言い訳できないスポーツに魅了され24年。ボクシング経験を糧に社会で活躍する人材を育てる。 言い訳できないスポーツに魅了され24年。ボクシング経験を糧に社会で活躍する人材を育てる。

03 ボクシング・堤をささえる人 三浦 数馬 03 ボクシング・堤をささえる人 三浦 数馬

思い入れの深いボクシング部で持てるもの全てを次の世代へ。 思い入れの深いボクシング部で持てるもの全てを次の世代へ。

東洋大学ボクシング部の監督に就任するまでの道のりを教えてください。

1998年、私は東洋大学ボクシング部に入部しました。当時はまだ強豪校ではなく、5部まである関東の大学リーグでは2番目の2部に位置していましたが、私が4年生で主将を務めた時に優勝し、念願の1部昇格を果たしました。そのため、部に対する思い入れがとても強く、卒業後にプロボクサーとして日本チャンピオンになった時も、30歳で引退し会社員になった時も、ずっと部のことを気にかけていて、OB会報を作ったりしていたんです。そんな矢先、監督就任の打診をいただき、そこで初めて指導者になる道を考えました。現在は監督6年目になりますが、指導者としての強みは“分析力”だと思います。私はボクシングへの熱意がとても強く、プロアマ問わず試合のビデオを観たり、ボクシング雑誌を読んだりするのが日課。ビデオは3,000本、雑誌も16歳でボクシングを始めた時から欠かさず24年間購読しています。選手たちには自分の経験や分析結果を余すところなく伝えていきたいと考えています。

選手の自主性を尊重した指導で考えることの重要性を示唆する。 選手の自主性を尊重した指導で考えることの重要性を示唆する。

普段はどのような指導をされていますか。

技術面の指導はもちろんですが、ボクシングに対する姿勢や考え方など人間性や精神面での在り方も教えるようにしています。もちろん自らミットをもってパンチを受けることもありますが、堤をはじめトップクラスの選手たちは皆、今の自分に何が足りていないのかをきちんと分析できています。そのため選手の自主性を重んじ、「今のパンチはこう打て」というような一方的な口出しはしません。ただし、礼儀や規律、練習への取り組み方は常に選手たちが意識するよう日頃から徹底して伝えています。特に練習への取り組み方については、「ボクシング選手は現役生活が短いので一日一日を大切にし、ただやるだけでなく考えて練習するように」と伝えています。そして、ボクシングは「頭を使うスポーツ」です。自分以外の選手がなぜ強いのかを考え、自分に足りない部分を細かく自己分析することが成長につながります。例えば、さまざまなタイプの相手選手と常に変化する試合展開の中で、自分の長所を一点突破型で鍛えても勝つのは難しいため、弱点を補強してどの観点から見てもバランスのとれた選手こそ本当の強者になり得ます。その点でいうと、堤は優れた能力をバランスよく備えているボクサーであると言えるでしょう。

三浦監督が考えるボクシングの魅力とは何でしょう。

ボクシングは「言い訳できないスポーツ」だということです。同じ体格で同じグローブを着けた選手と同じルールで戦っているのに負けるのは「自分が弱いから」。それ以外にありません。他のスポーツにも共通するかもしれませんが、練習の成果が肉体や動きに表れるには3ヶ月はかかります。それを意識して、試合日から逆算して練習を積むのも、さぼるのも自己責任。勝っても負けても、それまでに取り組んできたことすべてが自分に返ってくるスポーツなのです。

ボクシングの経験を長い人生に活かせる人材を送り出す。 ボクシングの経験を長い人生に活かせる人材を送り出す。

今後の目標について教えてください。

ボクシングだけで活躍する「選手」ではなく、社会に出てもこれまでの経験を糧に活躍できる人材を育てるのが目標です。長い人生の中でボクシングの選手生命は短く、競技から離れて働かなくてはならない時が遅かれ早かれ来るもの。その時に「ボクシング以外は何もできない」ではなく、自分の足りない部分を自覚しながら培ったものを武器に、社会のリーダーとして世の中を引っ張っていってほしいと思います。また競技として目指すのは、指導した選手が五輪で日頃の練習の成果を発揮し、良い結果を残すこと。東京五輪予選への出場権を争う日本選手権ではほぼ全階級に候補選手を送り出し、チーム一丸となって強さを追求した結果、堤が57kg級で2020年2月のアジア・オセアニア予選への切符をつかみ取ってくれました。まだまだ強くなる堤、そして東洋大学ボクシング部を是非応援してください。

関東2部リーグ優勝トロフィー
・1部リーグ優勝トロフィー

自らが選手として獲得した2部トロフィーと、自分の育てた部員が獲得した1部トロフィー。
2つ並ぶとこみ上げるものがあります。

人に勝つまえに自分に勝て 三浦 数馬

PROFILE

三浦 数馬 / MIURA KAZUMA

【所属】
東洋大学ボクシング部 監督

記事の内容は取材当時(2019年12月)のものです。

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