02 競歩をする人 池田 向希 02 競歩をする人 池田 向希

判定があるからこそ面白い。最後まで勝敗が分からない競歩の魅力。 判定があるからこそ面白い。最後まで勝敗が分からない競歩の魅力。

競歩の世界に足を踏み入れたきっかけを教えてください。

競歩と出会ったのは高校2年生の時です。当時の私は1,500m、5,000mなどの長距離種目での成績が伸び悩んでおり、顧問の先生から競歩が何かのヒントになるかもしれないと勧められたのを機に、大会に出場しました。すると思っていたよりも良い記録が出て、練習すればするほど成績が上がる競歩を純粋に楽しいと感じるように。そこで、顧問の先生と将来の可能性も考えながら相談し、悩んだ末に長距離から競歩を専門に変えることを決断しました。今では競歩がとても好きです。好きだからこそ、ハードな練習も競技を続けるために必要な過程だと捉えられ、辛く感じたことはありません。私の思う競歩の魅力は、レース結果が最後の最後まで分からないことです。競歩には両足が同時に地面から離れたり(ロス・オブ・コンタクト)、前足が接地の瞬間から垂直の位置になるまでの間に膝が伸びていない(ベント・ニー)と反則になります。そして、3名以上の審判員から反則と判定される(赤カード)と失格になるルールがあり、いくらリードしていても全てが一瞬で水泡に帰してしまうこともあります。順位確定まで勝敗がわからない競技だからこそ、観戦する方々も目が離せないのではないでしょうか。

マネージャー経験を経て見えた支える人のありがたみ。 マネージャー経験を経て見えた支える人のありがたみ。

どうして東洋大学を選んだのでしょうか。

単純明快に競歩で一番強い大学だったからです。2012年のロンドン(西塔拓己選手)、2016年のリオ(松永大介選手)と、オリンピアンを2大会にわたり輩出していますし、求められるレベルが高いことは覚悟しつつも、「その分得られるものが多いだろう、ここしかない」と思いました。陸上競技部への入部当初はマネージャーと選手の兼務という立場でしたが、その経験は自分にとって大きなプラスになっています。チームを支える裏方の業務や他の選手のコンディションチェックを務めたことで視野が広がり、同時に、選手が競技に集中できるようサポートしてくださる人たちがいるのは、とても恵まれていることだとひしひしと実感できました。私は競技中に相手選手の表情から状態を読むのが得意なのですが、これは間違いなくマネージャー業務で磨かれた観察力のおかげ。また、20km競歩の長く苦しい道のりの中でも身体を動かせるのは、自分を支えてくれる人が沢山いることを誰よりもよく理解しているからです。

レース前から勝負は既に始まっている。 レース前から勝負は既に始まっている。

普段の練習で大事にしているのはどのようなことでしょうか。

技術、身体能力を磨くのはもちろんのこと、大会前に「勝てる戦略」が組めるように経験を積んでいます。競歩はとても長い距離のスポーツなので、がむしゃらに臨むだけでは勝てません。同じ大会に出場するライバルたちのラップタイムから各選手の強み、得意なレース展開を分析したり、自分の目標タイムから逆算し、練習時からペースやスパートのタイミングを設定したりすることが大切です。しかし、大会では100%それを実現できるわけではなく、他の選手の出方に応じて歩きを変化させなければならない時もあります。現地の環境や当日の天候まで加味しながら、できる限りの事態を想定し、監督やコーチと戦略を練り上げます。このようなレースに向けた戦略も全て、東洋大学のトップレベルの指導環境の下で一から学んだことです。また、過酷なレースを耐えきるための食事管理、ケガを未然に防ぐための日々のストレッチなどにも力を入れています。

今後の目標についてお聞かせください。

今後の目標はやはり、20km競歩で東京五輪に出場して結果を残すことです。日本は競歩の強豪国で、しかも今回は自国開催なので特別な想いがあります。出場するだけではなく、競歩という競技をより多くの人たちに知ってもらうためにも良い結果を残したいです。良きライバルであり、親友である川野にも絶対に負けたくない。日本でもトップレベルと自負するピッチの速さと、一度やると決めたらやり遂げる忍耐強さを武器に、今後も大好きな競歩を続けていきます。

シューズ

長距離を歩くため、シューズは1回の大会ですぐボロボロに。
シューズにまで過酷さが現れる「競歩」という競技が、私は大好きです。

東京オリンピック金メダル 結果で恩返し 池田 向希

PROFILE

池田 向希 / IKEDA KOKI

【出身地】
静岡県

【所属】
経済学部 経済学科 3年

記事の内容は取材当時(2019年12月)のものです。

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