリピンは、生物多様性とゴミ問題だったことです。2つ目は、ネブラスカ州の人は、環境問題にかなり冷めている、という印象を受け、かなりショックを受けました。何人かの友達に私が留学直後に、フィリピンでインターンシップを行う話をした際、今のままでは大変なことになると思うから、環境問題に対するみんなの意識を変えたい、と言っても、無理だよ、と言った開き直った返答をされ、意識なんて変えられないよ、と言われて、すごくショックで、衝撃を受けました。土地柄なのかとも考えました。

荒巻教授:
土地柄というより、そこまで環境問題について、身に迫って考えなければならないような状況に置かれていない、ということなのかもしれませんね。

開田さん:
そうですね。あの広大な土地にのんびりと住んでいたらそう思うのかもしれません。

途上国でのインターンシップでの失敗

荒巻教授:
留学直後にフィリピンでインターンシップ、という話がありましたが、開田さんは、留学が決まった、と同時に、フィリピンでのインターンシップとの組み合わせで、トビタテ留学Japanにも応募しましたね。その理由を聞かせてください。

開田さん:
学生のうちに、NPOで本格的なインターンシップをしておきたかったからです。

荒巻教授:
それは、ISR-ConnAction の活動が影響していたりするのですか。

開田さん:
はい。ISR-ConnAction の活動を通じてフィリピンのゴミの状況を実際に見たり、現地の人と直接話をする機会がありました。また,もしISR-ConnActionの活動がなかったら、インターン先のNPOのリーダーの人とも出会えてなかったです。

荒巻教授:
トビタテ留学の選考はいかがでしたか。

開田さん:
とてもハードでした。特に、二次面接では、自分がなぜトビタテを利用して留学行きたいのかを、ユニークに、熱意を持って、わかりやすく伝えなければならないのですが、計画を考え始めた当初は熱意はあったのですが,自信はなくて留学とインターンの計画をうまく自分の中で整理することができていなかったので、難しかったです。

荒巻教授:
トビタテプログラムの選考では、書類選考の後の二次面接では、通常の面接の他に、グループディスカッションの中で、4分間で自分のトビタテ留学のプログラムを紹介する、というものがありましたよね。

開田さん:
はい。1対1での面接で、留学計画について問われる部分については、回答に自信を持っていたのですが、4分プレゼンについては、題材を練るのに、先生方や先輩方からさまざまな指摘を受けました。そして、それまでの自分の計画や、留学やインターンに取り組みたい、という意思が、すごく曖昧であることに気づかされ、ひどく落ち込みました。でも、そういった先生方や、先輩方の指摘のおかげで伝えるべきことが明確になって、二次面接当日は、すごく自信を持ってプレゼンができて、無事合格することができました。私のディスカッショングループの中では、一番良いプレゼンができた、と思います。

荒巻先生:
アメリカでの留学後、フィリピンでのインターンシップは、どのような活動を行ったのでしょうか。

開田さん:
インターン先は、ゴミのクリーン活動などに取り組んでいるNGOでした。そのNGOの通常業務を支援しながら、リサイクルクレヨンを使った独自の環境教育ワークショップも行う計画でした。

谷 :リサイクルクレヨンとは、どのようなものですか。

開田さん:
捨てられていたプラスチックのゴミの中にはクレヨンに使用されているプラスチックの成分も含まれていることがあり、それを集めて油化したらクレヨンの素材にすることも可能です。そこで、実際にクレヨンを作り、使うワークショップを行うことによって、アクティブラーニングのようなものをしたかったのです。

荒巻教授:
ゴミ拾いによって回収したものの中からクレヨンのような自分たちが使えるも
のに作り変えて、それを使うことによって、クリーンアップ活動の実践とその啓発まで一緒に行おうとしたのですね。

開田さん:
はい、その通りです。ただ、回収したゴミからリサイクルクレヨンを直接作るのは難しいだろうと思っていたので、代替案として、いらなくなった、もしくは、小さくなって使えなくなったクレヨンを集めて、熱で溶かして成形し再び使えるようにする、というタイプのリサイクルクレヨンのプログラムも行おうとしていました。

谷 :
成果はいかがでしたか。

開田さん:
NGOとの連携がうまくいず、失敗しました。全てがボランティアでやっている団体で、NGOのリーダーもさまざまな活動を忙しく行っており、計画を立てた際には同意を頂いたのですが、実際に私が発案した独自のプログラムを大掛かりに行うだけの余裕がありませんでした。また、そもそも現地では、クレヨンが日本ほど幅広い層で使えわれていなかったようです。結局、新規で購入したクレヨンを用いて、計画当初とは違う形で小規模に行うことになりました。

荒巻教授:
クリーン活動と環境教育の相乗効果を狙ったのだが、計画に少し無理があった、ということですね。

開田さん:はい。他の活動もそうですが、日本と違って、途上国では、計画通りにいかないことが多く、物事を実現させていくのが難しい、ということと、自分自身のリスク管理の甘さを痛感しました。

