【著作紹介】経済再興のための金融システムの構築
著者:益田 安良(情報連携学部情報連携学科 教授)
出版社:金融経済事情研究会
出版年:2020年7月発行
ISBN:9784322135596
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内容:
金融分野における長期的・構造的問題を指摘するだけでなく、その岩盤に迫り、これをどう突き崩すかを丹念に論じた書。金融制度、金融市場から、金融制度・企業金融まで、マクロ経済との関連で広範に論じている。また、ポスト・コロナを睨んで経済を蘇らせる為の金融システムを提示している点も特徴である。
教員メッセージ
コロナ禍により、金融も経済も大きな打撃を受け、そのおかげでコロナ禍終息後にも残る日本経済の課題も明らかになった感があります。そうしたポスト・コロナの金融システムに関する長期的指針を、包括的に記しました。金融市場・金融政策から金融制度・構造、企業金融まで包括的に金融を捉え、かつマクロ経済との関わりを重視して書いています。故に、この書を読んで頂ければ、現在の金融の課題が広範に理解できるだけでなく、日本経済の諸課題との関連も理解できると思います。金融を勉強する方はもちろん、もう少し広く経済構造を考えたい方にも、有益な書であると自負しています。
目次
第Ⅰ章 日本の金融システム概観と諸環境
1 マネーフローからみた日本の金融システムの特徴と問題点
2 マイナス金利政策と金融機関
3 金融制度・規制の変革を促す内外の環境変化
4 産業構造転換・強化のための金融への要請
5 金融は主体的に経済・社会の発展に資する使命あり
第Ⅱ章 企業金融におけるゆがみと活路
1 企業の資金調達の内訳
2 中小企業金融の根本問題
第Ⅲ章 起業・ベンチャーの環境と促進策
1 日本の起業・ベンチャーの動向
2 起業・ベンチャー低迷の労働市場面の要因
3 ベンチャーの資金調達環境
第Ⅳ章 高齢社会における家計の資産形成
1 日本の家計の金融資産構成の特徴
2 高齢者世帯の貯蓄・収支・資産構成
3 家計の貯蓄・資産構成の展望
4 年金制度と家計金融
第Ⅴ章 金融機関経営を圧迫するマイナス金利政策
1 黒田異次元金融緩和の限界
2 マイナス金利が金融機関の収益を圧迫
3 非資金利益拡大の切り札、口座維持手数料
第Ⅵ章 金融規制・監督の課題
1 金融規制・監督の理念と変遷
2 グローバル潮流への調和
3 マクロ・プルーデンス政策の考え方
第Ⅶ章 公的金融の変革課題
1 公的金融問題の規模とプレゼンス
2 公的金融の存在意義(経済政策としての正当性)
3 政府系金融機関の民業圧迫と金融システム上の懸念
4 官製ファンドにも民業圧迫の懸念
5 経済活力を高めるための公的金融のあり方
第Ⅷ章 日本経済の成長を促進する金融システムを目指して
1 日本経済の長期停滞とマネーフローの目詰まり
2 キャッシュレス化・フィンテック・デジタル通貨の展望
3 残された課題:持続可能な発展のための金融の貢献
[著者] 益田 安良(マスダ ヤスヨシ)
東洋大学情報連携学部教授、博士(経済学)。1958年生まれ。
1981年京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)入行。
1988年、富士総合研究所(現みずほ総合研究所)に転出し、ロンドン事務所長、主任研究員、主席研究員などを歴任。
2002年4月~2016年3月、東洋大学経済学部(兼大学院経済学研究科)教授。
2016年4月より国立国会図書館調査及び立法考査局専門調査員。
2018年4月より現職。(「ミクロ・マクロ経済学」「国際経済学」「金融論」他を担当)
専門は、金融システム論、国際金融論、経済政策論
【主著】
(単著)『経済再興のための金融システムの構築』きんざい, 2020年7月
『わかりやすい経済学のウソにだまされるな』ダイヤモンド社, 2013年3月
『中小企業金融のマクロ経済分析』 中央経済社, 2006年7月
『反常識の日本経済再生論』 日本評論社, 2003年7月
『金融開国―グローバルマネーを手なずけろ―』平凡社新書, 2000年11月
『グローバルマネー』日本評論社, 2000年 6月
(編著)『改訂 金融経済の基礎』経済法令研究会, 2017年3月
『金融経済の基礎』経済法令研究会, 2014年3月
『グローバル・エコノミー入門』勁草書房, 2011年7月
『ユーロと円』日本評論社, 1998年12月
e-mail:masuda_y@toyo.jp
ブログ:http://masudayasu.blog.jp/