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第3ユニット

多文化共生社会の思想基盤研究

本研究ユニットは、文化的多様性や宗教的多様性が現代社会にもたらす諸問題を、哲学、宗教学の視点から捉え直し、「共生」すなわち共に幸福に暮らしていける思想基盤を探ることをテーマとする。近年、社会のさまざまな問題に絡めて「共生」という語が多用されるようになった。いまだ統一的な定義や概念はないものの、この言葉は、抑圧や差別、対立や不平等、一方的な支配や侵害を超えて、「自立と連帯のなかで、誰もが十全に自己実現を果たすことが可能な社会」(竹村牧男ほか編『共生のかたち』誠信書房、平成18年、p.7)を目指すといった意味合いで使用されていると考えられる。「共に生きる」という人間や社会の在り方は、利潤追求とは対極の幸福を第一に考える人生観・世界観を前提にしなければ成り立たない。しかしその「幸福」も、誰にとっての幸福かを考えると、そこには多くの難題が表出する。

西洋に端を発する一元的な価値観や合理主義、および市場経済のグローバル化に直面した現代社会において、人間の根本的生き方が問われる「共生」について考えることは、今取り組むべき喫緊の課題であると言えるであろう。また、本研究は共生を中心的なキーワードとしつつも、人権、公共哲学、民主主義、等のテーマも共に扱っていくものとする。

本研究はオープン・リサーチ・センター事業として平成18年度より5年間活動してきた東洋大学共生思想研究センターの成果を踏まえつつ、より広範なテーマに取り組み、新たな世界秩序の構築に資する制度設計デザインを追及する。具体的な研究視点としては、

  1. 多文化社会における個人あるいは集団のアイデンティティー認識あるいは帰属意識の問題究明
  2. 異民族間の共生の問題
  3. 異宗教間の共生の問題
  4. 多言語使用国家・地域における構成員間の交流の問題
  5. 人間と自然・環境との共生

等を考えている。以上のような歴史的、地理的、文化的にも多様な領域にまたがる問題を、国内外の研究者の複数の視点から考究・検討することにより、今後の世界展望を共に考えていきたい。

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