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                                                 インターンでの環境教育の取り組み

現地での意識調査の難しさ

荒巻教授:
このインターンシップの活動と並行して、卒業論文の調査を行ったわけですよね。具体的にどのような調査を行ったのですか。

開田さん:
質問用紙を作成して,それを用いてインタビュー調査を行いました。まず、回答者にそれぞれの基本情報を書いてもらい、その後、プラスチックゴミに関するリサイクルの3つの項目について回答してもらいました。3つの項目とは、「家庭内でゴミを捨てる役割はあるのか」、「環境教育のワークショップを行った事があるか」、「プラスチックゴミに対する問題意識はあるのか」、というプラスチックのリサイクルに影響を及ぼす行動についての意識調査です。この意識調査は、山間部と臨海部の、それぞれ1つずつのバランガイを直接訪問して、現地の方の協力をいただきながら、およそ50世帯で行いました。

荒巻教授:
調査は開田さん自身が英語で行ったのですか。

開田さん:
英語ではないです。この調査は、セブ市役所の環境課の職員の力をお借りしました。まず、私が英語で作成した質問用紙を、現地語である、ビサヤ語に翻訳してもらい、それを、現地で、英語を話せる小学生などの助けを受けながら、カタコトのビサヤ語で調査しました。

荒巻教授:
それは大変でしたね。特に難しかった点を挙げるとすれば何ですか。

開田さん:
英語からビサヤ語に翻訳するときに、ニュアンスが変わっているのではないか、と言うところにすごく心配がありました。また、私自身が直接聞いたときは、回答者が見栄を張って、いつもと違ったことを言うのではないか、という不安もありました。

荒巻教授:
そこは、このような調査ではつきまとう問題ですよね。我々が第三国で調査をするときに、現地の方に通訳をお願いするわけですが、ニュアンス的なところまで、どう伝わっているのか、を確認するには、本当に難しいですね。特に、回答者の意識を聞く調査では、大きな問題ですね。

開田さん:
はい。とにかく、一緒に通訳をしてくれた人と、徹底的にコニュニケーションをとって、自分がわからないところを、有耶無耶にしないで、しつこいくらいに聞き直していました。

荒巻教授:
どう本心を聞き出すか、というのも難しい事だと思うのですよね。例えば、調査の時には、現地のコミュニティーのリーダーを通じて協力をお願いしたりしますが、そのせいで、回答者の本心が聞けなくなっているようなこともあるかもしれません。

開田さん:
山間部に調査に行った時は、現地の英語を話せる生徒が翻訳者として一緒に調査をしてくれたのですが、その子は、父がバランガイキャプテン、母が教師をしている家庭だったので、調査する家庭が、先方で決められていました。決められていた訪問先は、その家族の知り合いや、行きやすいところで、調査結果が偏ってしまう、と思い、自分で訪問先を指定しながら調査を行ったりもしました。

荒巻教授:
結果が得られたのち、論文としてまとめる作業はいかがでしたか。

開田さん:
大変でした。結果が自分の仮説としていたものとは違っていたので、それをどう使って議論を展開していくのか、と言うのがなかなか上手くいかず、手が進みませんでした。

荒巻教授:
このように苦労して調査したデータをさまざまな角度から考察したというところが,今回最優秀卒業論文賞という形で評価されたのかな、と思います。

環境問題の改善による社会への貢献をめざして

荒巻教授:
さて。大学生活の中で、さまざまなことに取り組んできていよいよ卒業ですが、今後、どのようなことをやっていきたいですか。

開田さん:
大学でさまざまな経験をして来て、環境問題に対して、これからも常に取り組んでいきたい、と言う思いが強くなりました。今後、企業活動の中でも、環境問題への配慮がより重要になってくると思うので、環境問題に対して先進的な取り組みをしている企業で専門的に働きたい、と思っています。

荒巻教授:
環境問題の専門家として、実社会に貢献していきたい、ということですね。

開田さん:
はい。そのためには、もっと専門的に学んでいく必要があるので、次は、海外の大学院への進学を考えています。

荒巻教授:
最後に、後輩へのメッセージをお願いします。

開田さん:
たくさん挑戦をして、たくさん失敗をできるのは学生のうちだけで、その失敗を学びに変えて、失敗自体を周りにポジティブに受け止めてもらえるのは、やっぱり学生のうちだけなので、沢山チャレンジして、沢山失敗もして、学んで行ってください。

荒巻教授:
沢山チャレンジできる環境があるからには、どんどんチャレンジしていったほうが良い、と言うことですね。そういった意味では、国際地域学科に進学して良かったのですね。

開田さん:
はい。留学しやすいプログラムもあり、NPOやボランティアで活動する仲間も多いし、国際地域学科に進学して本当に良かったです。

荒巻教授:
開田さん、本日はありがとうございました。

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                                                             インタビュー終了後