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【著作紹介】営繕論 ―希望の建設・地獄の営繕

営繕論

著者:内田 祥士(ライフデザイン学部人間環境デザイン学科 教授)
出版社:NTT出版
出版年:2021年4月発行
価格:2,600円+税
ISBN:9784757160729
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内容:
リノベーションはなぜ困難なのか?
「営繕」とは、もともと「営造」の「営」と「修繕」の「繕」からなる熟語で、千数百年に及ぶ歴史を持つ専門用語であったが、近代社会における建築の工業化において、その意味するところから「建設」が除かれ「修繕」に限定されたうえ、退屈で創造性が欠如したものとして捉えられるようになった。
しかし昨今、リノベーションという言葉に象徴されるように、新築するよりも、古いものを修復・修繕して再利用するという流れが生まれつつある。そこで、「営繕」を単なる修繕から解き放ち、本来の意味での「営繕」に換骨奪胎することで、現代建築の未来は広げることを目指す。

NTT出版の紹介ページ

 

教員メッセージ

「営繕」とは、もともと「営造」の「営」と「修繕」の「繕」からなる術語で、千数百年前、中国から伝来した専門用語だと考えられています。

文字の趣旨から考えて、古来、私達は新築と修繕を区別していなかったと推察されます。確かに木造には、その様な痕跡が見出されます。しかし、近代になって、今度は西欧から、Constructionという術語が伝来し、この訳語として「建設」が登場して以来、「営繕」は「営造」を「建設」に奪われ、その意味を「修繕」に限定され、退屈で創造性の欠如した作業を示す術語へと追い詰められました。それが、今日の「営繕」です。

一方、近年になって、Renovationが、リノベーションというカタカナ術語で受け入れられつつある状況を見ると、「建設」一辺倒の社会ではなくなりつつあるとの印象も受ける訳ですが、ならば、「営繕」を単なる修繕から解き放ち、「建設」と「リノベーション」という新しい組み合わせで近現代建築に対処出来ないかと考えることは出来ないかと考える訳ですが、そこには、工業化という不可逆的転換が既に存在し、リターナブルからリサイクルへという実に骨の折れる現実がたちはだかります。

本書は、こうした現実を背景に、しかし、「営繕」の可能性を考えてみようという本です。

目次

はじめに
第1章  希望の建設・地獄の営繕
第2章  ライフデザイン学入門
第3章  量を担った技術を考える
第4章  日本のモダニズム
第5章  瓶と缶からのアナロジー
第6章  オプティミズムとデカダンス
第7章  美と壮麗
第8章  現実としての現代日本建築
第9章  保全性の現在
第10章 虚構の建設・希望の営繕
終章

[著者] 内田 祥士(ウチダ ヨシオ)

内田 祥士先生

1955年生まれ。建築家。東洋大学ライフデザイン学部教授。
大学を卒業後、建築設計事務所で設計活動を、大学院で近代建築史の研究を、各々5年づつ経験し、その後は、研究と設計を並行して行う。
著書に『東照宮の近代』(ぺりかん社、2009年)、共著に「「日本のモダニズム――その後ろ姿から想像する今の表情」(槇・真壁編『応答 漂うモダニズム』左右社,2015年所収)などがある。

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