選手との綿密なやり取りで一人ひとりに最適解を提示する。 選手との綿密なやり取りで一人ひとりに最適解を提示する。

01 走り幅跳び・津波をささえる人 梶原道明 01 走り幅跳び・津波をささえる人 梶原道明

監督として長い年月をかけ育てた強い陸上競技部。 監督として長い年月をかけ育てた強い陸上競技部。

陸上の指導者の道に進んだのはなぜですか?

大学生の頃は、兄の影響もあり体育の教員を目指していました。しかし、指導するためにはもっと勉強しなければいけないと思い大学院に進みました。その後、研究を進めるうちに次第に日本のトップレベルの選手を指導したいという想いが芽生えてきました。教員としての籍は他大学にありますが、1986年に当時東洋大学陸上競技部の総監督であった佐々木秀幸先生に声をかけられ東洋大学の指導を引き受けることになりました。当時の短距離部門はまだ指導者がおらず、部員たちは指導に飢えていました。学生には一つひとつの練習に対し、なぜそれが必要なのかを科学的な根拠に基づいて説明し、理解させるということから始めました。私自身も学生の試合や練習での動きを分析すること、新たな練習法を考えること、また試合での失敗や成功を繰り返しながら今日までやってきました。1989年からは監督に就任し30余年、スカウト活動などではかなり苦労しましたが、今では本学陸上競技部短距離部門の多くの選手が入学後に自己記録を伸ばし、トップレベルに至る選手が増えてきていることに誇りを持っております。

「オリンピアンを育てる」ことを意識したのはいつからですか。

1996年のアトランタ五輪の時からです。参加標準記録に鑑みての出場可能性が高まったことを実感し、日の丸をつける選手をこの手で送り出したいと強く意識するようになりました。現在の東洋大学には津波をはじめ優秀な選手が多く在籍しておりますので、良い結果を残し日本中を沸かせることを目標に、土江寛裕コーチと息を合わせて指導に当たっています。

選手の状態を知るには妥協しない丁寧な対話が必須。 選手の状態を知るには妥協しない丁寧な対話が必須。

指導にあたり、気を付けていることを教えてください。

選手と対話をし、常に選手の状態を把握することです。話を聞かなければ、各選手の性格や強み弱み、体調など何もわかりません。練習内での会話だけでなく、昼食時の選手同士の雑談などからも調子を把握するようにしています。選手の状態把握が充分にできていれば、大会の結果もある程度予測できます。津波が2017年の日本学生陸上競技対校選手権大会で8.09mを跳んだ時がまさにそうで、前日の練習を見てパフォーマンスの仕上がりを確信していました。また、選手が故障した時のメンタルケアには特に気を遣っています。ただ「頑張れ」と無責任に言うのではなく、「次の大会は何月で、それまでにはこんな計画でリハビリと練習をすれば調子を整えられるから」と戦略を具体的に提示し、気持ちを前進させられるようにしています。

才ある津波の最高を引き出す。 才ある津波の最高を引き出す。

津波選手はどんな選手でしょうか。

津波は、一言で言うと類い稀なセンスを持つ選手ですね。フォームや助走の細かな指示を出すと、それを直後の試行できちんと修正できてしまう。普通は、指摘しただけではなかなか矯正ができません。また、速度0の状態から加速する瞬発力にも目を見張るものがあります。短距離走の選手を超えるほどの加速力は非常に大きな武器です。反面、津波は怪我が多い選手でもありますが、今シーズンは怪我をしにくい身体づくりや自身のコンディションの正確な把握、大きな大会に出場しての経験値獲得などに注力してきました。彼のベストパフォーマンスが出せればどんな選手にも負けない跳躍ができるということは、私だけでなく周囲のライバルたちも感じていると思います。東京五輪が楽しみです。進化を続ける津波の活躍に、是非ご期待ください。

ストップウォッチ

練習で50m、250mなどのタイムを測るためにはこれが必須。
毎回自ら1本1本計測します。

津波を見ていて下さい!!日本中を湧かせます!! 梶原 道明

PROFILE

梶原 道明 / KAJIWARA MICHIAKI

【所属】
陸上競技部(短距離部門) 監督

記事の内容は取材当時(2019年11月)のものです。

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