【著作紹介】哲学の練習問題

哲学の練習問題

著者:河本 英夫(文学部哲学科 教授)
出版社:講談社
出版年:2018年4月発行
価格:1,050円+税
ISBN:9784062924801
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内容:
私たちの身体と心には、まだ開発されていない能力が無数にある。しかし、それは「学習」では開発できない。発達をリセットして、能力を形成すること。それは「名詞」ではなく「動詞」の経験であり、そのためには実際にやってみるのが唯一の方法である。本書では、オートポイエーシスの第一人者として知られる著者が、一人でもできるエクササイズを数多く紹介している。これらを実行したその先には、未知の自由が待っている。

後ろ向きに走ることができますか? たぶん、多くの人は全身に「違和感」が生じて、数メートルも走れたら上出来でしょう。
それが難しければ、今度は横歩きしてみましょう。身体の右を前にしても、左を前にしても、身体は同じように動いてくれるでしょうか。
──本書は、こんなエクササイズを身体だけでなく心や思考にも施して、もっと自由に生きられるようになるための教科書です。
身体にせよ、思考にせよ、私たちにはまだ開発されていない能力が無数にそなわっています。でも、「学習」によっては、それを開発することはできません。大事なのは、能力を作り出すこと。そのために、発達をリセットすること。本書には、それを一人でも実行できる具体的なエクササイズが数多く紹介されています。
経験は「名詞」ではなく「動詞」です。本書を手引きに、触覚とイメージを使ったエクササイズを実行してみれば、今まで知らなかった自由の中にいることが分かるでしょう。それこそが「哲学」の力です。>
さあ、未知の自由に向かって一歩を踏み出しましょう!

講談社の紹介ページ

 

教員メッセージ

 『哲学の練習問題』(河本英夫)は、哲学を「経験の弾力を回復する試み」だと考え、多くの練習問題を設定した。まずわかろうとする前に、経験を動かさなければならない。経験を動かすとは、問いを前にして、「自分だったらどういう選択をする」か、当該箇所を読んだ後に、さらに自分だったらどう考えていくかというように、自分の経験で前に進んでみることである。ともかく試みてほしい。

 哲学は、世界の現実を変え、自分自身を作り替えていく試みの一つだが、それほどの課題は簡単に実行できはしない。それでもささやかながら少しでも踏み出してみるという試みである。

 

目次

練習問題1 創造性への屈伸運動
練習問題2 浦島太郎の玉手箱の秘密
練習問題3 意味の手前で……
練習問題4 目盛りを変える、目盛りをなくす
練習問題5 見えないのに知っている、触れている
練習問題6 目はいかにして生まれたか
練習問題7 スチュアート君の指先
練習問題8 寺田寅彦とともに
練習問題9 日常性のほんの一歩先
練習問題10 見えないが自明な行為の手がかり
練習問題∞ レッスンの終わりに

 

[著者] 河本 英夫(カワモト ヒデオ)

河本英夫先生

1953年鳥取県生まれ。
東京大学教養学部卒業。同大学大学院理学系研究科博士課程満期退学。
専門は科学論、システム論、オートポイエーシス。
長崎大学助教授を経て、現在、東洋大学文学部哲学科教授、博士(学術)。あらゆる人間の生の深層に届く言葉を繰り出す唯一無二の哲学者。
主な著作に『オートポイエーシス』『臨床するオートポイエーシス』(ともに青土社)、『〈わたし〉の哲学』(角川選書)等がある。

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