【著作紹介】実在への殺到

実在への殺到 著者:清水 高志(総合情報学部総合情報学科 教授)
出版社:水声社
出版年:2017年8月発行
価格:2,500円+税
ISBN:9784801002784
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内容: 日本の哲学者による新たな創造。全ての制作者にとって、次なる創造の場を切り開く、21世紀の真の始まりを告げる哲学の誕生。
――上妻世海(作家・キュレーター)

20世紀の思想や文化、また西洋近代の世界観を乗り越えようとする、カンタン・メイヤスーやグレアム・ハーマン、そしてヴィヴェイロス・デ・カストロやフィリップ・デスコラやマリリン・ストラザーン……。 彼ら彼女らの思想・哲学と強く共振し、深く共鳴しあいながら、世界に先駆け前世紀的哲学を突破した、著者渾身の評論!

水声社の紹介ページ

 

教員メッセージ

21世紀の哲学の新動向、思弁的実在論やオブジェクト指向哲学と人類学の存在論的転回の動向を踏まえ、ウィリアム・ジェイムズの再読や西田哲学の再解釈を絡めながらオリジナルな思想の展開を試みた本。 2017年紀伊國屋じんぶん大賞10位に選ばれました。

目次

はじめに

第一章 ヴィヴェイロス論
1  単自然主義、多自然主義
2 ラトゥールとその方法
3 準-客体、「眼」
4 多自然論としてのモナドロジー
5 近代の転倒

第二章 交差(キアスム)交換と人間
1 非綜合と個
2 自己製作する《道具》について
3 環境化する《道具》
4 ソフトウェアとしての《道具》とは?
5 モノ、ソフトウェア、人間――交差(キアスム)交換と世界の生成
6 西田幾多郎から《道具》のモナドロジーへ

第三章 鍵束と宇宙――ウィリアム・ジェイムズをめぐって
1 連接と離接の経験
2 パース、ジェイムズ、デューイ
3 一つの対象(オブジェクト)、複数の精神
4 私有化(横取り)と回顧、前-対象
5 鍵束と宇宙


第四章 メイヤスーと思弁的実在論

1 信仰主義とポストモダン
2 絶対性としての偶然性――主体とモノの非対称性を超えて
3 《即自的》でない自己
4 非-不可知論的な《強い相関主義者》としての《思弁的哲学者》
5 中性化する生と死――ジェイムズからメイヤスーへ
6 《到来すべきもの》とは?

第五章 幹(かん)–形而上学について
1 交錯する複数の二項対立
2 デスコラ、鍵としての
3 類型の組み換え――創造行為(ポイエシス)の位相
4 「複数の二項対立」と純粋経験論
5 純粋経験論のヴァリエーション
6 第三の方法

第六章 非・ホーリズム的転回――人類学から現代哲学へ
1 ホーリズムを脱臼させる
2 袋詰め(Ensachage)としての世界
3 複数の媒体と非・ホーリズム
4 モノ=道具と布置(図)の交差交換
5 彫琢=展開(Elaboration)と創造
6 先在するモノ、複数のプロセス
7 デスコラの場合
8 人類学から哲学、美学へ――非・ホーリズム的転回のドミノ


第七章 グレアム・ハーマンについて

1 四種のオブジェクト
2 多重の脱去――第三者のまなざし
3 「上方解体」と「下方解体」について
4 「関係」はオブジェクトである
5 汎魅惑論のほうへ

第八章 機会原因論的アニミズム
1 哲学のあらたな流儀
2 オブジェクト指向哲学と中性一元論
3 過去の「文脈」、未来の「文脈」
4 パースという補助線
5 機会原因論的アニミズム

第九章 モノの人格化――オブジェクト指向哲学と西田
1 《ニュートラルな位置》たち
2 《多の一》、「形」、そして制作
3 反転とその機構
4 特殊の「包摂」、普遍の「包摂」
5 モノと自己のまなざし――時間論をめぐって


あとがき

[著者] 清水 高志(シミズ タカシ)

清水高志先生 東洋大学総合情報学部総合情報学科教授(専攻、哲学)。
主な著書に、『ミシェル・セール――普遍学からアクター・ネットワークまで』(白水社、2013)、主な訳書に、ピエール・レヴィ『ポストメディア人類学に向けて』(共訳、水声社、2015)、ミシェル・セール『作家、学者、哲学者は世界を旅する』(水声社、2016)などがある。

関連リンク

東洋大学研究者情報データベース(清水高志教授)
メイヤスーと思弁的実在論(東洋大学学術情報リポジトリ)
純粋経験論が目指したもの―西田幾多郎とジェイムズ、円了(東洋大学学術情報リポジトリ)