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【著作紹介】農産物市場開放と日本農業の進路 ―牛肉・オレンジ・米,GATTウルグアイラウンドからTPPへ

[2021年5月更新]

農産物市場開放と日本農業の進路

著者:川久保 篤志(法学部企業法学科 教授)
出版社:筑波書房
出版年:2021年3月発行
ISBN:9784863274655
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内容:
 今、小売店の食品コーナーに行けば、世界中の農産物が棚を埋めています。これはいつ頃から定着したのでしょうか。輸入品が増えることは国内の農産物の需要を奪う側面があり、食料自給率の面では問題ともいえますが、価格の安さや周年供給、食の豊かさの面では不可欠な存在でもあります。また、日本の大量輸入は輸出国側の農産地にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。世界第2位の農産物純輸入国である日本の現状を通して、食料供給のグローバル化の一つの側面を明らかにした一冊。

 

教員メッセージ

 私が農産物貿易に関心を持つようになったのは、1980年代後半の日米貿易摩擦でクローズアップされた「牛肉・オレンジ自由化問題」でした。価格競争力の劣る国産品は自由化後の輸入激増で淘汰され、離農の進展が食料自給率の低下や農村の経済・社会を崩壊させる、といった懸念が紙面を賑わしていました。なぜ、工業製品の輸出超過を農産物の輸入超過で帳消し(金額が桁違いで、実際にはそうなりませんが)にしなければならないのか、という疑問も抱き、研究の緒に就いたものです。

それから30年以上が経過した現在、肉用牛や柑橘類の産地はどうなっているのか。日本に大量輸出した米国や豪州の産地ではどのような変化が見られたのか。現実には、日本の農牧業は衰退しきってはいませんし、海外の産地も恩恵ばかりを受けたわけではありません。本書では、この点について国内外の産地や消費市場を双方向的に分析しています。そして、そこから浮かび上がる消費市場としての日本の特殊性と世界の農産物貿易における役割についても解説しています。コロナ禍で食をめぐる環境が大きく変わった現在、皆さんも食のグローバル化の長短や功罪について考えてみませんか。

 

[著者] 川久保 篤志(カワクボ アツシ)

東洋大学法学部 教授。 専門は人文地理学。
1966年和歌山県生まれ。岡山大学大学院文化科学研究科単位取得退学。博士(文学、広島大学)。
著書として、『戦後日本における柑橘産地の展開と再編』(農林統計協会、2007年)、『瀬戸内レモン』(渓水社、2018年)などがある。

関連リンク

東洋大学研究者情報データベース(川久保 篤志教授)
カリフォルニアレモン事情(東洋大学学術情報リポジトリ)
TPP 大筋合意と日本の稲作―輸入米と非主食用米の需給に絡めて―(東洋大学学術情報リポジトリ)
山間地域における果樹・加工品開発と地域存続力の構築(東洋大学学術情報リポジトリ)
【著作紹介】瀬戸内レモン ~ブームの到来と六次産業化・島おこし~