アクティブ・ラーニング実証研究特別講義を開催
2019年6月20日、本学白山キャンパスにてICTやAIを活用したアクティブ・ラーニングを実証的に研究する特別講義を開催。本取り組みは、高等教育の現場において受講者数の多い講義などにおいても、アクティブ・ラーニングを実現する方法を検討するために実施されました。
当日は、総勢100名ほどの学生のほか、伯井美徳 文部科学省高等教育局長も参観され、「大学におけるダイバーシティ」をテーマに講義が行われました。
講義を行ったのは、東洋大学副学長/経済学部総合政策学科の松原聡教授。大学におけるダイバーシティを実現する一つの可能性として、“電子書籍の音声読み上げ機能”や“パワーポイントの音声字幕表示”などを実際に活用しながら講義を行いました。これらの機能は、聴覚・視覚の障がいをもつ人にとっても不自由なく講義を受けられる環境の一助となります。また、音声字幕表示は世界各国の言語に変換できるため、国籍を越えて講義を行うことも可能です。
画像:経済学部総合政策学科 松原聡教授
アクティブ・ラーニングの実現
画像:学生が“レスポン”のアプリを各自のスマホにインストールし、授業は進められた
講義において、大勢の前で発言をすることに緊張や不安を感じる学生もおり、そうした中で自分の考えを感じたままに発言してもらうことは、極めて難しい課題でした。
今回の講義で活用した株式会社レスポンのリアルタイムアンケートシステム "respon (レスポン)"は、コメントの投稿をリアルタイムに集計・表示することができます。学生は自身のスマートフォンのアプリから、教員の質問に対する回答をコメントします。レスポンを通して、学生たちの声をリアルタイムに聞きながら講義を進めることで、大人数でもコミュニケーションをとりながらの双方向授業が実現。回答内容をAIがリアルタイムでグルーピングする新システムの試験的な活用も行われました。
また、講義の中では、学習時間を確保するため、予習において図書館の電子書籍を活用する事例も紹介されました。
画像:コメントのグルーピングの表示
画像:グループを代表するリーダーコメントの表示
大学における“ダイバーシティ”
画像:講義を受ける学生たち
“大学におけるダイバーシティ”を実現するためには、障がいや男女、国籍、年齢、宗教などさまざまな課題があります。たとえば海外では25歳以上の大学生も多いのに対し、日本の大学生は高校を卒業した20代前後が大多数です。この議題に対して意見を求められた学生からは、「社会人が大学に通うことで、それが良い刺激を生むはず。年齢に関わらず学べる環境にしたい」「社会に出てから大学院に通いたいと考えている。現状ではそれが難しそう」といったさまざまな意見がレスポンによって投稿されました。
誰もが同じように大学に通い、学ぶことができる環境を整えること。そのためには今回、実施したICTやAIを活用した講義は大きなヒントになります。大学としてのダイバーシティの実現を目指し、今後も積極的な取り組みを行っていきます。
画像:講義の最後には伯井美徳 文部科学省高等教育局長、本法人理事長 安齋隆から講評をいただいた