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【著作紹介】Microgrids: Design, Applications and Control

[2020年12月更新]

Microgrids: Design, Applications and Control

著者:平瀬 祐子(理工学部電気電子情報工学科 准教授) 【共著】
出版社:Nova Science Publishers
出版年:2018年3月発行
ISBN:9781536133967
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教員メッセージ

本書”Microgrids: Design, Applications and Control”では、マイクログリッドのモデリングと分析に関する様々な研究が紹介されています。全7章構成で、各章の研究者が、それぞれ異なる研究を紹介しています。私は第2章を執筆し、そのタイトルは、”Autonomous Power Management in Microgrids Using Virtual Synchronous Generators”というものです。

昨今の電気は、昔のように遠く離れた発電所だけで作られ送られてくるのではありません。持続可能な電力供給、脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーの利用、電力品質の向上などを目指して、規模は小さくても極身近なところで発電できる電源が、あちらこちらで電力網に接続されるようになりました。これらの電源を「分散電源」と呼び、大きな発電所を持たない独立した電力網の区分を「マイクログリッド (Microgrids)」と呼びます。

しかしマイクログリッドでは、もしこれらの分散電源が、自分以外の電源の存在を無視して好き勝手に発電してしまうと、電力品質が悪くなったり、最悪の場合には停電を招いたりして、分散電源の利用価値が下がってしまいます。この解決策として従来は、これらの分散電源を司令塔のようなところで一括して監視制御する手法が用いられていましたが、最近では、統括制御部を持たなくても、各分散電源内だけで電力品質を維持できる制御手法が開発されました。このような自律的な(Autonomous)制御手法は、仮想同期発電機制御(Virtual Synchronous Generator Control)と呼ばれ、特に系統の過渡安定性を向上させるとして知られています。

過渡安定性とは、数秒から数十秒の短い時間内の安定性を指しますが、実際に電気を使って生活を継続するためには、もっと長時間におけるエネルギー全体についても考える必要があります。例えば、電気エネルギーと熱エネルギーのどちらに余裕があるのかとか、蓄電池の充電量がいつなくなるのかとか、天然ガスと電気ではどちらが経済的か、など。しかしここで、これらエネルギーの最適な使い分けを制御するのに、統括制御を使ってしまっては、仮想同期発電機制御の自律分散性を活かしきれません。

そこで本書第2章では、従来型の連系制御を持つ家庭用燃料電池と、仮想発電機制御を持つ蓄電池をそれぞれマイクログリッドに接続し、過渡制御だけではなく、複数のマイクログリッド間の電力融通をも自律分散的に行う、革新的な手法を紹介しています。マイクログリッドは定置型だけでなく、例えば大型の船内電力系統や、航空機の電力系統などの移動体型もあります。このような自律分散制御による電力融通は、移動体電源の電動化を加速させ、効率的なエネルギー運用に繋がるものと期待しています。2章以外の章においても、電気自動車の電力制御や、ニューロサイエンスを利用した制御手法なども紹介されていますので、ぜひご一読ください。

[著者] 平瀬 祐子(ヒラセ ユウコ)

平瀬祐子先生

【経歴】
2019年04月 - 現在 東洋大学理工学部 電気電子情報工学科准教授
2006年04月 - 2019年03月 川重テクノロジー株式会社
1999年12月 - 2001年03月 日立マクセル株式会社
1996年04月 - 1999年12月 三菱電機株式会社

【学歴】
2015年03月 - 2016年04月 大阪大学大学院 工学研究科 博士後期課程 電気電子情報工学修了
1994年04月 - 1996年03月 大阪府立大学大学院 工学研究科 博士前期課程 数理工学修了

関連リンク

東洋大学研究者情報データベース(平瀬祐子 准教授)
パワーエレクトロニックシステム研究室(平瀬祐子 准教授)