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【TOYO GLOBAL DIAMONDS】学長メッセージ

学長メッセージ

東洋大学 学長 矢口 悦子
2020年4月

 東洋大学におけるグローバル化は、前身である「私立哲学館」を創立した井上円了先生の思想にその源流を見出すことが出来ます。明治の半ば、近代的な国家づくりの道程にあった日本は、海外からの知識や技術を積極的に導入し、産業の振興と諸制度の整備を進め、その担い手づくりのために教育に力を入れていました。高等教育機関においてもその教育は西洋において発展した学術や技術を中心としていました。しかし、円了先生は、西洋の哲学や心理学の研究と世界視察に加え、日本における仏教の研究を通じて、独自の教育思想を深めていきます。そして、物事を深く考える力と日々の行動に反映される思想の形成を教育の柱とされました。なぜならば、それこそが世界に通用する人間の持つべき基礎的な教養である、と捉えられたからです。現在に至るまで、東洋大学では、独自に培ってきた知見、そして世界各地で積み上げられてきた研究成果を基に教育を提供していますが、それをいかに深く掘り下げ、考えたうえで行動に活かしていくかという視点を大切にしています。

 現在、東洋大学のグローバル教育は、2014年に文部科学省による「スーパーグローバル大学創成支援」(タイプB)に採択された「TOYO GLOBAL DIAMONDS―グローバルリーダーの集うアジアのハブ大学を目指して」という構想を旗印として展開されています。これは、国際的に通用性の高い教育プログラムを提供し、学生の国際的な流動性を高めることを通じて、グローバル化の進展する社会に生きていくうえでの実力をつけることを目指して計画されたものです。本計画のもと、国際的な場面でリーダーシップを発揮しうる人財育成を目指す新しい学部や学科も誕生しました。今では、協定校の数も飛躍的に増加し、それに呼応するように多様な国や地域からの留学生も増え、キャンパスには新しい風が吹き抜けるようになりました。

 この事業を推進してこられた竹村牧男前学長によりますと、シンボルイメージであるTOYO GLOBAL DIAMONDSには、次のような2つの想いがこめられております。「一つは、ダイヤモンドの原石のように大きな可能性を秘めた学生を、本計画を通じて磨き上げ、世界の舞台で活躍できる人財に成長させ、輝かせることです。もう一つは、全学生のグローバル意識を高め、国際的素養を豊かに具えた中間層を厚くして、グローバル人財としての学生の分布を、ピラミッド型からダイヤモンド型へと導いていくことです。」(*本学では「人は財産である」という考えから「人財」という言葉を使ってきました。)

 さて、2020年代を迎え、本事業はいよいよ最終的な段階に入ります。これからは、単に一人ひとりが輝きを放つ姿だけではなく、多様な学生たちが共に学ぶことで、それぞれの個性が交わり、色々な角度で美しい光を放つ場面を大切にしていきたいと考えております。そのための留学や国際交流の機会を増やしていきたいと考えていた矢先、新型コロナウイルス感染症の大流行により、世界中の大学で、留学や海外研修を断念しなければならないという事態になりました。

 世界の人々が簡単に行き来できる現代社会は、交流の豊かさと共に交流を介した危険もたやすく拡散してしまうことを特徴としています。このことをグローバル化の課題だと指摘する人もいます。しかし、真のグローバル化はそうした未知の病気による不安や困難に遭遇した時こそ、真価を発揮するのではないでしょうか。正確な情報と知見を世界全体で共有し、事態の収束に向けた協力をしなければなりません。このような世界的な協力という場面においては、語学力やコミュニケーション力が問われ、協力して課題解決に貢献できるようなグローバル人財が求められるのです。

 様々な課題に取り組む人間の交わりによってもたらされる豊かな輝きが、東洋大学に、日本に、アジアに、そして世界中にもたらされることを目指して、勇気をもって学んでいきましょう。